第15話 鼻息が荒いよ

「そ、そんなの酷いじゃないか」


「仕方ないわよ。それがこの学校の考えなんでしょう。だから、ライトノベル部も反対されたのよ」


「僕達もそうなるのだろうか」


「まあ、少なくとも学年首席の私がいるからね。とりあえず、成績いいうちは何も言ってこないでしょ」


凄い自信だ。


「だから、一ノ瀬君もいい成績取っときなさいよ」


「言われなくてもそうするつもりさ」


一時間後


「あらぁ、かなりスッキリしたじゃない」


荒れていた部室は、見違えるほど綺麗になった。


「ここに、テーブル置いて。後は、どうする?コーヒーメーカーでも、持ってこようか!」


「好きにしていいよ」


「ねえ、このノートどうする?」


さっき見つけた漫画が描かれたノート。


「捨てる?」


「いや、それはー・・・僕が持って帰るよ」


捨ててはいけない。そんな気がした。


「そう・・・。分かったわ」


神田も何か察してくれたようだ。


「じゃあ部活動計画を決めましょうか!」


部活動計画?何それ?


「これから一年、どう活動するか計画するのよ!無駄な一年は過ごせないわ!」


鼻息が荒いよ。神田。


「一ノ瀬君。何かしたいことある?」


「い、いや。特には」


「そう、じゃあ私が決めるわね。えっと、とりあえず賞には出さないとね。」


「し、賞?」


「そうよ。ライトノベルの賞。多くの出版社が募集してるわ。それに出すの。後は、文化祭でも何か出したいわね」


「あ、あの。僕、小説書いたことないんだけど」


ちなみに国語が一番な苦手科目だ。しかも作文なんて最悪。小学生の頃から褒められたためしがない。


「だーいじょーぶ!書いて書いて書いて、力をつけるのよ!」


「で、でも」


「私も最初は苦労したわ。だから、とにかくたくさん書いたの。書いて書いて書きまくって、応募もしまくったわ。全部落ちたけど」


そういえば、そんなこと言ってた。


「・・・辛くなかったの?」


「全然辛くなかったわよ。だって、私、小説が好きだもの」


神田は自信満々で答えた。


「少し羨ましい」


「え?」


「そこまで夢中になれるものがあるなんて」


僕にはそんなもの無かったから。前世でも、今でも。


「だったら、ライトノベルに夢中になりなさい!」


「え?」


「そしたらきっと良いものが書けるわ!」


根拠がない!でも、不思議と彼女を見ていると、そんな気がしてきた。


「分かった。とにかくやってみるよ」


こうして、部活動一日目は無事に終了した。


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