第5話:学校は精霊達の処刑場
翌朝…僕は全く寝れなくてしんどい。と言うのも…精霊達は睡眠が不要なのだ…
その結果、彼女達は暇で僕の部屋で過ごしていた。
そこまでは良い、だが…喧嘩が始まってしまい、寝れなかったのである…
「リヒター君…ごめんね…怒らないで?ね?」
「悪かった…許せ、リヒター」
「もー…良いですよ、帰ったら、ルールを作りましょう」
僕は学校へ行くのだが…何故彼女達が…?
その理由はこうだ、精霊は契約者から大きな距離を開ける事が出来ない。
故に僕の近くに必ず居るのだ、僕が気にしているのは…彼女達が美人で僕が殺されないか心配なのだ…
道を歩けば周りから痛い視線と舌打ち等が聞こえてきて、恐ろしい…
「ん?どうした?リヒター?さっきから周りを気にして?」
「周りの男性からの視線がね…美人二人を連れてるからさ、ヘイトが高まってるんだ、僕は盾役じゃないのに」
「?何を言ってるのか分からんが、気にするな、お前は…良い男だ」
と聞こえるように言ってしまい、視線から死ねと言う二文字を感じる…
何とか学校へ着くと、学生からの視線も痛い。
「能無しが美人二人を連れてるぞ!」
「うわぁ、超美人じゃん、話しかけてみろよ」
「あの金髪の清楚系好みだわ」
「いやいや、銀髪のボーイッシュな感じな子も良いわ」
とまぁ…こんな感じで男子はベルベットとレイに夢中だ。
そんな中、二人の雰囲気が急に変わった。
「リヒター、悪いが…今からやる事を許せ」
「ええ…私も先に言っておきますね、ごめんなさい」
何の事か分からず首を傾げていると、二人共一気に走り出し、ある男を止めた。
レナード・ベイン…僕を殺そうとした男だ。
「おや…何か用かな?美人のお二人さん」
「ああ…お前に用がある…」
「ええ…彼を殺そうとした罪を…償ってもらいます!」
「え?」
その瞬間ベルベットが黒い何かでレナードを拘束した。
突然の事で反応出来ないレナード、すると黒い何かから棘の様な突起物が生えてきた…レナードは体中に巻かれた黒い何かで動けず、血が流れている…
「この黒い縄はな…闇の力で作った、そして徐々にお前の体から生気を奪う、苦しめ、そして死ね」
「い、痛い!!痛い!!!止めろ!!!俺が何をしたって言うんだ!!!」
「ふん、この程度で痛いだと?リヒターが受けた仕打ち…倍にして返してやる」
「は?能無しは死んだ!俺は関係ないね!泳げないあいつが悪い!」
「貴方って人は…未だに自分の行いの罪深さを理解出来ないのですね…断罪します!」
レイは珍しくキツイ口調で言っている…
「インテグラルジャッジメント!」
そう叫ぶと、彼目掛けて光の剣が何本も飛んでいく。
すると不思議な事に、彼の体に刺さったはずなのに血は出ず、体の中に入って行く様な印象を受けた。
「この魔法は、罪を意識する為の魔法…貴方が行ってきた罪の分だけ剣が襲い、その分痛みが増えます、ですが…死にませんよ、肉体的には」
レナードは痛みから徐々に顔が歪んでいき、悲痛な叫びが響く。
周りに居る学生は皆ただ呆然と見る事しか出来ない、僕も含めて…あまりにも別次元の魔法で誰一人として止める事が出来ないし、彼女二人の出す殺気に押されてしまっている。
「お前ら!何をしている!!」
騒ぎを聞きつけて学校の先生が登場した。
あの先生は…僕の虐めを黙認していた人だ、名前をマイケル・キュリアン。
助けを求めたが…助けてくれなかった人だ…
「ただの遊びだろ、自分で何とかしろ」
なんて言って助けてくれなかった…
彼を見つけたベルベットはレナードの拘束を解き、地面に叩きつけた。
そしてベルベットは冷たい笑みを浮かべながら彼に近づいた…
「今日は良い日だ…リヒターを苦しめた奴を全員ぶちのめせる」
レイもレナードがその場で苦しんで動けない事を確認すると、直ぐにレナードへ近づく…勿論、恐ろしい顔で。
「あら…貴方も断罪されるべき人です、貴方の事なかれ主義で苦しんだリヒター君の痛みを…しっかり味わって貰いましょう…」
ああ…折角学校に来たのに、戻ってきた早々目の前で惨劇が繰り広げられている…
彼女達が謝った理由は…僕を苦しめた人達を一人ずつ断罪する事なのだと…
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