第14話:究極の選択を迫られたんだが…正解は?

僕達3人が学校に通いだして、3か月近く経った、外は寒くなり、年の終わりが近づいている、そんな季節だ。

最初は僕達を怖がっている人達ばかりだったが、ベルベットやレイに友達が出来た、彼女達は会話を楽しんだり、人間について学べているそうで、とても有意義だと言っていた。

だが…一つ問題も起きた、親衛隊が出来たのだ、そして、この二つの派閥は、争っている。下らないなぁ…と思っているのだが、僕もその争いに巻き込まれていく…


「リヒター、私が良いんだろ?」

「当然!お姉さんだよね~?」

「う…」


右と左にレイとベルベットが立っている。そして僕は真ん中…

彼女達の後ろには親衛隊のメンバー達が立って、この戦いを見守っている…


何が起きたのか…それは遡る事、2日前。

ベルベット親衛隊とレイ親衛隊がお互い言い争いをしたのだ。


「ベルベット様はクールな顔だが、根は優しく、たまに見せる照れは破壊力抜群だ」

「何を言う、レイ様の慈愛に満ち溢れる優しさこそ癒し、黒には出来ない代物だ!」


そこだけなら、いつもの事なのだが…親衛隊のある男がこう言った。


「なぁ、気になったんだけど、あの憎きリヒターは何方を選ぶんだ?」


その一言が戦争の火種を作ったのだ。

この言葉が噂となって、ベルベットとレイの耳に入ってしまった。


「ふん、言うまでもない、私だ」

「あら、寝言は寝て言って下さい、私ですよ」


この二人の言葉が始まりとなった、そう…第1次白黒戦争だ…

この時外野で見ていた僕は楽観視していた。

直ぐに終わるだろう、いつもの様に…と思っていた…

だが、今回はそうはいかなかった、親衛隊までもが戦争に参加し始め、戦場は混沌と化したのだ。


僕は中立を表明していた、理由は簡単だ。

片方だけを選ぶ理由が無いからだ、だからこそ中立で静観していた。

だが、大きくなった戦火からは逃げられれなかった…

親衛隊連合軍に、捕まり、尋問と言う名の強要をされたのだ。


「お前は何方の味方なのだ」と


つまり、彼らは僕に選ばせたいのだ、何方が勝者で敗者なのかと。

僕は必死に伝えた、選ぶ理由が無いと。

それが気に入らなかったのか、遂にお互いの大将にそれを伝えたのだ。

そして…今がその「決める」時なのだ…


「ねぇ、二人共?もう止めよう?」


僕は彼女達二人を必死に止めた、無益な戦いはただ悲しみしか生まないと。

しかし、彼女達は話を聞いてくれない。


「いや、リヒター…今日は選んでもらうぞ」

「そうよ~?リヒター君、私を選ぶよね?」


状況は悪い、彼女達は対立を選び、「僕」の意志で、勝敗を決めようとしている…

考えた、必死に考えた、どうすればこの戦いを終わらせられるか…どちらも傷つかず、お互いがお互いを認めるのか…


「ねぇ、二人共。僕は二人共の何方かなんて選べないんだ」


そう言うと彼女達は黙って聞いている。

刺々しかった空気が少し和らぎ、チャンスだと感じた。


「ベルベットは、いつも冷たそうにいつもしてるけど、本当は人一倍、僕の事を考えてくれていて、たまに暴走するけど、でも…僕を想ってくれているのは嬉しいんだよ?」

「レイは、いつも一生懸命落ち着いて上品にしているけど、でも本当は可愛い物が好きではしゃぎたいのに我慢してて…でも時折見せる無邪気な笑顔が可愛いよ?」


「だから…僕は何方かは選べないんだ、二人を選びたいし…いつもの様に二人と過ごしたいんだ…喧嘩するのは見たくないんだ」


そう言うとベルベットとレイの胸に挟まれた抱き着かれた。


「そうか…すまなかったな…リヒター…つい、独占欲が出てしまった…悪かった」

「うう…ごめんね、リヒター君!辛い思いをさせてしまって…お姉さん、馬鹿だったわ…」


こうして停戦となり、第一次白黒大戦は終戦した。

しかし…僕はこの事が原因で更なる悪意と憎悪を買ってしまった…


「リヒター滅ぶべし」

「あいつは男の敵」

「ベルベット様の胸に顔を…あいつは殺す」

「レイ様を泣かせた…あいつは大罪人だ…」


親衛隊から大量の過激派が生まれてしまった…その名を「リヒター殺す隊」と言うテロリストと化したのだ…彼らが動いたのは…もっと先の事だった…

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