第25話 初デート


今日は約束のデートの日。

モンクはいつもよりも早く起きて、下ろし立ての良く分からないチェックの服に、大きな靴とリュックを背負い約束の場所へ。

桃はとても可愛く好きにならない方が可笑しいくらいの美人さん。

そんな女の子と1日二人きりのデートは、気分が上がらない訳がない。

でも付き合ってる訳ではないのが悲しい……。


待ち合わせ場所の公園に着いた。

時間は10時に待ち合わせだったが、モンクは張り切り過ぎて9時半に着いてしまった。


( ちょっと早く着き過ぎたかな?

遅れるよりは何倍も良いけど。)


ベンチに座り周りを見渡すと、可愛いモコモコな服を着た女の子が立っていた。

まさかこんなに早い時間に来る訳が……

遠くにいるその女の子がモンクに気付くと、駆け足で寄って来たのだ。 もしかして……。


「 モンク君! 待ち合わせの時間10時なのに着くの早いんだね。 ビックリしたよぉ。」


「 遅れたら悪いと思って笑。 桃ちゃんも凄い早いんだね。 こっちもビックリ! 」


やっぱり桃だった。 結構離れていたのに良く見えたものだ。 ちなみにモンクは目が悪い。


「 良くあんなに離れていたのに、僕に気付いたね。僕は全然分からなかったよ。」


「 目が良いのが取り柄なの♪

自慢出来る取り柄じゃないけど笑。」


モンクは桃の姿を見てみると、プライベートの桃のファッションに少しときめいていた。

女性との二人きりのお出かけは、幼なじみの紅葉ちゃんくらいしか行った事はない。

それも遠い昔の話だが……。


「 今日はねぇ。 行きたいお店があるの。

付き合ってくれるぅ?? 」


そんなお願いをされて断る男は居ない。

モンクは即答で


「 はい。 喜んでぇ。」


祝福の時間を過ごせる事間違いない。

二人は公園から街中に歩いて行った。


街中はビルやデパート、飲食店となんでも揃っている。 日曜日の為、人混みも桁違いだった。

モンクは元々の性格も相まって、人混みは大の苦手なのだ。

なので周りをキョロキョロしがち。

友達とかと出掛ける事がほとんどない為、こんな癖が出来てしまった。 可哀想な事だ。


「 モンク君大丈夫? 人混み苦手? 」


「 うん。 …… 実は苦手で。」


すると桃はニッコリ笑い。


「 私もそうなの。 でもね、いつも友達がこう言う所に連れてってくれてちょっと慣れたの。

だからモンク君も直ぐに慣れるよ。」


何て優しいのだ。 モンクはこんなに優しい事を言われた事何か無かった。

クラスの女子とかには、こう言う癖とかをからかわれていたので、モンクにはとても優しい言葉に感じるのだった。


「 ありがとう。 直ぐに慣れちゃうね。」


そう言いながらゆっくり歩いて行く。

ビルの中に入り三階に上がると、飲食店が沢山並んでいる。

何気に飲食店はビルの中にも沢山あるのだ。


「 凄いねぇ。 こんなに沢山……。」


圧倒されるモンク。


「 でしょでしょ? ここ、ここ♪ 」


そのお店はオムライス専門店。( ラビットの森 )

ラビットの森は女の子の間では、知らない人は居ない。 それぐらいに美味しく話題のお店。

当たり前だがモンクは知らなかった。

二人はラビットの森に入り席に着く。

店内はまるでおとぎの森の中のような、とてもこだわりを感じるお店。 とても期待が膨らむ。


「 凄いお店だね。 こんなお店初めて来たよ。」


「 実は私も初めてなの。 だから一緒に来たかったの。」


何て健気なんだろうとモンクは思った。

そして二人はオムライスを注文。

モンクはデミグラスソースのオムライスを。

桃は定番のオムライス。 どちらも美味しそう。

来るまで待っている間に桃の学校のお話をしていた。


「 学校の先生が本当に面白くて。」


「 そうなのぉ? 面白いねぇ。」


話は凄い弾む弾む。 ゴムボールのように弾みまくり。 モンクと桃は感性がとても近いのかも。


「 僕の学校に番長は伴って幼なじみなんだよね。 怖くて意地悪なんだけど、僕の幼なじみだから憎めなくて笑。」


桃は少しモンクが優しすぎて怒らない事を良いことに、伴のやりたい放題を不満に思っていた。

利用したりいじめたりする伴がやっぱり気に入れなかった。 合コンで会ったときから思っていた。


「 私は嫌いだなぁ。 パン取ったりパシりにしたり、いじめっこはやっぱり怖いよ。」


モンクも伴のやりたい放題を良いとは思ってない。 でも幼なじみで昔から一緒の幼稚園から高校まで同じ。 だからなのか、憎めない所が多かった。


「 幼なじみだからね…… 良いところもあるんだよ。 他のいじめっこから守ってくれたり。

優しい所もあるし。

だから人の表面だけ見ないで、中身も見るようにしてるんだよね。」


モンクも何故か伴を守っていた。

伴はどう思っているかは分からないが、モンクにとっては友達だと思っているから。


「 そうなんだぁ。 モンク君が言うんだから伴君も良いところ沢山あるんだね。

私も人の悪い面だけじゃなくて、良い面を探してみよう。」


正直伴は良いところがあるのか……。


オムライスが到着して二人で食べる事に。

モンクはたかがオムライスと思いながら、一口食べると。


「 うんまぁ〜〜い。 ふわふわだね。」


「 でしょお? 美味しくて知らない人居ないんだから。」


モンクは母のオムライスの何倍も美味しくて、さすがは飲食店のプロの味だと感動していた。

楽しいお昼ごはんになったのだった。


近い所を散策する事にする事に。

桃は少しトイレに行く事にした。

モンクは椅子に座り待っていた。

桃はモンクを待たせているので、急いでトイレに向かっていると小さな女の子がキョロキョロして周りを見回していた。 多分親御さんは近くに居るだろうと思い、桃はトイレに向かう。

直ぐにモンクの待つ椅子に戻ると、モンクの姿は無かった。 遅くて帰ってしまったのか?


( どうしよう…… つまらなくて帰っちゃったかなぁ? まだ近くに居るかな? )


桃は直ぐに走りながら周りを探す。

探しながら自分に非はあったのか?

色々考えながら。

すると、さっきの女の子を肩車しているモンクが居た。


「 みさちゃんのお母さんは居ますかぁ?

みさちゃんがお母さん探してますよ! 」


「 ママ〜!! 」


今にも泣き出しそうな幼稚園児のみさちゃん。



「 みさちゃん。 泣いちゃダメだよ?

神様はいつも見てて試練を与えてるんだよ。

だからお母さんを見つけたらご褒美に、何か貰えるかもしれないよ??

そう考えたらウキウキしてこないかなぁ?? 」


「 …… うん。 頑張って探す。」


モンクはニッコリして周りを探す。


「 よし! その意気だ。 頑張ろう♪ 」


そしてモンクは「 能力 」を使い探す。

超聴力。 周りの声や音を人よりも多く拾えたり、遠くの声とかも聞こえたり。 モンクの得意な能力の一つ。


集中して探すとママらしい声を拾えた。

直ぐに真っ直ぐ声の方へ向かう。


「 みさちゃん! 何処行ってたの??

探したわよ。 近くに居ないとダメじゃない。」


「 ごめんなさーーい。」


会えてほっとしたのか、泣いてしまったみさちゃん。 子供なのに良くここまで我慢できたものだ。

頑張ったなとモンクは感心する。


「 本当に娘を連れて来てくれてありがとうございます。 なんてお礼をしたら良いか……。」


「 いえいえ。 頑張って探したのはみさちゃんですよ。 僕はその手助けをしただけなので。

なのでみさちゃんにご褒美を♪ 」


お母さんは深く何度もお辞儀をし、みさちゃんに何か美味しい物を買ってあげる事にした。


「 みさちゃん頑張ったから、何かご褒美買ってあげないとね。 何が良い?? 」


「 ソフトクリーム!! 」


二人は手をしっかり掴み、ソフトクリーム屋さんへ行きました。


( 見つかって良かったなぁ。 ヤバい!!

桃ちゃんが椅子に帰って来てるぞ。

早く戻らなければ。)


戻ろうとすると後ろに桃が立っていた。

モンクは驚く。


「 あれ? いつから後ろに?? 」


「 肩車する所から。」


桃は相変わらずの優しいモンクに、やっぱり最高の男だなぁ。って再確認した。

自分は親御さんが近くに居ると甘えて、見てみぬフリをしてしまった。 そんな自分と比べてモンクは、直ぐに声を掛けて探してあげたのだ。

桃はモンクの功績を自分の事のように嬉しかった。

見習わなければ。

桃はどんどん、どんどん好きになるのが分かっていた。 もうモンクにメロメロだった。

モンクは照れくさそうに。


「 何か恥ずかしいなぁ。

僕も迷子になる事多かったんだよね。

だから見てられなくてね笑。」


二人は少しホッコリしながら街中を散策するのだった。


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