第39話:ベルベットはご主人様を癒す

この3日間…僕は死ぬかと思った。

レイには鬼の様なしごきを受け、

エステルからは逆レイプされかけると言う事案発生。


あの後エステルは土下座して反省文100枚等を書いて必死に謝って来た。

今後は暴走しない様にする事と、次に暴走した場合は、ベルベットから無に還されるか、レイから光に還されるかの二択となった、どっちも死ぬんだけどね。

エステルのイメージが徐々に悪い方向になって行く…

彼女曰く、「感情が爆発してしまった…」と言っていた。

今回は許す事にしたけど…次は無いと言っておいた。

ベルベットとレイからかなりキツイお仕置きを喰らってたからね…同情してしまう。


しかし、僕の心と体は限界を迎えている気がした。

濃すぎる3日間にへとへとなのだ。

そして最後のベルベットのレッスンなのだが…正直僕は決闘前に燃え尽きそうだと感じていた。

そんな僕を見たベルベットはいつも通りだったのだが…


「リヒター、休め、それがレッスンだ」


「え…?でも休むってレッスンになるの?」


「リヒター、もうボロボロじゃないか。それに…安心しろ、もしリヒターが負けそうになったら、私がそいつを倒し、そのカンパニーを壊滅させれば良いだけの話だ」


「そ、それはそれで嬉しいけど、僕とボスの戦いだし、自分で出来る事はするよ」


そう言うと、突然ベルベットは指を鳴らし、僕達は何処かの部屋に移動していた。

暗めな部屋で、壁は薄い茶色で家具等も暗めの物ばかりで統一感のある部屋だ。

灯りは蝋燭で、部屋にはラベンダーの匂いがする。


「リヒター、2日間はしっかり休むんだ、万全な状態で100%を出せる状態にする事も戦闘では重要な筈だ」


そう言ってベルベットは部屋を出て行った。

しかし…突然休めと言われると何をしたら良いのか分からない…

本棚に行き、どんな本が有るか見てみると漫画が置いてあった。


「あ…これ僕が好きな漫画だ、新刊出てたんだ…」


僕はダークヒーローが好きだ、正義の味方って理にかなっている、皆の為に良い事をする、悪い人はやっつける、そんな在り来たりな話の中で、やっている事は悪い事だけど、それでも自分の信念を持って悪い奴を倒すヒーローは僕にとってはカッコよく見える。

その漫画は、ギャング抗争で家族を殺された男が家族の仇を取る話だ。

彼は自分を断罪者と名乗り、ギャングを次々と処刑していく。

やっている事は殺人だけど、野放しにされる悪を絶対に殺す姿はグロテスクだが、スッキリする。


その漫画を僕は手に取りソファでじっくりと呼んでいると、ドアがノックされた。

返事をすると、ベルベットが入って来たのだが…メイド服だ…

黒いドレスに白いフリルが印象的で、胸元が開いていて…セクシーだった。


「ご主人様、水をお持ちしました」


「あ…ありがとう…ベルベット」


「いえ、本日はゆっくりお過ごし下さい」


そう言って、彼女はテーブルに水を置き一礼、そして部屋の隅で立っている…

んー…メイドさんごっこか…確かに悪い気はしないけど、慣れない。

僕は気にしない様に漫画を読んでいたが…やっぱり気になってしまう。

すると彼女がスッと部屋を出て行き、食事を持ってきた。


「本日は、疲れが取れる様に豚肉を使用した料理です、ご堪能下さい」


「ありがとう…ベルベットは食べないの?」


「メイドですので…一緒には食べませんよ」


「んー…1人で食べるのは寂しいから一緒に食べよう?ね?」


ベルベットは突然自分の手を抓り始めた…

目を必死に瞑り、痛みに耐えているのかは分からないが、真剣だ。


「有難う御座います…では…」


そう言って彼女の分を持って来て、一緒に食べた。

一緒に食事をしながら彼女と話すのは落ち着く。

言葉使いが丁寧で少し慣れないけど、ベルベットはベルベットだ。

今日の料理はベルベットが作ったみたいで、濃い味付けで僕好みだった。

食事を終えると、ベルベットが食器を片付けてくれた、その際彼女はこう言った。


「後ほど、マッサージをしますので、寝室へお願いします」


「え…マッサージ?」


「はい、安眠も兼ねて…です…しかし、ご主人様が『望む』事をしますよ?」


去り際にウィンクするベルベットが意味深過ぎる…

彼女はこういう小悪魔と言うのか…誘う様な事を言ったり、仕草が僕にとっては致命傷を与える程の刺激になっている…

マッサージ…どんな事をされるのかちょっとワクワクしてしまう僕…


こうしてこの晩僕は、彼女から濃厚なマッサージを受け、ぐっすり眠ってしまった。

彼女は…マッサージの腕が良く、凄く気持ちが良かった。

ベルベットって凄い…


翌日、ベルベットのお陰で元気になり、どうしてもじっとしていられず、魔法の練習をして怒られてしまった。

しかし、その顔は怒りでは無く、優しさを感じた。

最終日、僕はベルベットにあるお願いをした。


「ねぇ、ベルベット。もし勝ったら…」


「ダメです、フラグと言う物を建てないで下さい、無事に帰ってきたら…ご褒美を出しますよ」


しかし…決闘前日に事件は起きた。


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■あとがき

沢山のフォローや感想ありがとうございます。

読者の方々がどう感じたかを知る事が出来てとても嬉しいです。

また、意外にこんなに沢山の人に読んで頂きとても感激してます。

これからも末永く宜しくお願いします_(._.)_

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