第14話 まさかの合格?
学校が終わり、ホームルームも終わって帰宅することに。 キムナリくんは、久しぶりのクラスのみんなと意気投合している。
「 やっとみんなの中に溶け込めたね。
ん? 僕なんかより人気じゃない?? 」
悲しいけどその通りだった。 女子も男子もキムナリくんの事が気になっていたから、来たことが嬉しかったのです。
仕方ないので一人で帰るモンク。
家に着いた。
「 ただいまぁ。 サムちゃーん。」
外出中かぁ。 置き手紙がある。
( 桃ちゃんとスカイウォールのマンモスパフェを食べて来ます。 誘おうと思ったのですが…… 忘れてました。 ごめんなさい。サム。)
あの恩知らずの宇宙人は、今日は家に入れない事にしました。ふざけやがって。
羨ましいなぁ…… ん? 電話だ。
「 はい。 もしもし。」
知らない番号だ。 電話は苦手。
「 鈴木くん?? 麺屋パンダの柳内です。
連絡遅れてごめんね。 覚えてるかな? 」
麺屋パンダ…… ちょっと前に面接してた所だ。
「 遅くなりましたが、鈴木くんを採用と言う形になります! 」
採用?? あの…… 頭が真っ白になった。
「 ありがとうございます! …… えっーと宜しくお願いします。」
慌てるモンク。 もう落ちたと思っていたので、さすがに諦めていた。
「 本当にごめんね。 うちのバイトが、鈴木くんの履歴書どっかにやっちゃって、探すのに結構時間かかって…… 今から時間ある?
これからのバイトのこと、話したいからさ。」
やったぁ。 採用だぁ。 今日から僕は、
(パンダラーメンの店員。 晴斗だ。) と心の中で呟いていた。
「 全然時間あります。 今から行きますね。」
電話を切ってからパンダに向かう。
楽しみだなぁ。 頑張って働いてサムとかに自慢したいな。 そしてコミュニケーションスキルをあげて、紅葉ちゃんをあっ! と言わせるんだ。
男の野望だった。凄い速さではなかったが、速いペースでパンダに向かって行きました。
その頃、ショッピングセンタースカイウォールではサムと桃の姿があった。
「 今日は晴斗くんは一緒じゃないんだね。
絶対来るかと思ってたのに。」
絶対来ていたけど、サムは誘っていなかった。
それはキムナリくんとの事で忙しかったのもあったけど、一番は先にジャンボパフェを味わって自慢したかったからだ。
「 ごめんね。 相棒は忙しい奴で。 僕の方から今度言っておくね。」
何て恩知らずな宇宙人なのだろう。
二人はスカイウォールの中を探索する。
色んなお店がある。飲食店、服屋、靴屋。
おもちゃ屋。なんでもある。
一番の目的は飲食店、レストラン「 満腹 」の
ジャンボパフェだ。
このときの為に、お昼も少なめにしていた
サムでした。 レストラン満腹に到着。
「 いらっしゃいませ。」
直ぐに席に案内してもらえた。
「 サムはなににするぅ? 」
桃にはまだ黙っていた。 念入りに調べてここにしかない、ジャンボパフェ ( グランドオールザ・ウェイ ) を頼む事を。
「 パフェにしようかな? 桃ちゃんは? 」
冷静を装う。
「 ん~、リンゴたっぷりアップルパイにしようかな。」
( それでいいのかな? ) と上から目線で見るサム。
店員さんを呼ぶことに。
「 店員さん全然居ないけど、どうやって呼ぼうかぁ……。」
ピンポーーン! 謎の警報が聞こえる。
なんの音なんだ?
「 お待たせしました。ご注文をどうぞ! 」
呼んで居ないのに、遠くから一直線にここの席に来たのだ。 びっくりするサム。
「 あのぅ。 何で注文するの分かったんですか?」
気になり聞いてみると。
「 そこに置いてあるボタンを押してもらうと、こちらの従業員がボタンの通知が入って、それで分かるんですよ笑? 」
( ヤバい笑われてる。 前に座ってる桃も笑ってる。 いつの間にかボタンを押してたんだ。 平常心。平常心。)
「 知っていましたよ。 店員さん。
桃ちゃんから注文していいよ? 」
大人の様な対応。 平常心を取り戻し、レディファースト。
「 ありがと。 リンゴたっぷりアップルパイ
一つと、森のココア下さい。」
( 良い組み合わせだ。 点数を付けるなら73点って所かな? )
上から目線でまた見る。 そしてサムの番に。
「 ジンジャエールと…… ジャンボパフェ。
グランドオールザ・ウェイ1つ! 」
周りからの、ざわつきを感じる。
「 えっ? グランドオールザ・ウェイ? 」
「 頼む人いたの? 」
「 食べられるのかしら? 」
色んな声が飛び交う。
「 お客様…… まさか…… あのジャンボパフェ。
グランドオールザ・ウェイを注文ですか? 」
店員が慌てる。 桃も動揺を隠せない。
「 サム。 大丈夫? 凄い大きいんだよ?
食べれれば安いけど、食べられないと倍の3000円取られるんだよ? 大丈夫? 」
そうなのです。 このパフェは4人くらいで食べても多いくらいのパフェ。 あまりのデカさに、若者がインスト映えの為に沢山押し寄せて、残しまくってしまった。
店長はそれを悲しみ、食べれないなら罰金として倍の額を支払わせるルールにしたのだ。
食べ物を粗末にするのを嫌うのは、コックとして当前だ。 どうする。サミュエル。
「 任せてよ。 コックに伝えて下さい。
本気で来いと。」
決まった。 サムの決め台詞。
「 …… かしこまりました。 お時間かかりますが
宜しいでしょうか? 」
「 宜しいです。」
そうすると、店員さんは厨房に駆けて行った。
「 サム。 絶対大変だよ。大丈夫? 」
凄い心配してくれる。 優しい桃。
「 大丈夫大丈夫! このときの為に、お昼は
オムライスだけにしたから。」
意外に食べていた。
その頃厨房では。
「 店長!! 大変です。 恐れしらずのアホそうな外人がグランドオールザ・ウェイを注文してきました。」
厨房のコック達の動きが止まる。
「 なに? デカいって伝えたのか? 」
当然、伝えたがアホでした。
「 伝えましたが大丈夫だって。それと店長一言。本気で来いと……。」
( 店長
若いときに色々な店で修行して、フランス。
イタリア。 アメリカ。 色んな店で修行して、お金を貯めて店を構えられるようになった。
店長は若い頃、パフェとかデザートを食べる程お金がなかった。 だからコックになって、たらふく食べたいと思い、コックになった。
そしてみんなに安い金額で、たらふく食べて欲しくてこのパフェを開発した。 でも若者は食べ物有り難みが分からず粗末にして残しまくりました。
だから、仕方なく厳しいルールを作ったのです。
最近は罰金を恐れて注文が無くなり、やりがいがなかったのです。
それが今、アホなサムの来客により目覚める。
本気の武蔵が……。
「 アホなあの客に俺の力を見せてやる。」
厨房は店長のやる気の炎が上がり、パフェは店長一人で作ることに。
あっという間に、飲み物2つとアップルパイが到着した。 美味しいそうだ。
「 来るまで待ってるね。 ジュース飲もう♪ 」
健気なお嬢さんだ。 気にすることはない。
「 気にしないで。先にどうぞ!
僕にはグランドオールザ・ウェイがあるから♪ 」
それにしてもネーミングセンスは最悪だ。
「 そう? じゃあいただきまぁす!
モグモグ。 美味しい。 ここのコックさん、凄い修行してこの店出したから、腕は確かって雑誌に書いてあったの。 本当に美味しい。 サムくん、一口!あーん。」
一口くれるみたい。 嬉しい♪
「 あーん! モグモグおいちぃ♪ 」
二人で穏やかな時間を過ごしていた。
するとお店のBGMが無くなり、真っ暗に。
厨房から特大のパフェが来た。
花火で輝きながら。 周りのお客さんは圧倒される。店長がわざわざ持ってきた。
「 お客様。 お待たせしました!
当店自慢のグランドオールザ・ウェイで
ございます。 お召し上がり下さいませ♪ 」
凄い大きさだ…… 通常のパフェなんて赤ちゃん用に感じるくらいな大きさだ。
平常心に見せるサム。
「 ありがとうございます。 お手並み拝見させていただきます。」
ここから武蔵VSサムの、静かなバトルが繰り広げられる。
関係ない桃は、静かにアップルパイを頬ばるのだった。
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