第8話 再会
3日の月日が経った。 バイトの合格の電話が来ない…… 何でなんだ。 不良でもバイトしてるのに?落ち込みが隠せないモンク。
もしかしたら、バイトでさえ受からないなら仕事なんてできるのかなぁ?
考えれば考える程に落ち込んで行く……。
深い…… 深い…… 湖の中に落ちてくようだった。
「 晴斗くん、どうしたんだよ。 日曜日じゃないか。 休みなんだから、一緒に遊びに行こうよ。」
無邪気に誘ってくるサム。 遊びたくてもメンタルがボロボロなモンク。
「 サム。 またにしないかぁ? もう…… 絶望のズンドコにいるんだから。」
絶望のあまり言葉も間違える始末。
これは重症だ。
「 重症だなぁ。 よぉーし。 今日のご飯は僕が作ろう♪ 買い出しも任せてよね。」
相棒の為に張り切るサム。 がま口の財布を持って
いざ! 大型スーパーへ!
初めてのおつかい(宇宙人の)。
今のサムは自信に満ち溢れていた。 モンクと似てる所は多いけど、正反対な面も色々あるようだ。
( 大型スーパーマンモス )
ここが戦場かぁ。安売りが多く、主婦達が溢れかえる。ここなら大きいから何でも揃うはずだ。
ただし、まだ知らなかった。 安売りと言う事は、安売り狙いの獣達が居ることを……。
「 一人で来ると凄い迫力…… 流石はマンモス。」
サムの欠点は考えるより行動してしまう所にある。 その為、何を作るかも決めていない。
さぁ、どうすればいい??
「 んー、難しいなぁ。 なにが好きだったかな?
作れる物あるかなぁ? 」
迷いまくるサム。 まさにサムにはマンモスは
ラビリンス。 中華? 洋食? やっぱり和食?
そのときアナウンスが鳴り響く。
「 ただいまより、冷凍ハンバーグの詰め放題始まります! どんなに詰めても300円。 どんなに詰めても300円。 どうぞご利用下さい。」
( これだぁ。 これしかない。)
サムにアナウンスが救いの手を差し伸べる。
「 ハンバーグ沢山詰めて、ハンバーグ祭りだ。
まさに今俺はハンバーーーグっ!! 」
テレビに影響されやすい。 ハンバーグ売り場へ!そこで見た光景は、まさに戦場……。
怒涛や罵倒。 酷い所は殴り合いにまで発展していた。 店員さんも、止めようとして殴られる。
「 なんなんだこれ!? プロレスでもしてるのかぁ?」
おばさん達がこれでもか。 と詰めまくる。
隣の人に負けない為に、倒れてる人もいる。
店員さんだ…… 酷い。
「 相棒…… マンモスの日曜日は戦場って言ってた理由が分かったよ。 だから日曜日を避けてたんだね…… 待ってろよ。 ハンバぁ~~グっ!! 」
おばさん達のパワーは凄まじい。
肘討ち、エルボー、足踏み、服引っ張り。
スポーツ競技なら即退場だ。 サムはボロボロになる。 戦場に出るには、優し過ぎたのだ。
「 はぁはぁ…… まだだ、負けるもんかぁ!!」
その時、いきなり誰かに服の襟を引っ張られる。ぐいっ!! サムはいきなりの事に、慌てるのだった。
「 うわぁぁ! なんだぁ?? 」
引っ張られるとそこに居たのはギャル。
そう。モンクの隣の席の海荷であった。
「 ちょっとぉ! あんたさっきから見てたけど、弱々しくて話になんないよ。 見てるこっちが腹立ってきたの。 それにあのハンバーグ、安いだけだから不味いよ? 」
見た目はあれだけど、サムの為に忠告してくれた優しい子だ。 見てみぬフリが出来ないのだ。
「 そうなのかい? 相棒の為に美味しいご飯作りたくて…… ありがとう。 僕の名前はサミュエル。サムって呼んでね。」
誰とでも直ぐに仲良くなろうとする、社交的なのがサムの良い所でもある。
「 はぁ? 変な奴ね笑。 気に入った。私は海荷よ!友達のボンクラの為にご飯作るんだろ?
簡単なの教えてやるよ。 冷製パスタならあんたみたいなボンクラでも作れるし。」
とてつもなく口が悪い。 でも優しいのが何となく伝わってきたサムだった。 人は見かけや口の悪さより、やっぱり心なんだと思った。
「 ありがとう。 作れるかな? 優しいんだね。
君は見た目と口調は、悪いけど心は綺麗なんだね。」
サムが素直に誉める。 少しトゲがあるけど。
皮肉にも聞こえる。
「 本当に変わってんのね! 優しいんじゃなくてあんたがほっとけないだけ。 あんたみたいなボンクラじゃ、あの戦場では戦えないわね。」
戦場に詳しい海荷。 家庭的なのかな?
「 これからウチに来なよ? 狭い家だけどそれでも良ければ。」
( 家にコンプレックスがあるのかな? )
少し気になる言い方だった。
「 助かるよ。 行かせてもらうね。 家が広いか狭いかは全然関係ないよ。 家は飾りだよ。 一番は何でも中身だよ? 卵も一番美味しいのは黄身でしょ?」
と返答した。 全てモンクの受け売りだ。
「 ありがとう…… あんたって、本当に変わってんだね! 」
海荷はちょっと嬉しいかった。
二人は海荷の家に行くことに。 アパートの一階に住んでいた。
「 さぁ。 入って。 狭いけど。」
1Kの小さな一室。 狭いけどちゃんと整理整頓されている。 性格がでるなぁ。
「 綺麗な部屋だね。 晴斗くんの部屋なんて本とかゲームとか散らかり放題。 僕が片付けしてるんだから。」
だらしないことをばらされる。 モンクの名前が出たから、気付くのだろうか?
「 本当あんたらボンクラなんだから。 さぁパスタ作るよ!」
やっぱり、あだ名でしか覚えてなかった。
鬼コーチのパスタ指導の始まりだ。
麺のゆで方。 ソースの作り方。 スパルタだ。
負けないぞ。 何時間が過ぎてなんとか合格ラインに達した。 教え方も上手かったお陰だ。 パスタはお手頃料理。
「 凄い美味しい。 ありがとう。 凄いんだね。」
満足するサム。
「 教えんの苦労したぁ。 出来たんだから早く帰ったら? ボンクラが待ってんだろ? 」
その通りだが気になることが……。
「 両親はいつ帰ってくるの? 」
「 離れて暮らしてんの。 親父とケンカして勘当されてこのアパートに入れられたの。 寂しくないよ。もう慣れっこだから……。」
明らかに寂しそうだ。一人で食べるのは、絶対に寂しいと思い、サムは海荷に。
「 僕の家で三人で食べよう? 晴斗くんもいて楽しいよ! やっぱりご飯はみんなで食べなきゃ♪ 」
サムが海荷を心配に思い誘ってみることにした。
海荷の性格上、素直にyesとは言えない。
「 はぁ? 面倒だよ……
ウチが行ったら迷惑だし。」
素直になれない。 海荷は不器用だった。
「 相棒は迷惑なんて思わないよ? 相棒の友達になってくれるかい? ビビりで友達いないんだ笑。
後今日、mamazonから届いた新しい映画、ジェイソンVS貞子一緒にみない?? 」
必死に誘うサム。 なぜならモンクなら絶対同じ行動をする筈だから。 サムもモンクの様に、誰にでも優しい人になりたかった。
「 友達かぁ。 友達になれるかはわかんないけど、そのB級映画まだ見たことないんだよね! 」
来る気になってくれたようだ。
「 そうこなくちゃ。 相棒も喜ぶよ♪ 」
二人で大量のパスタとサラダを持って
モンクの家へ。
「 ただいまぁ! 」
二人で家に入る。
「 遅いぞ。 マンモスに行ったからって、こんなに時間かかるもんなの…… え?? 」
「 え?? あんたの家なの? 」
モンクもびっくりしていた。 だって隣の席の海荷がまさか自分の家に来るなんて。
「 晴斗って言ってなかった? こいつはモンクだよ? 」
名前をあだ名と勘違いしていた。 普通モンク何て名前居るわけがない。
「 あはははっ…… モンクは伴くんが付けた
あだ名だよ。 名前は晴斗だよ。」
「 そうだったんだ。 入ってもいい? サムに頼まれて沢山パスタ作ったから。 早く映画見よう♪ 」
まさかの展開。自分の家に海荷が
来るなんて。 しかもパスタ持って。
「 どうぞどうぞ! 最高傑作のこの映画を見たいなんてお目が高い♪ 」
三人はテーブルでサラダとパスタを食べながら映画を見る。
大爆笑する海荷。 サムとモンクは映画にビビりまくる。
「 こんなちゃっちいのでびびってんの?
マジでウケるんだけど笑 」
三人の声は家中に響き渡る。
海荷は一人で慣れてたと思っていたけど、それは違っていた。 そう思わないと辛かったから。
やっぱり大勢で食べるの良いなあ♪
そう思う海荷だった。
モンクも海荷とこんなに笑うのは初めてだった。最高の時間を過ごした。
「 今日はありがとう。バイトないときまた来てもいいかな? 」
珍しく弱々しい。
「 いつでも来てよ。 次はエイリアンVSカウボーイみよ♪ 」
モンクも楽しかった。 だから、また来て欲しいと思っていた。
「 ありがとう。 ウチらもう友達だね! これ私の連絡先。 またね。」
( 可愛い奴!! あれ? 初めての友達? そうだよね? )
「 友達だぁぁ!! やったぁ♪
ありがとうサム!! 」
吠えるモンク。 初めての友達に興奮を隠しきれない。
「 呼んだのは僕だけど、海荷ちゃんは晴斗くんとばっかり喋ってたよ? 晴斗くんの力だよ。」
「 ありがとう。サム。」
二人は本当に仲良し。
二人は海荷を帰るのを見送り、家に入った。
次の日の朝。
いつもの日課のパン屋へ。
二人は無駄話しながら歩いていると
朝の霧の中、パン屋さんの前に人影が。
「 あれ? 誰かいるなぁ? 誰だろ? 」
恐る恐る近寄ると桃だった。
「 あれ? この前の合コンに居た、たしか…… 桃さん? 」
流石は行動力はないが、暗記力だけは人並み以上。 モンクの特技の一つ。
「 この前は楽しい話してくれてありがとう。
変な別れ方したから、もう一回会いたくて探してたの。 ごめんなさい…… あれ? サム?
もしかして相棒って…… モンクくん? 」
サムはあだ名を知らなかったから気付かなかったのだ。
「 まさか僕の相棒だったのかぁ…… 。
良かったね♪ 桃ちゃん。」
まさかの再会。 宇宙人が来てから運が向いてきたモンクだった。
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