鉛のようにおもい
カッターナイフでえんぴつを削る。鈍い色を放つ刃が食い込み、身をすり減らす様を自分と重ね、その度にしとしと募る倦怠感を自覚する。男が文字を
乾いた音を立てながら、命を削りながら、ときに滑らかに、ときに遊ぶように、一センチにも満たない部屋のなか、優雅に線をつないでいく。タッタッタと踊る彼らと話をしている間は、男の胸に夢が広がる唯一の時。
そしてまた、日が暮れた窓に写る我が身を振りかえる。えんぴつと同じだと。
何のために書き続ける。
錆びついた身はほろほろと霧散する。
いつか誰かの肺に届く。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます