第10話 人の夢を笑うな

皆さん、お忘れかもしれないが僕の前世は魔王だ。

ライトノベル的には、彼女の役に立てるのかもしれない。完全に全て覚えてるわけではないけど、実体験だし。てか、僕一回死んでるし。


でもなぁ。どうしよーかなぁ・・・


結局、何も答えが出ないまま放課後になった。

仕方がない。今日は、文芸部に行ってみよう。文芸部の方が落ち着いてるし、先輩方も優しそうだった。

やっぱり、僕にはそっちの方が向いてー・・・


「なんだ、神田。まだお前やってたのか?」


「え、ええ。まあ」


教務室の廊下から声が聞こえて来る。噂をすればの神田真由子と先生だった。


「ライトノベル部だっけ?」


「は、はい!」


「お前一人しか居ないんだろう。もう辞めちまいなよ」


「で、でも!これから集めるつもりで!」


神田真由子は食い下がる。


「お前は首席なんだ。もっと役に立つような部活に入ったらどうだ?化学部とか文芸部とか」


「ラ、ライトノベルは役に立たないと?」


「そうだろう?ラノベだかなんだか知らないが、こんなわけわからんの読んでると、馬鹿になるぞ。お前、まさかラノベ作家になりたいなんて、言わないよな」


神田真由子の顔が凍りつく。


「あれ、神田じゃん。まだ、やってたんだ」


同じく神田真由子と先生のやり取りを見ている、男子生徒二人が居た。


「ライトノベル部とか馬鹿じゃないの?首席なのに」


「あいつ、変人じゃん。だから友達一人も居ないんだよ」


気が付けば、神田真由子と先生の元に向かって居た。


「なんだ?君は?」


先生が怪訝そうな顔を僕に向ける。


「教師が生徒の夢を馬鹿にしていいんですか?」


「はぁ?」


「ライトノベルも立派な本です。馬鹿にしていいものじゃない」


「別に馬鹿になんか」


「してましたよね。あなたは、彼女の夢を笑った」


真由子の目には涙がたまって居た。


「人の夢を笑うな」


「な!」


先生の顔が赤く染まる。


「と、とにかくライトノベル部は認めん!部員が一人しか居ないんだからな!」


「僕が入ります」


「え?」


「僕がライトノベル部に入ります」

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