第2話 マチ

「待ちに待った。」

「ん?」

「あの広告。待ちに待ったコンビニスイーツ新作登場。だって。」

「霧ちゃんはスイーツ苦手じゃなかった?」

「苦手だよ。」

「あのさ、ラーメン屋店主…まだ付き合ってるの?」

「付き合ってるよ。」

すう…

「幸せ?」

ふう…

「うん。」

じゅっ…。

「タバコ…まだやめてないんだね。」

「うん。ゆかくん。」

「え?はい。」

そう呼んだぎり口を開かない。何か言いたいことがあったのではないのか?


「ガイジらしいね。シナ。」

「は?なんのこと?」

「インスタのプロフィール。ガイジって書いてあった。笑っちゃうわ。知っとるわって。」

そんな言い方。

「ガイジって本気で思ってんのかな。そうやって生まれた環境とか、自分の本能のせいとか思ってるわけ?おかしくない?」

電車が停止する。

「霧ちゃん門限ないんだっけ?」

「ない。」

そう言ったぎりまた黙る。

「さすがに戻らないよね?シナのところ。」

「なあに言い出すんだかこの人は。」

「だっ…。」

だって、あんなに好きだったじゃんか。

そうは言えないけれど。

「雨止んだ?」

「止んだみたいだね…。」

霧ちゃんの心の雨は?とか。そんなクサくてダサいことを聞きそうにもなる。

僕はまだ霧ちゃんと話したいことが沢山ある。

「霧ちゃん。次いつ会える?」

「なに?シないよ?」

「そんなことじゃないよ。霧ちゃん、どうなっちゃうんだろうとか。幸せになるのかな。とか心配なんだよ。」

シューン…と音を立ててまた別の電車が来る。今日は間隔が短い気がする。そんなわけないけれど。

「心配…ねえ。」

「うん。」

「会うのはいいよ。」

「えっ。」

「今度はシナも連れてきて。興味本位なの。」

興味本位……

「わ、わかった。」

悪魔の笑みから逃げられない、情けない男だ。と…


と、思って。

「シナ……。」

現れた、もう1人のガイジという名の悪魔。

「ひ、久しぶり…。」

霧ちゃんという悪魔にビビりがちに。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ワイルドスピリット〜赤〜3 はすき @yunyun-55

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る