惚れた腫れたが今の全て

この頃の僕ときたら何も手がつかない

灰皿に火を落とすあの娘が気になって

「どんな娘がタイプなの?」

質問の意味がわからなかった

最近気がついたのは

好きになった人がタイプってこと


自分に素直になる度に

あの娘への思いは強くなるばかり

胸の鼓動に背中を押されて

ミジンコみたいな勇気で声をかけてみたり

目は逸らしちゃいけない

そんな気がした


夜の空気を肺腑の奥まで吸い込んで

ヤニだらけの僕は生まれ変わった気になった

「好きな娘いないの?」

この手のものには決まって口を塞いだ

人を好きになるって

どんなモンなのか知らなかった


あの娘を人目見た瞬間

熱い感情がほとばしって止まらない

頭のはラピッドスタート

各駅停車じゃ遅すぎるからって連絡したり

焦って結果を求めちゃダメ

そんな気がした


なんでみんな地雷系だと清楚系だとか

そんなちっぽけな物差しでしか

他人を量れないんだろう

惚れた娘が綺麗それで十分じゃないのか

ホントは気づいてる

みんな恥ずかしくて失敗が怖いって

意外と世の中そんなモン


何度も胸が痛むお辞儀をされた

満身創痍になっても諦めたくなかった

「よく続けられるね」

心底あの娘に惚れ込んでるらしい

人を好きになるって

よくわからないけどいいな


自分に正直に生きる度に

胸がキュッと苦しくなるのに僕は

たぶん世界で一番諦めが悪くて

あの娘が笑顔で振り向いてくれるその日まで

正味気持ち悪いくらいな

不屈の精神


絶対に途中で諦めたらダメ

そんな気がした

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る