第11話 素直じゃないな

「なっ・・・」


先生が絶句する。


「えー。なになに」


「なんか、揉めてるみたい」


周りにも人が集まって来た。


「逃げろ!」


僕は神田真由子の手を掴んで、逃げ出した。

あーもう!最高に悪目立ちしてるよ!

でも、悪くないかもしれない。


「はぁ、こ、ここまで来たら、大丈夫だと思う」


僕も真由子も息が切れていた。基本、頭がいい人は運動神経が悪いんだよ。


「いいの?」


神田真由子が聞いてきた。


「何が?」


「ライトノベル部に入っちゃって。悪目立ちしたくないんでしょう?」


「うん。そうなんだけど・・・あの先生には腹が立ったから。それに・・・」


「それに?」


「君と僕って似てるような気がしたから」


お互い友達が居なく、一人ぼっち


「・・・貴方と似てるなんて思われたくないわ」


なっ!人がせっかく・・・!


「・・・でも、ありがとう」


神田真由子はそっぽを向いて、ぼそりと言った。うーん、素直じゃないな。


「これからよろしくね。一ノ瀬君」


神田真由子が手を差し出してくる。


「・・・よろしくね」


僕はギュッとその手を握り返した。


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