航空障害灯

しんみりと航空障害灯

明日を迎えるために

無機質な人生の瞬きは

何者にもなれなかった人の

わずかばかりの悪あがき


諦めたような顔はするな

寒くて痛い雨の町に

ありったけの涙は置いてきた

尻込みして背中に隠したイメージも

煌々と町を照らす小さな窓から

ありったけ叫んでいこう


震えてる航空障害灯

沈む夕陽が手を振ってる

有機物の私の重い体は

何者にもなれない私への

心ばかりのプレゼント


全てを捨てた顔はするな

明るい深夜の街に

ありったけを溜め込んできた

馬鹿のフリして描いた落書きも

静まり返った都会の路地裏から

ゆっくり呟いていこう


止まれの標識も

禁煙の張り紙も

私にはいつも

くだらない能書き

夢を追いかけられる

ユートピアなんて存在ありはしない


摩天楼だけが真実で

私はココで今日も上を向いて歩く


朝陽受ける航空障害灯

足元では列車が濁流起こす

物質の運命さだめは蜃気楼かな

何者にもなれない生物は

超えたばかりの山下る


希望に満ちた顔はするな

確かな足取りの旅

ありったけを注ぎ込んでいけ

石橋を叩いて一歩々々

喧騒で溢れかえる心を開いて

しっかり踏みしめていこう

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