第5話 どうにかしなくては・・・

入学して、早一週間が経った。

友達はゼロ。悲しい。


僕はあの自己紹介で、ヤバイ人というレッテルを貼られてしまったらしい。

どうにかしなくては・・・


もうすでに、グループが出来てしまってる。

こうなると厄介なのだ。

そして、隣の人。名前は木下幸太郎。いつも寝ている。

話しかけてみたいが、ずっと寝ている。お昼はどこかにふらっと行ってしまうし。


「やっベー!今日俺当たるのに、問7やってない!」


クラスの誰かが悲鳴をあげてる。

それは大変だ。数学担当の森山先生は厳しくて、有名だ。


「なぁ、一ノ瀬!問7やってない!?」


「え?」


話しかけて来たのは、吉崎柚希だった。

彼は、コミュニケーション力の高さと美しいルックスにより、クラスの人気者である。

そんな彼が僕の名前を知っている事に驚き、挙動不審になってしまった。


「や、て、ないけど」


「えー!どうしよう!」


彼は絶望的な顔をしているが、やっぱりイケメンだ。そんな顔すら絵になる。


「一ノ瀬、数学得意だよな?」


「え、そうだけど。なんで」


「だって、この前、森山に難問当てられてスラスラ解いてたじゃん」


ああ。そんな事もあったな。てか、よく覚えてたな。


「なぁ、頼むよ」


「分かった。ちょっと待ってて」


僕はノートと教科書を取り出して、問7を解き始める。なるほど、これはなかなかの問題だ。


「出来たよ」


「うわー!ありがとう!」


ノートを渡すと、吉崎柚希は大袈裟に喜んで、写し始める。

僕も彼くらい、コミュニケーション力があったらなぁ。

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