第10話 約束

サムが何故僕の使えた能力を封じたのか?


「 悪いと思ったけど仕方なかったんだよ。ゴメンよ…… 。」


何故恥をかくことを分かっていて、能力が出ないようにしたのか?


「 僕が晴斗くんに能力の使い方を教えたのは、自慢とかではなく純粋に活用して欲しかったんだ……あの時、もし跳び箱を跳べていたら目立って良い思いもできたかもしれない。

僕はこんな力に頼って人気者になってほしくなかったんだ。 ごめんね…… だってこんなにも晴斗くんは優しくて、本当は誰よりも心が強いことを僕は知ってる。 絶対にいつかみんなが分かるときが来るから。」


珍しく真面目に語るサム。


「 そうだよね。 僕が間違ってたよ…… ごめん。

あのイケメン白夜に一泡吹かせたくて、柄にもないことしちゃったなぁ笑。」


説得されて間違えていたことを認めたモンク。


「 ありがとう♪ 絶対君になら出来るよ。」


二人の絆はまた深まった。 モンクも反省した。


「 それにしても、どうして能力使うの分かったの? 」


サムは家にいたから分かるはずもない。

気になってしまった。


「 簡単だよ。 能力を使うと、宇宙人なら反応で分かるんだよ。 晴斗くんも簡単に分かるようになるよ。 能力の反応がして直ぐに飛んで近づいて見に来たら、晴斗くんが民家に突撃しててもしかしたらと思って監視してたの。」


忘れてたけどやっぱり宇宙人なんだなあ……。

すごいなぁ。 待てよ…… ?


「 サムは飛べるの?? 」


サラッと話してて流しそうになったが、飛べることは初耳だ。


「 宇宙人だからね。基本的なことなら何でも出来るよ。」


またまたサラッと言うなあ。


そのとき、ガラガラー!

保健室の扉が開く。


「 大丈夫かぁ? 気絶してたぞ。」


保健の先生だ。 ヤバいサムが見つかる。


「 あの…… コイツは僕の、あのその……。」


あたふたしていると


「 なにいってんだ? あんた一人でしょ? 」


おうっ?? 後ろを見ると誰も居なかった。


( あいつ本気出すと宇宙人パワー凄いな。)

モンクは染々感じるのだった。


「 あはは! 気絶してたから夢見てました笑。」


モンクは直ぐに誤魔化す。


「 バカみたいなこと言ってんじゃないの。もう少し寝てろ! 」


保健の先生は若くて綺麗だけど

江戸っ子みたいに強気で男顔負けである。

ある男子が告白したら、簡単に流されたらしい。

口も悪い。 彼氏はいないようだ。


「 少し休みます笑。」


頭がまだ痛かったから、少し眠りについた。

見も心もボロボロだったから、長い眠りについた。


あっという間に時間が過ぎると、目が覚める。


「 ちょっと頭痛治まったかな? 」


中々良く休めた。 ん? もうお昼かあ。

人影が見える。 保健の先生じゃない。


( 木村くん? )


木村拓成きむらたくなり

高校入学して最初は来てたけど、ここ最近見なかった。 保健室登校してたようだ。

こっそり観察していると、もうお昼なのに勉強してる。 保健室登校でもみんなに負けないようにしてるんだなぁ……。

見てるだけで分かる努力家。 話してみたくなる。


「 キムナリくん久しぶり。僕のこと分かるかな?モンクだよ。」


自分でモンクって言うのは複雑な気分だった。


「 知ってるよ…… 久しぶり。」


覚えてくれてたのかあ。 良かった。


「 君はいつも伴くんに絡まれてるから、心配で見てたよ……。」


( なんだと!? あれは絡まれてたんじゃなくて

絡ませてやってたんだよ。)


なんて嘘だけど。 ある意味、いじめられ過ぎて知らない訳もなかったか。


「 あはは。 見られてたよね笑。 キムナリくんはどうしてクラスに来ないの? 」


「 うん…… ですね。クラスの女子にイジメられてちょっとね……。」


( なんだって? 女の子に? )

モンクはまだだった。 どんな子なのか?


「 それは酷いね。 誰にイジメられてるの? 」


次のターゲットは自分かもしれないから聞いておかねば……。


「 橋山王妃さん……。」


橋山王妃!!??


橋山王妃はしやまおうひ

クラスのギャルの王が海荷なら、王妃は勉強の王。勉強の王って聞くと聞こえは良いが、勉強のことにはうるさい。

平均点や偏差値の話とか、赤点取った奴を笑いまくったり。 勉強大好きガールである。


「 でもなんで、王妃がキムナリくんをいじめるの? 」


そこが凄い気になる。


「 実は僕、最初の中間テストの点数学年トップだったんだ。 王妃さんが2位で……。」


( 王妃に勝った? あの勉強大好きガールに!? )


「 凄いんだね。 塾とか行ってるの? 」


さすがに王妃が塾に行って2位なら、キムナリくんも行ってるだろう。


「 行ってないんだ。 お父さんが学校の先生で家でたまに見てくれるんだ。 だから少し勉強出来るんだ。」


納得の理由だった。 イジメられあ理由が、何となく分かった。


「 キムナリくん凄いんだね。 羨ましい。 僕なんて学年で15位くらいだよ笑。」


モンクもさりげなく頭がいい。 一人は暇なのだ。


「 そうかな? 頭良くていじめられるなら、一位になりたくなかったなぁ…… 僕ね、お父さんみたいな教師になりたくて勉強してるんだ。

憧れなんだよね。」


キムナリくんが、こんなに話してるの初めて

みたような気がする。 喋れるんじゃないか!


「 夢があっていいね。 俺なんか全然だよ♪ 」


自慢できることでもない。

にしてもお腹が減った……。


「 キムナリくんお昼は? 僕は今日もうないから購買部に買いに行くけど。」


伴に朝取られたからである。


「 僕は大丈夫。 近くのパン屋で買って来たから……。」


( にゃんだってぇーい!? )


「 何処のパン屋さん? 僕ね、パンにはうるさいよ! 」


パン博士と呼んでくれ。 モンクはパンの話になると、口うるさくなる。


「 でもモンクくん、いつも購買のジャンボアップルパイ食べてなかった? あれ美味しいくないよね……。」


好きで食べるわけないだろ!!

と、ツッコミたくなる。


「 いつも伴にトレードさせられてるからあんなパンなの。 本当は美味しいカレーパンが好き♪ 」


「 ごめん、ごめん。 良かったら…… 一緒に食べない? 嫌じゃなければ…… いつも沢山あるから……。」


優しいやつ! キムナリくんは、人を思いやれる優しい人なんだと、モンクは思いました。


「 ありがとう。 喜んで♪ どんなパンあるの? 」


本当に沢山ある。 クロワッサンにドーナツ

それに…… なんだこのカレーパン??


「 それはね、キーマカレーパン! 美味しいよ。」


邪道。 カレーパンはビーフカレー一択。

ましてやキーマカレーなんて笑。 モンクの勝手な偏見である。


「 美味しいの? 絶対ビーフカレーパンの方が美味しいよ笑。」


「 食べてみてよ♪ 」


仕方ないなぁ…… サクサクっ! むしゃむしゃ、


「 うみゃあーーい♪ (美味い) 。」


どっちも美味しいけど、斬新かつ、キーマの旨さてんこ盛りである。


「 美味しいよ。 ビーフカレーパン一択かと思ってたけど、偏見に満ち溢れてたね…… 参りました笑。」


惨敗だ…… 本当に美味い!


「 でしょ? 今度モンクくんの好きなカレーパン食べさせてくれる? 僕も食べてみたいなぁ……。」


「 良いよ。 あそこのおじさんと僕は、親子同然だから最高のカレーパン作ってくれるんだ♪」


ある程度は本当だ。 モンクの自慢の一つ。


「 凄いんだねモンクくんは。 また保健室来てくれる? 」


やっぱり心配してるキムナリくん。


「 なに言ってるんだよ。 僕たちはパン大好きな仲間じゃないか♪ もうとっくに友達だよ☆ 」


最近はサムと話したりしてたからか、思ってたより上手く話せてる。


「 ありがとう。 友達だね。」


ほっとけなかった。 何故ならサムと会う前の

僕だったから。 もしキムナリくんがサムに会っていたら、逆だったのかもしれないから。

連絡先を交換して友達になった。

二人でパン話で盛り上がった。

キムナリくんは見せたことない笑顔で笑っていた。モンクも楽しかった。


すると、能力で保護色していたサムがずっと二人を見ていたのだ。


「 やっぱり君は能力なんて頼らずとも、その優しさで相手を引き付ける…… やっぱり君と出会えて良かったよ。」


サムは自慢のモンクが誰かを助けてると自分のことように嬉しいかった。

バレないように見守る。 サムにとっても今の時間はとても居心地の良い幸せな時間だった。


その頃体育館前に来客が来ていた。

担任の椿先生だった。


「 晴斗くぅ~ん一緒に食べよう? あれ?

居ない? 何処?? 」


おっちょこちょい先生なので気絶して保健室に居ることを、まだ知らされてなく探し続ける優しい先生だった。

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