第6話 めんどくさい松村
前回までのあらすじ。
俺の高校生活がスタートした。隣の席の宇宙人を名乗る女子、小見と放課後ラーメンを食べる仲に。
そしてそのことについてストーカーでクラス長の松村さんに問われることになったのです。
「ねえねえ、可愛い子だとついていっちゃうの。」
「(無視)」
「ねえ小見ちゃんタイプ?」
「(ガン無視)」
「小見ちゃんって宇宙人発言すごいけど普段どんな感じなの?」
「(ウルトラスーパー無視)」
「付き合ってるの?」
「……いい加減帰れや。」
「やっと口きいたくれたぁ!」
可愛い態度。見た目的に小見が清楚で松村がアイドル的だ。性格に難ありだが、どちらも。
俺の周りをわしゃわしゃする松村はなんか犬みたい。興味津々、尻尾ぶんぶんって感じだ。
だがその歯が鋭いのかも。
俺は走った。急に走り出したため松村は「うぇあうぁえぁ」と叫んでいる。意味不明。
頑張って家の前まで走る。スカートが危ない走り方をなされる松村のことを俺はしっかり脳裏に刻み家の中に入った。いくらなんでも家に押し入る様な人間はいないだろう。
母さんに「今日も飯はいらない。」といい、「健康的な食べ物食べなきゃダメよ」と釘を刺され、部屋に入った。
明日はまっすぐ帰ってこよう。松村のこともあるし、無駄に一緒に女子といていいことなんてない。
階下ではインターフォンが鳴った。
……まさか。
俺は背中に虫のように這いずる悪寒を掻き毟って、階段上から下に耳を澄ます。母さんがドアを開ける。
姿を見せたのは、松村だった。積極的すぎるよ。今日初対面だよ。
「あら、いらっしゃい。透?」
「はい、彼氏に会いに来ました。」
家の中が一瞬黒い羽衣に包まれるように静かになり、不信感という名の冷気が一気に空気を冷やす。
うぉぉおぉぉおぉおい! 何口走ってんだよお! 階段を駆け下りる。「うぉおおお」着地。玄関へ。靴を履く。クラス長の手を取る。
「透、ほんとなの?」「違うから、松村さんのジョークだから。」「照れないで、ダーリン」
玄関で起きた一瞬の会話が今日の晩餐のBGMになることは確実だろう。
とにかく、俺はその場から爆弾と家族を引き離すべく、先ほどのルートを走っていた。
俺の高校生活二日目がこれか、これなのか。状況展開早すぎない。しょうがないそれが人生だ。
田んぼ道にて。
「お前の行動力はなんなんだ。」
「あら、どうしたのダーリン?」
「だからそのダーリンってのやめろ」
「あら、とおちゃんのほうがよかった?」
「いつから俺は親になった。」
「そんな先の未来まで想像してて?」
「違う少しボケたんだ。」
「もうおじいちゃん」
「時が過ぎるのは早いな。」
「ほんとね。」
「って話がそれてるわ。」
「まいちゃんびっくり!」
「昭和キャラ入っちゃったよ。」
「平成生まれよ」
「もういいよ。」
コントは締まった。俺たちは一体全体何のためにこんなところでこんな会話してるのか。
それはもう皆さんの想像に任せよう。
「じゃあそういうことで」
そういって松村は帰って行った。あのあとまだまだ言い合いをして(一方的に攻撃を自己防衛していただけなんだが。)三時ごろおやつの時間と言い帰った。
自由奔放な人ということがわかって、俺は帰りたくない食卓に顔を出すのだった。
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