お前を愛してる

あの日涙をこぼしたお前をそっと抱き寄せ

絶対守ると固く胸に誓った

穢れた世界の荒んだ人たちから

冷えた体から感じる金木犀の香りに

惹かれる心は何色だ


何度目の朝だろうか

眩しい光を二人で浴びた

微笑みながら見つめ合う俺たち

凍った世界から孤立した白鳥のよう

シングルベッドの中に温もりを感じて

互いに愛を確かめあった


あの日誓ったはずなのに他の女を抱いた夜

あれから熱い夜をいくつも越えたけど

未だに確かなモノは手に入らなかった

眠らない街の明かりに消えていったお前

俺が灯す心は何色だ


何度目の夜だろうか

壁越しに過ごした夜もある

いがみ合ってすれ違う俺たち

ブラックホールに吸い込まれる光さ

溢れる吸殻の香りに唇を噛んで

互いに愛を見失っていた


この世のなによりも大切なお前は

今日も別の男と道玄坂に姿を消した

虚しくて悲しくて悔しくて

暗闇の中に逃げ込んだ

胸に誓ったあの一言をかき消すように

こんな腐った毎日を忘れたくて

名前も知らない女を抱いた


真っさらなキャンバスに

もう一度初めから夢を描きたい


あの日誓ったことは今でも絶対忘れない

こんなダメな男にもう一度

もう一度だけチャンスを与えて

お前以外の女には毛ほども興味がない

俺の思いは100億万℃


何度でもお前に言い続ける

この胸の高鳴りは止まらない

ベッドの上だろうが壁越しだろうが

伝えるべき言葉はたった一つだけだから

金木犀とタバコの香りが混ざり合い

互いに愛を確かめるのさ


お前を愛してる

それだけさ

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