第8話 ラノベの主人公っぽいわ!

ライトノベル部?なんだ、それは?


「あ、貴女は・・・」


「ああ、自己紹介が遅れたわね。神田真由子、1年7組よ。そして、ライノベル部の部長よ!」


「ら、ライトノベル部?」


なんだそれは?S○S団くらいに意味がわからない。


「ライノベル部を読んで書く部よ。作ろうと思って、教務室に行ったんだけど、最低二人は必要ならしいのよ。周りはみんな、他の部活に入っちゃったから、困ってたのよ。そしたら、教務室で貴方と先生の話を聞いちゃって」


「そ、それで名前も知らない僕を」


「あら?名前は知ってるわよ。一ノ瀬葵でしょう?」


「なんでそれを」


「自己紹介で派手にスベって、ドン引きされてたって有名だもの!」


ぐはぁ!さっきの靴より派手なダメージを食らった。


「人間観察?いいじゃない!ラノベの主人公っぽいわ!」


この人も馬鹿にするのと思ったら、予想に反して褒めてくれた。

ラノベ云々は置いといて、初めて誰かに自己紹介を褒められた。


「ラ、ラノベが好きなんですか?」


「いいえ!逆よ。嫌いの部類に入るわ」


「え、それならなんで」


「私は作家になりたいの。出来れば純文学のね。今まで沢山の賞に応募してきたわ。でも一つも通らなかったわ。そこで気付いたの!時代は、ライトノベルなんだって!」


た、確かに今はライトノベルが流行ってる。スライムに転生したり、悪役令嬢になったり・・・。


「私はもうジャンルには拘らないから、とにかく作家になりたいの!だから、ライトノベルを読んで学ぼうかと思って!」


「そ、そんなの一人でやれば」


「あら、仲間とやった方が楽しいじゃない」


仲間・・・僕には、今まで仲間とか居なかったから、それがどんなに大事なのかは分からない。


「む、無理です」


「え!どうして!?」


「これ以上、悪目立ちしたくないんです!さよなら!!」


僕は、神田真由子から逃げるように走り去った。

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