第18話「人の命は───」

 ───猛ぅ……。今なら撃てるよ?


 そっと、猛に近寄り耳打ちするナナミ。


「え?」

 チラリと見れば、ナナミが後ろ手にトカレフを隠している。


「(ま、待てって! 外したらどうするんだよ?)」

「(外さないよぉ? 例え外してもこの状況よりいいと思うけど?)」


 ナナミの目は本気だ。

 トカレフはセーフティがついていない。

 すなわち、あとは引き金を引くだけで弾が出る状態だ。


 妙な金属音を立てることもないので、エルメスに気付かれる恐れもないだろう───。


 でも、だからって!?


「おっと、妙な動きをするなよ───! ナナミといったな……その武器をすてろ!!」

「チ……」


 うわお、ナナミさん舌打ちしたよ。


 どうやら、エルメスはちゃっかりと武器のことを確認していたらしい。

 まぁ、そうでなければのこのこ出てこないだろうし、メイベルを盾に取ろうとは思わないはずだ。


「ナナミ!」

「はーい」


 猛はどうにもならないと判断して、オリハルコンの刀を地面に置く。

 ナナミも渋々従って、AK-47とRPG-7も地面に。


「後ろ手に隠している武器もだ!!」

「ありゃ。バレてた」


 テヘ。


 メンゴメンゴと笑いつつ、ナナミはトカレフと手榴弾を地面に置く。



 ……………………………って、手榴弾?!



「ナナ───!?」

「置いたよ? これでいいのかなぁ?」


 ナナミはニッコリ笑って、地面の手榴弾をコンと蹴り飛ばす。

 そこに安全ピンはなく、着火レバーが今にも……───。


 コンコンコンッ………………こー。カキンッ!


「ひぇ?!」


 手榴弾が固い金属音を立てて信管に着火する。

 あとは、弾けるだけ!!


 って、なにやってんのぉぉぉおおおおお?!


「近すぎ───」

「大丈夫!!」


 思わず伏せた猛に、ニヤリと獰猛な笑みを浮かべたナナミ。

 その異常な動きにエルメスが反応し、周囲の騎士たちも剣を振り上げる。


「だって、あれ───発煙手榴弾だもん!!」


 シュバァァァアアアア!!


「な、なんだぁ?!」

 驚愕するエルメスの足元で手榴弾が異音を立てる。

 そして、地面に転がる円筒形の手榴弾から猛烈な勢いで白煙が噴き出した。


 それは最初は緩やかに地面に滞留したかと思うと、あっという間にモクモクと!!


「く! 煙幕だとぉ?!」


 思わず仰け反ってしまうエルメス。

 それを見越していたナナミはサッと身を屈めてトカレフを拾う。

「貴様ッ!」 

「───猛は、雑魚を!」


 へ?


「アタシはこいつをぉぉお!!」


 スパッ!! とトカレフ拳銃を拾ったナナミがダンッ! と一歩踏み出し両手で拳銃を構える!!


「舐めるなッ!」

 エルメスが今さらながら反応するが、ナナミの方が早い!!

「甘いよッ!」


 パァン!!


「ぐぁ!!」「アグッ!」


 メイベルの肩ごと背後のエルメスを撃ち抜くナナミ。

 驚いたのはエルメス。そして、メイベルと猛だ。

「ま、まさか……?!」


 ───人質ごと撃つだとぉ……と言いたげに背後に倒れるエルメス。


 メイベルに至っては何が起こったか分からず目をパチクリ。

 今さらながら肩の銃創から血が噴き出す。


「ちょ!? ナナミ?!」 


 もちろん猛もびっくり。

 ナナミの容赦のない、その行動に驚き思わず大刀を取り落としそうになる。


「殺せッっていったよ、あの人───?」


 ニッコリと良い笑顔で言うけど……。

「いや、そうだけど、それはぁぁああ───!!」



 あぁ! もう!!

 ナナミさん容赦ねーっす!!




 

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RPG転生!〜ミリオタ幼馴染(JK)と挑む異世界魔王討伐〜 LA軍@多数書籍化(呪具師200万部!) @laguun

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