第17話 上下関係

放課後。 今日から本格的にバイトが始まる。

少しドキドキするモンク。

いざ! 麺屋パンダへ。いつもより足は速くアドレナリンも上がっている。

今日からモンクのバイトが始まるのだから。

お店に到着して裏口から入って行く。


「 お疲れ様です。 こんにちは。」


仕事は挨拶が常識。 出来ないのは論外。


「 おぉ。 来たね。 今日から宜しくね。

鈴木くん。」


優しく迎えてくれる店長。

直ぐにユニホームと、麺屋パンダのロゴの入った帽子を受け取る。 これがモンク専用のユニホームになるのだ。 直ぐに着替えて、準備万端。


「 おうおう。 似合うねえ。 男だねぇ。

よっしゃ。 タイムカード切って仕事開始だぁ。」


初めてのタイムカード。 仕事を始めるときと

終わる時に、働いたと証明する為の物。

タイムカードを切って、いざ仕事場へ!!


「 今日から鈴木くんには働いてもらう訳だけど、ポジションはどうしようかな? ん~、最後は作る側に回ってもらいたいけど、まずは基本的なフロアをやってもらおうか。 」


「 はい。」


まずはフロアをやるこになった。

基本的な挨拶や料理の名前や、接客術を教えてもらった。 モンクのやる気は桁違いでした。 メニューも丸暗記していて、ネットである程度な接客のトークも勉強済み。 やらせてもらえれば、頑張る子なのだった。


「 凄いなぁ。 鈴木くんが、こんなにやる気あるなんて…… 感激だよ。」


モンクは珍しく誉められ、誇らしげになるのであった。

あまりの早さに次のステップへ移行。

お客様への挨拶と席へ案内。 そしてお水を提供して、キッチンの人に伝える。

ここまでをマスターをすることに。


「 出来るかなぁ? 難しいからお手本見せるね。」


店長が一通りの流れを披露。

入店し挨拶をして、テーブルかカウンターどちらが良いか聞いて、お通ししてお水を持って行き、キッチンに伝える。 その流れはあまりにも華麗で優雅ゆうがに舞う。

お店に行ったときにあまりにも当たり前に見ていた光景。 でも、やると分かって行動してその大変さを初めて知る。 どんなお仕事も、裏での努力の積み重ねなのでした。


「 どうだった?? 」

「 …… 凄いです。 やってみます。」


まずは入店の挨拶。


「 …… いっいらっしゃ…… いませぇ。」


噛み噛み。 相変わらずの噛みである。


「 あははっ! もっとハッキリ。

いらっしゃいませ。 何名様ですか?

カウンターのお席でよろしいですか?

ありがとうございます。 カウンターへどうぞ。

カウンター、三番さんオーダー待ちです。」


完璧な流れ。簡単そうに見えてもやると

なると難しいのだ。


「 練習あるのみだ。 練習。」


それから一時間くらい練習を行った。


( 難しい…… 本当にできるかなぁ。 大変だなぁ。)


上手くいかないモンク。 すると、バイトの先輩が出勤してくる。


「 ちわーす。 今準備しますねぇ。」


おや? 何処かで聞いた事のある声。

モンクは頭の中をフル回転させ考えると。


「 鈴木くん。 バイトの子紹介するね。

海荷うみかちゃんだよ。 同じ高校一年生。」


「 初めまして。 高校一年の海荷うみかで…… ん? モンクじゃん。 」


海荷うみかは高校に入り、速攻働いていたのです。 言わば、「先輩」である。


「 えっ?? 海荷うみかさん? ここで働いてたの?? 」


驚きが隠せないモンク。


「 えっ? 二人とも知り合いだったの?

じゃあ、何で海荷うみかちゃんは、俺に鈴木くんと知り合いって教えてくれないの笑? 」


「 私、鈴木くんをあだ名でしか覚えて

なくて…… モンクが鈴木なの初めて知ったし笑。」


相変わらず適当な生き方な海荷うみか


「 そうなんだね笑。 今日から宜しくね。」


改めて挨拶をした。 学校でも会ってるのに バイト先でも会うと少し複雑……。


「 私の方が先輩だから、何でも聞きなよ。

モンクはトロいからね♪ 」


前の事があってからは、口は悪いけど少し優しくなった気がする。 気のせいなのかもしれないけど。

その後から厳しい海荷うみかの特訓が始まるのだった。


9時まで働き、ヘロヘロなモンク。

あれから約四時間働いて、初めてだったからか凄い疲れた。 お客さんがちょこちょこ来て、お水だけだしたりとか緊張の連発。


「 お先に失礼します! お疲れ様でした。」


「 お疲れ。 鈴木くん。 今日は疲れたろうから、ゆっくり休んでね。 お疲れ様♪ 」


モンクはヘロヘロな足で帰って行った。


( 本当に疲れたなぁ…… 海荷うみかちゃんの教え方はスパルタだし大変だったなぁ……

やっとゆっくり帰れる。)


やっと解放されてほっとしていると、


「 モンク。 お疲れい! 一緒に帰ろう♪ 」


( げっ!? 海荷うみか先輩だ。 これは面倒くさそうだぞ……。)


「 良いよ……。お疲れ様。」


帰りながら反省会をして歩く。

するとハンバーガー屋が見えてきた。


「 おい、モンク。 色々教えてやったんだからハンバーガー奢って♪ ねっ? 」


バイト代もまだまだ入らないのに、奢りって。

頭の中では愚痴でいっぱい。


「 了解。 任せてよ。」


相変わらずの意思の弱さだ。 でも先輩でお世話になるから大目にみるのだった。

二人でハンバーガー屋に入って行った。


家ではサムが寂しく一人でお留守番。

ご飯は用意してあるから、暖めて食べるだけ。

海外ドラマを見ながら、夜ご飯を食べる。


「 ムシャムシャ。 美味しいんだけどなんか、寂しいなぁ。 外に出て晴斗はるとくん帰って来てないか見てみようかな? 」


庭に出て探す。 やっぱりまだ帰って来ない。


「 はぁ…… 暇だなぁ。 バイトをすると毎日これだと寂しいなぁ。」


庭で一人ボールで遊ぶ。

壁に当てて、拾ってまた投げる繰り返し。

サムは寂しさを紛らわせる。

すると、呼び掛ける声が聞こえる。


「 おーい! モンクンのお庭に居る人ぉ??

おーい。」


紅葉ちゃんだ。 あまりにも気にしていなかったから、見られてるのに全く気づかなかった。


「 やぁ! 初めましてだね。」


猫に変身しているときに会っていたけど、

相手はサムだと気付く訳もなかった。


「 初めまして。 モンクンの従兄弟いとこさん? 」


従兄弟なんて居ないが、そう言う事にして

おいたほうが良さそうだ。


「 そうだよ。 従兄弟いとこのサミュエルだよ。」


「 外人さんなんだね。 瞳の色も青くて綺麗。

隣に住んでる紅葉もみじです。 宜しくね。」


紅葉もみじちゃんと知り合いになってしまったのだ。

まぁ宇宙人なのをバレなければ良いと思うサム。


「 サムくんは、モンクンに今はお泊まりしてるの? 」


「 今は家出していて、当分は泊めてもらおあかなぁって思ってるんだよね。」


上手い嘘をつけた。 慣れてきたもんだ。


「 ふーん。 外人さんも大変なんだね。

私は、モンクンの幼なじみなんだよ。

小さいときからの友達だよ。」


( 晴斗はるとくん友達居るじゃないか。

しかも可愛いし優しい。 晴斗はるとくんが惚れるのも分かるなぁ♪ )


「 そうなんだね。 晴斗はるとくんを

これからも宜しくね。 不器用で口下手だから、思ったこと上手く言えないから。」


サムはモンクが大好きだから、紅葉もみじちゃんに不器用なモンクを、分かって貰いたかったのだ。

本当のモンクを知って貰えれば、もっと好きになってもらえるからだ。


「 大丈夫だよ。 モンクンとは長い付き合いだもん。 良く知ってるよ。 幼なじみだもん。

私はそんな不器用な所も好きなんだよ??

これは内緒だよ。」


少し照れくさそうにする紅葉。

( 晴斗はるとくんを裏ではちゃんと見てくれてる人が居たんだ。 良かったぁ。 )


ほっとするサム。


「 ありがとう。 良かったら晴斗はるとくんのこっそり隠してる、シュークリーム食べない??

高くて美味しいんだよ♪ 二個あるから。」


サムは紅葉もみじのことが好きになり

一緒におやつを食べたくなった。


「 本当に!? こっそり食べちゃおう♪

二人の内緒ね♪ 」


そして家に入ってシュークリームを食べました。サムはモンクの友達だと自分も仲良くなりたくて、お話したくなってしまう。

モンクが帰ってくるまで、お喋りしたのだった。

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