卒業式が来る
教室の隅のあの人は
今どうしてるだろうか
いつも窓の外を眺めてた横顔に
気づけば釘付けになっていた
少し早い春の風にカーテンは揺らいで
あの人の姿が遠くに感じた
卒業式が来る
明日のこともわからない
それでもあの人が好きだった
私はなんて馬鹿なんだろう
たったその一言だけでいいのに
アルバムの写真のように
色褪せた思い出
話したことはない人
今どうしてるだろうか
どうやって話しかけたらいいのか
気づけば長い時間が経っていた
早咲きの桜はもう半分ほど散っていて
あの人の背中が遠ざかってく
卒業式が来る
それぞれの道を歩き出す
それでも追いかければ良かった
私はなんてビビりなんだろう
たったその一歩だけでいいのに
アルバムをそっと閉じるように
もう過ぎた思い出
桜の樹の下で
体育館の裏で
抜け殻の教室で
あれやこれやと考えてみるけど
そんなタラレバは求めてない
もし叶うならカセットのテープを
自動じゃなくていいから指先で
どうか巻き戻させて欲しい
黒板に咲き誇る名前
今どうしてるだろう
もう懐かしい先生や友達の名前
気づけばあの人の名前だけを
歪んだ視界でぼーっと見つめていて
あの人は一人で旅立って行く
卒業式が来る
それぞれの思いを胸に抱いて
廊下や校門はやたらと賑やかだった
私は結局だめなヤツだったし
抜け殻になって虚しい教室みたく
私の心もすっからかんだった
いい加減忘れよう
悲しくても虚しくても
本当は私だけじゃなくて
それでもみんな前を向いて歩いてく
そしてたまに振り返って
しみじみと微笑むんだ
笑顔で歩き出せ
涙なんて見せないように
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