第37話 僕が君に何をしたのか

「何が寂しいだ!友達が欲しいだと!?下らない。お前がそんなこと言うはずない!!」


「いや、それが言うんだよ!だって僕の死ぬ間際の言葉が、来世では友達が欲しいだもん!お陰で今は友達作りに、苦労してんの!」


やっとこの前、友達一人出来たんだよ。女子だけど。


「お前が孤独なのは当たり前だろう?前世ではあれだけっと、すまない。記憶が無いんだっけな」


聞いてみてもいいだろうか。


「ねえ、教えてくれない?僕が前世で何をしたのか」


僕は知らなければならない。


「僕が君に何をしたのか」


森川は真っ直ぐに僕の目を見る。いや、あの目はウィル・ウォーカー、勇者の目だ。


「よかろう。話してやる。貴様が私達に何をしたのか。お前はエレトニア王国を支配したのだ。いい国だった。食物が豊富で人も優しくて、みんな自分の国が大好きだったし誇りを持っていた。それなのに!お前が急に現れた。恐ろしい魔法をたくさん使って、私たちを従わせ、若くて綺麗な女は自分の住処に持ち帰った。その中に私の最愛の妹もいた」


「っー妹?」


「どうせ何も覚えていないんだろう?茶髪で黄色の目でとても可愛らしい子だった。私にとても懐いてくれた。それをお前は犯して殺したんだ!」


なんかうっすらと記憶が戻ってきた。たくさんの綺麗な女性が泣いている。ここは魔王の寝所?僕はその女性たちにー!


「ふっ、少しは思い出したようだな。顔色が悪いが自分のしたことに驚いてるのか?」


「平気だ。続けてくれ」


「私は妹を助けるべく騎士団に入った。血反吐吐くような努力をして、やっと魔王の住処に辿り着けたのだ。そこからは簡単だ。貴様と一騎打ちになって、お前を殺した」


「ウィル・ウォーカーはどうして死んだの?」


「お前を殺してから私も力尽きたのだ。貴様と私はほぼ互角だったからな」


森川はなんてことも無いように言うが、それは相当すごい事だ。



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前世は極悪魔王で友達ゼロだったので、現世は友達を作って青春しようと思います。 もこもこ @mokomoko0729

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