第23話 平和な1日


何日か学校を休み、モンクは久しぶりの学校へ。

体はもう万全な状態。 みんなも心配している筈。

いつもよりも踏み出す足は軽く、前へ前へと踏み出していく。

久しぶりの教室に入るのは、少しドキドキしてしまう。 さぁ、みんなの所へ!


教室に入ると、いつもと変わらずに騒がしい教室。 モンクが来ても何も変わらない。

なんとなく分かっていたけど、少し寂しくなっていた。


「 モンク君、おはよう。 元気になったの? 」


「 キムナリ君、おはよう。 もう大丈夫だよ。

ありがとう。」


親友のキムナリ君は、モンクが来るのを待っていた。 やっぱり親友だ。

委員長も優しく体の具合を気にしてくれた。

本当に誰にでも優しい。 委員長も大切な友達。


「 モンクン。 おっはよ。 もう大丈夫なの? 」


「 おはよう。 全然大丈夫だよ。 ありがとう。」


紅葉ちゃんだ。 いつも味方で居てくれる大切な友達。 直ぐに席に着くと、隣の席の海荷が話をかけてきた。


「 よっ! もう大丈夫か? あんまり無理すんなよ。 ヘッポコなんだから。」


「 おはよう。 そうするよ笑。」


海荷はモンクを心配していた。 海荷はフラれたショックからまだ、立ち直ってはいない。 少しずつ、少しずつ、心の傷を癒して欲しい。 時間はかかるかも知れないが、治らない事は無いのだから。


授業が始まり、ノートに授業内容を写す。

モンクの得意分野である。黙々と書き続ける。

少し違う所も。 海荷は、モンクを見る事が多くなっていた。 助けてもらってから、少し行動が気になる様になっていた。


( 何か気になるなぁ。 何でだろ? まぁ、命の恩人だし当たり前かな? )


お昼に、保健室でキムナリ君とパンを食べる。

伴が休みの為、パンも取られていない。

お昼の時間は、正に癒しの時間だ。

沢山、楽しいお話をして楽しんでいた。


その頃、違う高校に通う桃は友達と学食を食べていた。


「 桃〜。 合コンまた行かない??

カッコいい男沢山来るよ。」


「 私はいいかな。 そう言うのあんまり得意じゃないんだよね……。」


桃は元々女子校だったので、男性への抵抗があるようだった。 なので、サムとモンクとお喋りしてるなんて桃にとっては凄い事だったのだ。


「 桃はどんな人好きなの? 」


「 私はね、優しくて目立たなくてもいつも一生懸命に頑張ってる人かなぁ。」


桃はモンクの特徴を答えていた。


「 目立たないって、そんな変なの好きなの?

もっと目立ってる男らしいのが良くない? 」


「 ん〜、私は目立たなくてもいいの。

どんな事にも一生懸命なのがいいの! 」


みんなは、珍しく熱くなる桃にビックリ。

元々は物事をハッキリ言う事が少ない。

親友の花はなんとなく、桃の変化に気付く。


「 桃。 あんた、誰かに惚れてるね? 」


意表を突かれて、飲み物が喉に詰まってしまう。


「 ゲホッ! ゲホッ! んな、そんな筈ないでしょ? この高校に居て、男の人なんか無縁だよ。」


分かりやすい性格。 みんなもなんとなく、分かってしまった。


「 んで、どんな男なの? その目立たない一生懸命マンは? 」


花は誤魔化せなかった。 桃仕方なく白状する。


「 本当に、どんな事にも一生懸命なの!

それとね、笑ってる所も可愛いの♪ 」


みんなも動揺してしまう。 こんなに興奮している、桃を見たのは初めてだった。


「 それで、告白とかしたの? 」


花の追及は止まらない。


「 全然だよ。 私なんて良いところないし、絶対にフラれちゃうよ。」


顔を真っ赤にして、必死に返答していた。

恋バナなんて初めてで、恥ずかしくて汗かきまくり。


「 あんたは可愛いのに、本当に不器用さんだね。 得意のスイーツ作って、メロメロにさせちゃおうよ。 どんな男もいちころよ♪ 」


「 どうなんだろ? やってみようかな? 」


珍しく積極的になる。 桃には今は、モンクに夢中だった。


「 でもね、この前お見舞いに行ったら女友達が来てたの。 二人共どっちも可愛くて、優しくて私が男ならメロメロになってる。 凄いモテ男なのかも。」


本当の所、全然モテない。

むしろいじめられたり、笑われたりする事の方が多い。 それが本当のモンク。

それに比べ、桃は見た目も可愛く中学の時なんか、校門の前でラブレターを貰うくらい可愛い。

髪はモコモコ、ピンクの色が大好き。

まさに、女の子なのだ。


「 絶対そんなにモテないよ。 ただの、友達に決まってんじゃん。 ねぇ? その男紹介してよ。

見てみたいの。」


「 …… 考えておくね。」


本当は自信持って、自慢して紹介したい。

でも、合コンのときに皆は既に会っていた。

皆はモンクに良いイメージを持っていなかったから、桃は友達がもしもモンクを傷つけたら悲しくなるので、紹介するのを躊躇ちゅうちょするのだった。


「 その彼の事、絶対にバカにしないから。

お願い!! 桃。」


「 私が好きなのは絶対に内緒に出来る?

後は絶対に彼を傷つけないでね?

約束出来る?? 」


皆は声を揃えて。


「 絶対に大丈夫だよ。 任せて! 」


本当に大丈夫か心配になってきた。

実は今日、モンクのバイト先にラーメンを食べに行く約束をしていたのだ。 なので、友達達をそこに連れて行く事にした。 少し不安が残るが……。


学校は終わり、モンクはバイト先へ。


「 急げ、急げ! 今日は、遂にラーメンを作るやり方を教えてもらえるぞ。 後は桃ちゃんが食べに来るぞ。 楽しみだなぁ♪ 」


桃が友達達を、連れて来るのをまだ知らない。

モンクはバイト先へ着くと、店長が待っていた。


「 鈴木君。 待っていたよ。 一ヶ月でここまでたどり着いたのは君だけだよ。 さぁ、色々教えよう!」


「 うぃっす。」


気合い充分。 一ヶ月でぐんぐん腕を上げ、一緒に働くおばさん達には可愛がられていた。

店長が手取り足取り教えてくれる。

麺を茹でて、水切りをする。 でも、全然上手くいかない……。 テレビで見る様な、水を切る音が全然鳴らない。 とても難しいのだ。


( クソぉ……。 凄い難しい。 これが厨房の恐ろしさなのか。)


モンクは厨房の洗礼を受けていた。


その頃、桃は友達を連れてラーメン屋の前まで来ていた。


( 凄いドキドキするぅっ。 モンク君どんな風に働いてるのかな? みんなが迷惑かけないかな? )


心配性な桃でした。

そして、扉を開ける。


ガチャ!! お客さんが来た。


「 いらっしゃいませ。あっ! 桃ちゃん。」


「 来たよモンク君♪ 」


皆はモンクを見て驚いた。


( えっ? モンクって、あの合コンに来てたドン臭い奴じゃなかった? あの後に会ってたの? )


花は合コンで知り合って、連絡を続けてた桃にビックリするのだった。 そんな積極的には見えなかったからだ。


「 じゃあ、こちらの席にどうぞ。」


モンクは慣れた感じに席に案内する。

席に着いた、花と双子の夏帆と志帆。

小さな声で、桃を問い詰める。


「 ねぇ。 あんた、好きなのってあのモンク君?

合コン来てたよね? 」


「 うん。 あの後に私が探して、連絡先交換したんだよ。」


皆はビックリ。 自分達もそこまでしたことはなかったから。


( にしても、モンクの何処がいいのよ。

桃にはもっと相応しい人が居るのに。)


花は納得いかなかった。

マドンナ的存在の桃には、イケメンでもっと男らしい人は沢山居る筈……。 どうしてもそう思ってしまうのだ。


「 いらっしゃいませ。 お冷やをどうぞ。

あれ? 前合コンで会いましたよね?

たしか、花さんと夏帆さんと志帆さんですよね?

お久しぶりですね。

ゆっくりしていって下さいね。」


皆はモンクの発言に驚いていた。

何故なら、合コンで直ぐに退席したはずなのに皆の名前を覚えていた。 モンクの名前なんか、桃が言わないと思い出せなかった。 モンクにとっては、暗記は得意なだけだった。

それでも、皆はその優しいモンクを見て少し桃が一目惚れした理由が分かった。


「 どう? モンク君は凄い優しくてね。」


「 分かった、分かった。 なんとなくね。

あんたは本当にああいうのに弱いね。

でも、分かるわ。」


桃は凄い嬉しくなった。 モンクを皆が認めてくれたのだから。


「 嬉しい♪ 皆に色々奢っちゃお! 」


桃と皆は楽しく過ごした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る