雨と鞭

夢も希望もない

俺たちは白い息を吐きながらそう呟いた


お父さんに殴られた

なにが悪かったのかわからない

おじいちゃんに罵られた

なにが正解なのかわからない

夜な夜な雨に打たれて

友達の親に憐れまれる

将来の夢はなんですか

プリントの文字が滲む

俺たち本当はわかっているけど

騙し騙し下手くそな文字を連ね

それに思いを馳せて満足する日々

冷めた目で世界を見つめる不気味な子供と

飴と鞭が上手く使えない不甲斐ない両親


塾に断られた

頭が悪いからだそうだ

学校で避けられた

育ちが悪いからだそうだ

宿題を終えても怒鳴られ

勉強のやり方を教える人はおらず

好きな趣味はなんですか

特にないと雨がかき消す

俺たち絶望通り越した

騙し騙し強がって見せたりして

それに怒りを載せて不完全燃焼

冷めた目でその日暮らしのクソガキたちと

飴と鞭が使えない不甲斐ない大人たち


他人に罵られた

今まで遊んできたんでしょと

大人に諭された

ツケが回ってきたんでしょと

納得いかず腹を立ててもしょうがない

だから遊んでる風にして紛らわせた

自分の好きなものがわからない

好きなものを見つける機会がなかった

携帯も小遣いもないサンドバッグだった

雨に打たれ身に覚えのないツケを返す日々

今頑張らないと先はないと知っている

アンダーグラウンドへ落ちる人を見た

俺たちはああはなりたくないと思った


ただなんとなくそう思った

それだけだった

結局何も変われていない

雨に打たれる憐れな大人の完成だ

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