主人公の洋子は小さなホテルと営んでいた。そのホテルにある日、長期滞在をした客、前野。毎年やってくる彼との出会いは劇的なものではなかったが、彼女や従業員の心に深く残っていた。生きている上でどうにもならないことや、仕方のないことを積み重ねて暮らす洋子が、前野に残したものはなんなのかを考えてしまう少しさみしさがあるけれど、心の中にぽっと温かなものが残る素敵な作品でした。