勇気とその代償
朝の空気は新鮮だと
いつから錯覚していただろう
煌々と輝く100万ドルの
濁った空気を吸い込んだ
都市の喧騒は不整脈のようで
けれどパターン化された動き
それが私の目にはどうしても
とても虚しいものに見えた
飛び交う視線をくぐり抜け
常に赤の他人と戦い続け
そこで一体何を見たのか
泪を流す少年少女には
目を背ける嫌な大人たち
いつしか私もどうかしていた
明日の結末は安全だと
いつから錯覚していただろう
燦然と輝く大型ビジョンの
澱んだ景色を取り込んだ
都市の毛細血管は破綻して
けれども何か抗い蠢いて
それが私の目にはどうしても
とても悲しいものに見えた
飛び交う視線をくぐり抜け
常に赤の他人と戦い続け
そこで一体何を知ったのか
流す泪にどれだけの勇気が
目を背ける嫌な大人たち
いつしか私もどうかしていた
知らなかった
泪を流すことに
助けを求めることに
そして手を差し伸べることに
どれだけの尋常じゃない
勇気が必要だったのか
今までは
飛び交う視線を弾き続け
常に赤の他人に寄り添い続け
そこで一体何を手にしたのか
手を差し伸べる程に刺さる
嫌な大人たちの視線と
どうかしていた私の視線
そして路地に咲く一輪の笑顔
針のむしろは今日も一筋の糸を垂らす
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます