突撃! 今をときめく、噂の主従にインタビュー!
※このインタビューは、現時点(第13話 地下牢へ)で書かれたものです。
<インタビュー①>
Q1. ――あなたの所属と名前を教えてください。
「ハーシェル・ルイス。知ってのとおり、ナイル帝国の王女よ」
庭園の椅子に優雅に腰かけ、ハーシェルは答えた。丸いテーブルの上では、紅茶から香り豊かな湯気が立ちのぼっている。
Q2. ――あなたの側近は、どんな人ですか。
「うーん、『口うるさい真面目』かしら。最初はもうちょっと寡黙に仕事をこなすタイプかと思ったのだけれどね。あの人の説教は、父さまやラルサより長いわ」
ハーシェルがげんなりした顔で言った。
――そうですか。いつもお疲れ様ですー。(怒られるようなことをしている姫様も姫様では……ボソッ)
「……何か言ったかしら?」
ハーシェルが低い声で言った。
――イヤ、ナンデモナイデス。
Q3. ――あなたの側近の、いいところは何ですか?
「そうね、結構まわりをよく見てるわよね。小さな変化にも気づくっていうか。でも、余計なことにまで気づくのは難点ね。城を抜け出すのには不便だわ」
不満げな顔をしたハーシェルだったが、すぐに「まあ、最終的には私が勝つけど」と口元にうっすらと笑みを浮かべた。
Q4. ――では、直してほしいところはありますか?
「真面目に仕事をし過ぎるところ」
ハーシェルはきっぱりと言った。
「もっと具体的に言うと、つかず離れず私のそばにいること。城を抜けにくいのよ」
――それは側近として当然、というか姫様の行動の方に問題があ……ゴッホンゴホン、いや、何でもないですね。
Q5. ――最後に、将来の結婚相手の候補としてはどうですか? 父親はあのラルサ将軍ですし、身分的にはいけなくもな……
「は? なに言ってるの。ないわよ」
意味不明、とばかりにハーシェルは眉をひそめただけだった。
――失礼しました。
<インタビュー②>
Q1. ――あなたの所属と名前を教えてください。
「ルカリア・ウィルキンス。ナイル帝国近衛隊に所属、またハーシェル姫の側近を務めている。――って、なんなんだ、これは」
鍛錬場での休憩の合間、突然始まったインタビューにルカはいくらか不審な顔をした。
Q2. ――まあまあ、いいじゃないですか。
あなたの主人は、どんな人ですか?
「だいぶやっかいだな」
ルカは眉間にわずかなしわを寄せた。
「いつの間にかいなくなるし、面倒な宿題はこっちに丸投げするし、いくら注意しても聞く耳持たないし。少しは振り回されるこっちの身にもなってくれ、って感じだ」
――心中お察しします。しかし、かわいい女の子のそばで毎日過ごせるのはちょっとうらやましいですね。俺ならそんなわがまま、いくらでも聞いてあげますよ。
……すみません、個人的感想でした。
Q3. ――あなたの主人の、いいところは何ですか?
「あー…」
ルカは、何かを思い出すようにちらりと空を見上げた。
「飾り気のないところ、かな。好き勝手やってくれてるわりには、そんなに偉そうな感じがないんだよな。宝石とか、贅沢をすることもあまり好きではないようだし。一国の姫としてそれでいいのかは分からないが」
Q4. ――なるほど。きれいに飾り立ててる女性、好きじゃないですもんね。俺はいいと思うけど。
ちなみに、直してほしいところはありますか?
「城を抜け出さない。出された宿題は自分でする。一つ一つの注意をまじめに聴く。一人で勝手に行動しない。一人で全部抱え込まない。少しは俺に相談する。それから――」
Q5. ――なるほどなるほど、心配で目が離せないわけですね。これはもう、ずっとそばにいちゃえばいいということではないでしょうか。飾り気のないところも好みということですし……どうですか! 未来の妻に!
ルカは口を半開きにして固まった。そんなことを言われたのは初めてなのだろう。
正気に戻ると、断固として言った。
「絶対に嫌だ」
カンカン、と休憩終了の合図が鳴った。
☆ ☆ ☆
――以上、ルカの同期であり大親友、カイルによる「突撃!今をときめく、噂の主従にインタビュー!」でした! 依頼主の王宮女官ならびに侍女様がた、ご満足いただけたでしょうか?
良くも悪くも、二人の間にLoveな気配はまったくなさそうですね。期待されていた女性がた、がっかりされていることでしょう。
そして、ホッとしている女性がた……今がアタックチャンスですよ! どんどんあいつに告っちゃいましょう! そして不運にももし振られたなんてことがあれば、遠慮なく俺のところに来てくださいね? 俺の胸は、いつでも空いてますよー!? ……悲しいことに。
では皆さん、また3話くらい後で会いましょうー!
See you!
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