知りたい

全然わからないよ

腫れた頬を撫でながらつぶやいた


わかったフリをしていた

他人ひとの心の天気や性質を

痛い目をみても本質は理解できなくて

僕は天才的な馬鹿だから


でも本当は知りたいんだ

あの人の好きな人や

あの人の好きなこと

フィーリングで察しろなんて

霧を掴むような感覚だ


わかった気になっていた

空気が読めなくて冷たい視線を浴びた

どれだけ針を刺されてもわかり合えなかった

僕は天性の大馬鹿野郎だから


本当は知りたいんだ

なんで心が痛むのか

なんで嫌われているのか

インプレッションで感じろとか

網で水をすくうようなもんだ


僕は人の心を理解できない機械だ

倫理とか道徳とかめんどくさくて

コンピュータはあきらめることを選択した

けれどそれじゃダメと思う自分もいた

ねえどうすればいいの


ねえ、教えてよ


わかったような気がする

何を言われてもだけはこれはハッキリした

少なくとも人が恋する理由だけは

僕はちょっとマシな馬鹿だから


本当はわかっていたのかも

人を愛する心や

人を憎しむ心を

難しいことは言わないで

この手で水をすくうことはできる

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