第5話 能力

サムか来てから3日目の朝。

寝るまで色々な能力があることを教えてもらったモンク。

パンを買いに行く途中で、能力をちょっと見せてもらうことに。


「 ハイジャンプ 」=そのままの意味だが、凄い高い所までジャンプできる。

最高はマンション10階まで跳べるくらい。


晴斗はるとくん見ててね。

ハイジャンプ! 」


ぴょーんっ!!

住宅地の屋根に軽々ジャンプした。

その光景はまるで、映画やアニメの様な光景だった。


「 凄い…… それと同時に見つかったらヤバい焦りもあるぞ。 もう大丈夫だよ。 良く分かったよ。」


サムは直ぐに降りてきた。

降りてくる姿も、まだ映画を見ている様だった。


「 どうだった?? 」

恐る恐る聞くと


「 凄いってもんじゃないよ! 宇宙人は良いなぁ♪なんでも出来て。」


と興奮したモンクが話すと


「 実は人間と僕達クロニクル星人は、体の構造は対して変わらないんだよ? 」


モンクは驚く。 ほとんど同じで……。


「 違うことは、能力の使い方を誰もまだ知らない事と、きっかけがないからなんだよ。 分かれば、才能とセンスがあれば直ぐに出来るよ。」


( そうなんだ…… んっ? )

モンクは少し気になる事が分かる。


「 何で人間と体の構造が似てるの知ってるの? 」


気になってしまい、モンクが聞くと


「 寝てる晴斗はるとくんの体を透視して構造を調べてみたんだよ笑。」


( おぉーいっ。 ちょっと怖いじゃないか! )


モンクはびっくりした。 この話を聞くと、やっぱり宇宙人なんだと思った。


「 今度からは勝手にしないで、聞いてからするんだよ? 親友なんだから。それと、親友でもプライバシーと言うものがあるんだからね? 」


笑顔でうなずく。

モンクは能力を使えるようになりたかったので、今度教えてもらおう! と考えていた。


相変わらずのパン屋で、王様気分を味わいながら

買い物をして店を出て、歩きながら宇宙人の話を沢山聞いた。 自分の知らないことばかりだ。 全てが、斬新かつ無限なる世界だった。 新しい教科書で勉強している様に……。


「 サムは、僕にバレないように能力使ったりするの? 」


モンクは気になる事をどんどん聞く。

サムは笑顔で答える。


「 能力は出来たら出来たで、ワクワクやドキドキがなくなってしまうし、基本使わないよ。

困ったときしか使わないかな。」


サムは謙虚な宇宙人だなぁっと単純に

思った。 悪いことには一切使わないのだから。

自分が同じ立場なら、色んな事に使いたくなって仕方なくなってしまう。


「 僕はね、能力のない晴斗はるとくんは能力なんかでは手に入らない優しさと愛情がある。 能力なんかより素晴らしいと僕は思うんだ。」


納得しないが、そうなのかなぁっと思うモンクであった。


朝食を食べて学校に行くことに。


「 そろそろ行くね? 今日は地球探索に行くの? 」


サムはうなずき


「 うん。 まだまだ知らないことが多いから見てくるよ♪ 」

そう聞くと、モンクはがま口の財布と

その中に少しばかりのお小遣いを入れ送りだす。


「 無駄遣いはダメだよ? 人間にバレないようにね。」


サムは初めての、お財布とお金に大喜び。


「ありがとう。 行ってくるね♪ 」


二人は家を出て、別々の方向に歩いて行った。


学校につき席に着くと、


「よう。 モンク。 昨日の合コン悪かったな。 手が滑って。 また誘うからな。」


伴が話かけてきた。


( なにを~!? わざとらしい。)

モンクは心の中で、イライラしていた。



「 全然大丈夫だよ。 むしろ気まずいから丁度良かったよ。」


ご存知だと思うがやせ我慢だ。

直ぐに、自分の思ってる事を我慢して、怒らせない様にしたり、悲しませないようにしている。

モンクの悪い癖だ。


「 そうかぁ? あの後、盛り上がって最高だったぜ? 連絡先交換したり、俺の筋肉披露したり。」


帰って良かったと心から感じた。

授業が始まり、いつもと同じ日常が始まる。



「はぁ…… 授業めんどうくさいわ。」


隣の海荷うみかだ。毎日ダルそうで彼氏と遊びまくり、学校はオマケな感じ。

スマホばかりいじってつまなそう。

友達も中々多い。 物事をはっきり物申すのが魅力的なのか。 女子からの人気は高い。


( んっ? 足の下に変な感覚が消しゴム? )


「 モンク。 ウチの消しゴム踏んだな。 ざけんなよ! 」


凄いデカイ声。

俺に言うと言うより校内放送だ。

周りの生徒達も、振り向いて見るぐらい目立っていた。


「 ゴメンね。…… あのぅ、」


焦りまくる。

「 もういらない。」と一言。


「 消しゴム余計に一個あるから良ければ……。」


「 アンタの持ち物だった、汚い消しゴムなんか誰がいるんだよ! 」


怒ったら止まらない。

こう言うときは謝りまくって、怒りが収まるのをただ待つしかない。災害のときのように。


お昼休み。海荷うみかはスマホいじりながら

飴を舐めていると、


「 …… 海荷うみかさん、さっきはごめんなさい。 あの…… 購買部で買ってきた消しゴム使ってよ。 新品でビニールも開けてないし汚くないよ。」


海荷うみかは少しびっくりする。

沢山怒ったけど、消しゴムの存在を忘れていた。

自分の消しゴムの事を、まだ気にしていたモンクに少し悪い事をした気分になった。


「 さっきはプライベートイライラしてただけなんだよ。 八つ当たりだ。 汚いなんて言って悪かったな。 ごめん…… お前が触っても汚くねぇよ。 消しゴムありがとう。」


少しは可愛い奴っ!

不器用だけど心の中は、優しい人なんだと分かったモンクだった。


「 僕が悪いから気にしないで。 本当にゴメンね。」


少しだけだけど、海荷の事を分かった気がした。


( 相棒。僕も少しは頑張ったぞ! )

モンクは少しだけど、成長出来た気がしていた。


その頃相棒は…… 家電量販店にいた。


「 これは凄い…… 家のテレビよりでかいのが沢山ある。 このスピーカーを使うと映画館並みに?

んー、興味深い。 晴斗はるとくんに相談してみよう。 映画館にも行ってみたいし。」


店から出て歩いていると、女子校生が大人二人に絡まれていた。


「 ちょっと遊ぼうよ? ねっ?

ちょっとだけだから。」


嫌がる女子校生。

押しが強い、ナンパする若者だった。


「 やめなさい。嫌がっているじゃないか。」


サムが助けに入る。 不良二人は近づいてくる。


「 舐めてんじゃねぇよ! ボケっ! 」


お腹に蹴りがまともに入る。

うぐっ!息ができなくなる。

パンチも顔に何発ももらう。


ドンッ!バコっ!


「 テレビで暴力シーンを何回も見てたけど、本物の暴力はドラマみたいに清々しく自分に酔ってなんかいられないぞ? やはり本物は体験しないとわからないなぁ。うぐっ! 痛過ぎる! 」


ぼこぼこにされるサム。

すると女子高生が、見て居られなくて……


「 誰かぁー! 暴力振るわれてます。

助けて下さい!! 」


女子校生が大きな声で大人に助けを呼びに行っていたのです。


「 やべぇ。」


不良は、凄い速さで逃げて行った。


「 これが…… ケンカってやつか。

勉強になった。」


ふらふらになり、柱にもたれ掛かる。

サムも人間の常識が分からなく苦労していた。


「 大丈夫ですか? 私のせいで…… ごめんなさい。」


泣きながら手当てしてくれる女子校生。

濡れたハンカチで、血の出てる所を拭いてくれる。


「全然大丈夫だよ。 相棒が言ってたんだけど、体に受ける傷は直ぐに消えるけど、心の傷は治すのが大変なんだって。 だから君の方が心配だよ。 大丈夫かい? 」


まさに紳士。 誰かさんにも見習わせたいものだ。


「 全然大丈夫。 ありがとう。 外人さん? 」


女子校生が尋ねると


「 そうそう。 遠くから来ました。 今は相棒と二人暮らし。 僕のヒーローなんだ。 相棒は。」


サム自慢の親友の話をした。

見ず知らずの自分を、助けてくれたモンクはサムにとっては、まさにヒーローだった。


「 うふふふっ。 あなたは相棒さんが大好きなんですね。 男らしくて格好いいんでしょうね♪ 」


女子校生が笑った。

少しは元気になっていた。


「 最高ですよ。 相棒より良い人間はいないよ。

友達全然いないけどね笑。 僕が相棒の友達第一号なんだ。 僕の自慢だよ。」


女子校生は話を聞いて微笑ましく思う。

少し話すとサムは探索しに行かないといけないので、そろそろ行くことに。


「 あのぅ、良かったらお礼させてもらえないですか? お茶だけでもいいので……。」


お礼をしたくて、女子校生がおどおどしていると、


「 全然気にしないで良いのに。 アイス屋さんってありますかね? 」


サムはお礼されたことがないので、遠慮が出来なかったのです。 単純に嬉しいかったのです。

女子校生が笑い、近くのアイス屋さんに行くことに。


「 好きなの頼んで下さいね。」


店員さんが

「 いらっしゃいませ。」と接客してくれ、

アイスを選ぶことに。


「 んー、これは凄い。 相棒の冷凍庫のアイスが霞んで見える…… いつも一個しか食べれないから悩むなぁ…… ん~。」


悩むサム。


「 トリプルにすれば三段に出来ますよ?」


サムは驚きを隠せない。


「 三段?? そんな事が可能なのか? そんなことが出来たらお城じゃないか!! そんなにしてもらって大丈夫ですか? さすがに三段は申し訳ないですよ……。」


サムはさすがに図々しいと思い諦めようとすると、


「私もトリプルしたいから一緒に食べよう?

一人で頼むの恥ずかしいから。」


サムは感激していた。


「 ありがとう。 人助けするとトリプルをもらえるのかぁ。 お姉さん、これとこれとこれ! 多目にね♪」


お姉さんがにっこりしながら準備してくれた。

二人で公園で食べることに


「 凄い圧巻。 圧倒的なお城…… 相棒にも教えてあげよう♪ 」


二人で仲良く食べていた。


「 喜んでくれて嬉しいです。 美味しいね♪ 」


女子校生は笑顔で食べた。 そんなに食べたい訳ではないが、サムに遠慮させないためにトリプルを頼んだのだ。


「 旨すぎる。味も大きさもヤバすぎる。

まだまだ探検しないといけない所が多すぎる。

恐るべし……。」


二人は笑顔で食べた。

サムは、モンクの様になれたかな? と思っていた。


女子高生は、サムの様な紳士に会えて凄い嬉しくて楽しい気持ちになっていた。

二人のアイスは、いつもより格段に美味しかった。

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