第22話 モテキ?


モンクは久しぶりに学校を休み、ゆっくり休んでいた。 サムはこっそりと家に帰って来た。 一仕事終え、少し満足していた。

お昼は手抜きのカップラーメン。 一人でお湯を沸かして、海外ドラマを見ながら食べる。


ブーン!! ブーン!!

モンクのスマホに、メールの通知が来ていた。

サムはこっそり覗くと、桃からだった。

内容を確認すると。


( こんにちわ。 バイトには慣れたかな? 良かったら今度、食べに行っても良いかなぁ? )


と書いてあった。 勝手に返信をするサム。


( 最近、体調を崩してしまったんだ。 だから、家で休息しています。 良ければお見舞いに来てね。)


完璧なメールの返信に、サムは満足していた。

桃がお見舞いに来れば、モンクが喜ぶと思ったからだ。

すると、サムのスマホに桃からの着信がきた。


「 もしもーし。 サムだよ。」


「 サム? さっきのメールの返信、サムでしょ?

私には分かるんだから笑。 モンク君の体調崩したのも嘘なの? 」


簡単にサムだとバレていた。 意外に勘が良いみたい。 モンクの事を良く見ていたからか。


「 ごめんね…… それは本当だよ。 今寝て休んでるんだよ。 少し、ケガして休息してるの。」


その話を聞いて、桃はびっくりしてしまう。


「 大丈夫なの!? モンク君。 今日、学校終わったらお見舞いに行くね。 ケーキも買ってくね。」


「 了解。 楽しみにしてるねぇ♪ 」


そして、電話が切れた。 モンクが目を覚ましたら、喜ぶ顔が目に浮かぶ様だった。


少し時間が経ち、家のチャイムが鳴る。


ピンポーーん!


「 サム! ウチだよ。 開けて。」


海荷だった。 モンクの様子が心配だったから家に来たのだ。


「 いらっしゃい。 入って。」


海荷をリビングに案内して、二人でソファーに座る。


「 モンクは大丈夫なの? 」


「 うん。 もう大丈夫だけど、眠って回復してるみたい。」


能力を使い過ぎると、極度の睡魔に襲われる為、沢山睡眠を取り回復する。


「 ふーん。 変なの。 モンクもお節介マンだからなぁ。 仕方ないから、おやつ買って来たから食べるか? 」


ジャンボシュークリームだった。 サムの大好物。


「 わぁーい! 食べよう。」


二人で、B旧ホラー映画を見ながら食べる。


「 そう言えば、クソ元彼から電話してきてお金返してくれるってさ。 結構減ってたけど、残りはバイトして返してくれるってさ。 なんでだろ? 」


サムの脅しが効いていた。 相当怖かった様子。


「 良かったね。 これで、生活にそんなに問題ないね。」


「 うん。 モンクにも少しずつ返さなきゃ。

にしても、凄いビビってたみたい。」


海荷は返して貰えたのは嬉しかったが、いきなりの切り替えに対応出来ていなかった。 サムは少しやり過ぎた事を、反省するのだった。

二人で楽しく食べていると、


ピンポーん!

また客人だ。 桃かと思い、直ぐに玄関を開ける。


「 こんにちわ。 モンクン居るぅ?? 」


紅葉だった。 学校を休んで居たから、心配で来てくれたのだ。


「 あっ! 紅葉ちゃん。 晴斗君なら、今ゆっくり寝てるよ。」


「 そうなんだね。 じゃあ、少しお世話しよっと! お邪魔しま〜す。」


モンクが学校を休むのは珍しいから、紅葉が心配して面倒見に来たのだ。

リビングに入ると、そこには海荷の姿が。


「 あれ? 海荷ちゃん。 どうしてここに? 」


自殺未遂の話や、能力の話は内緒だから、何で居るのかと聞かれると返答に困る。 咄嗟とっさに、


「 …… よっ。 隣の席で結構話すから、休んだから気になって来たのよ。 サムとも友達だし。」


「 そうなんだぁ。 何か意外で笑。」


どうにか、自然な振る舞いが出来た。


ピンポーン!!

またチャイムが鳴る。 サムは直ぐに玄関へ。


「 あっ。 桃ちゃん。 どうぞぉ中へ。」


「 お邪魔しまぁーす。」


来客は桃だった。 リビングへ行くと、女の子達が待っている。


「 あれ? 誰?? 」


「 サム。 どちらさん? 」


紅葉と海荷は桃を知らないから、サムに問いただす。 桃も知らない女の子二人に、慌ててしまう。

元々、人見知りだから初対面は苦手だった。


「 初めまして。 あの…… サムとモンク君の友達の桃です。 お見舞いに来ました。」


二人はびっくりする。 だって、モンクに他校の女の子の友達が居るのだから。


「 ウチは海荷。 こっちは紅葉。 宜しくね。

可愛いお嬢さん。」


「 宜しくね。 モンクンまだ寝てるの。 本当に人騒がせなんだからね。」


二人は桃に優しかった。 モンクの友達だから、悪い人な訳がないからだった。 桃も嬉しい気持ちになっていた。

リビングでサムも合わせた4人で、海外ドラマを見ながらもぐもぐタイム。 女の子はスイーツやおやつが大好き。 話題は尽きる事無く、話が弾む。


「 小学校のときのモンクン何て、私より背は低くて弱々しかったんだよ。 いつも後ろをついてきて、可愛いかったんだから笑。」


紅葉は昔のモンクの話を聞かせていた。

紅葉は皆が知らない、モンクの事を色々知っている。


「 可愛いねぇ。 モンク君は昔から優しかった?」


桃は昔のモンクが知りたかった。 興味津々。


「 うん。 いつも帰りは一緒に帰るから、校門で待ってたり、お母さんに怒られそうなときは、一緒に謝ってくれたよ。」


全然変わらなかった。 ちなみに、伴ともずっと一緒で良くこき使われてしまっていた。


( モンク君は、やっぱりずっとモンク君だったんだぁ。 )


桃は何故か、嬉しくなっていた。 変わらずにいることは、意外に簡単な様で難しい。 人は簡単に変わってしまうから。


二階で寝ていたモンク。 少し元気になったので、買って置いた、いちごミルクを飲もうと一階に降りていく。 リビングからは、女の子の笑い声が聞こえる。


( なんだなんだ? 僕が寝てる間に、誰か来てるのか? 誰!? )


リビングに入ると、女の子が3人とサムの姿が。


「 えっ!? 何で皆居るの? 」


「 皆モンクンを心配して来たんだぞ? ちゃんとお礼言いなよ? 」


相変わらず、お節介の幼なじみ紅葉ちゃん。


「 ありがとう。 もう大丈夫だよ。」


テーブルには、食い溜めして置いたおやつが沢山出されていた。 サムに隠していたおやつの場所が、バレていたようだ。


「 モンク。 あんまり心配かけさせんなよ。

ウチも暇じゃないんだから。」


「 海荷ちゃんもありがとう。 もう大丈夫。」


海荷はモンクの姿を見て、ホッとしていた。

自分のせいで、モンクは寝込んでいたから早く良くなって欲しいから、心配で仕方なかったのだ。


「 相棒。 女の子達に囲まれて幸せもん♪ 」


言われてみれば、こんなに女の子が来た事なんか全然なかった。 ちょっとしたモテキ? の気分に浸るのだった。


「 モンク君。 大丈夫? 心配でお見舞い来たんだよ? はい。 これ、チーズケーキ買ってきたよ。」


「 ありがとう。 桃さんのチーズケーキ美味しそうだなぁ。」


桃は元気な姿を見て、一安心した。

桃は最近はモンクに会えていなかったから、体調崩してしまった話を聞いて、心配で仕方なかった。

笑ってるモンクの姿を見て気付いた。


もう、桃はモンクが好きなんだと分かった。

前から、良いなぁっと思っていたが本当の気持ちに気付いたのは、今日が初めてだった。


( 本当にモンク君、格好良くて優しくて好きだなぁ……。 彼女は居ないって言ってたけど、女の子の友達多くない? モテじゃん。

クソぉ…… 負けないぞぉ! )


桃は二人とはもう友達になっていたけど、恋のライバルだと勝手に決めつけた。 可愛い桃の早とちりだ。


楽しく皆でお喋りしながら、アルバムを見たりゲームをしたり、笑いの絶えない1日なっていた。

モンクは、こんなにも幸せな1日は初めてだった。

いつの間にか、もう一人では無いのだから。

孤独ではない。 こんなにも暖かくも、楽しい時を過ごせて、モンクには勿体ないくらいの幸せだった。


ちょっとしたモテキが来ても、良いのかな?

そんな1日でした。 明日からは、また学校に行かなければ……。 明日はどんな事が待ってるのか?

モンクは、今が一番楽しい毎日でした。



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