第2話 現実

 目が覚める。


 ふう。


 ボーっとした頭で伸びをする。

 だんだん視界がはっきりして……えーと。天井。木の板が並んでいる。太い丸太のような梁。左右を見る。襖と障子。お盆と湯呑。畳と布団。


 そして、浴衣の私。


 薄い布団から出て壁に向かってしゃがみ込む。

 目の前には古びた金属の台の上に火の消えた蝋燭ろうそくがある。

 見上げると、壁際にある棒に、昨日着ていた学校の基準服が広げて掛けられている。

 人の息遣いや足音が聴こえるほどシーンとした空間。「文明の雰囲気」が無い。

 何気なく足の甲をつねってみる。痛い。つねったところが赤くなる。


 ……夢じゃない。これ、夢じゃなかった。

 

 昨日は団子屋でモローと笠羽団子を食べてから宿屋に戻り、少しお茶を飲んで休んでから、宿屋の人に色んな話を聞いた。この夢がバッドエンドにならないため、そして寝覚めが悪くならないため、情報収集のつもりだった。


 話によれば、ここからだいぶ離れた場所、江戸に「くぼうさま」がいるという。

 最近そんな風になって、今はその人が一番偉くて、その下に「藩」を持つ大名とかお殿様がいて、この界隈は「賀華がか藩」というようだ。

 「中総国」にある賀華藩。

 お殿様は、「顔本様」とのことだった。モローに出会った時に言われた名前だ。


 いろいろ総合すると、ここは江戸時代の初めころ。そして「中総」は、房総半島の中程、つまり千葉県だ。その中の、顔本様の領地内にある宿場町がここ、別巣。別巣の宿だ。

 とはいえあまり宿場町としては発展しておらず、周囲は荒れ地のようになっている。道の両脇に、ぽつんぽつんと宿屋と小さな店が十数件ほど固まっているだけだ。さて、時代と場所が判った。


 その後は、葵のほうが逆に女中さんや他の旅行客なんかに質問攻めに遭った。

 住んでる場所は正直に言ったけど、誰も知らないようだ。まあ、ここからしたら四百年くらい未来の話だ。そりゃ知らないだろう。

 けど、基準服について訊かれて困った。自分で作ったわけじゃないし、素材とか染め方とか知らない。


「学校で注文して買った」


 と言ったら、ピンと来なかったようだ。

 この時代だと、服はどうやってるのだ。呉服屋とかか?


 あとは学校のこと。

 っていうか、何をやってる人なのか、っていうから「高校生」と答えたがそれも通じない。

 なんて言うんだろう。書生? 違うな。あれは大学生か何かのはず。

 「寺子屋」とかいうのがあったと思い出し「寺子屋で勉強してる」と言ったがピンと来てないようだ。


 あと靴。スニーカーにはすごく興味を持ったようで、代わる代わる手に取ってひっくり返したり履いて歩いたり手を突っ込んだり中を覗き込んだりしている。いや、なんか恥ずかしい。汚いよそれ。


 ここの女中さん達は全部で八人。年齢は下は十才くらいから上は五〇歳くらいまで。驚いた。そんな年齢から働いてるなんて。

 でも江戸時代ってことだし。まあいいのか、それくらい。


 それから着替えて、夕方になって、暗くなって、蝋燭の灯りの中モローが持ってきたご飯を一緒に食べた。

 蝋燭の灯りの中とはいえ、相手がモローじゃ、ムードもへったくれもない。申し訳ない、モロー。


 訊いてみると、どうも食べ物は自分で持ち込むか、別料金で作ってもらうようだった。その後モローは知り合いのところに飲みに行って、入れ替わりに女中のおばちゃんが様子を見に来てくれた。

 モローは、よく見るとやっぱ同じ部活の徳山じゃない。すごく似てるけど、だいぶ年上、二十代後半に見えた。

 布団は隅に出されてたのを自分で敷いた。


 そして気疲れしたのと、電気もなくて薄暗いので、なんだか眠くなってきてそのまま寝てしまったのだった。



 昨日の記憶をたどりながら、壁際に置いてあったスマホを取り上げる。相変わらず圏外だが、バッテリーが三割くらいしか無い。

 やばい。慌てて画面を切る。リアルだ。


 というか……。


 リアル、そう。これは、「現実」だ。


 スマホの黒い画面を見ながら、頭の中が真っ白になった。そして、何故かふつふつと、怒りがわいてきた。


 どうして。なんで?

 なんで私が、こんな目に遭わなきゃいけないの?


 スマホも繋がらない。知らない人しかいない。誰とも連絡も取れない。大昔の田舎で、お金も何もない。どうすればいいのか全然わからない。


 居ても立ってもいられなくなり、のしっと立ち上がる。乱暴に障子を開け、ドスドスと音を立てて廊下に出る。

 すでに雨戸は開けられ、外の明るい日差しが入って来ていた。そこから外を覗く。


「おや、南蛮の葵さん、おはようさん」


 中庭の井戸に居たのは、昨日話をした三十歳くらいの女中さんの一人だ。


「どうしたんだい? 大丈夫かい? 怖い顔をして」


 ハッとした。両手を腰にあて、両足を大の字に広げて立っていた。顔がこわばっているのが自分でも判った。

 慌てて顔を戻そうとするも、なんだかうまくいかない。


「お食事どうするね? モローさんが残していった握り飯一つ、に置いてあるけど」

「へ、へつ?」

「へっつい。ご飯炊くとこだよ。なんだ、南蛮にはへっついも無いのかい?」笑いながら女中が答える。


なるほど。台所のことだな。

「……あ、食べます。ありがとうございます」


 ペコリと頭を下げて部屋に戻り、基準服を手に取る。とりあえず乾いてはいた。


 そうだ。替えのブラウスとか……無いよね。あと下着は。コンビニとか無いから、どこで買えばいいのか。やっぱ呉服屋? どこそれ?


 仕方なく昨日の基準服を再び着て、へと向かう。廊下は全体的に薄暗いが、ところどころに明り取りの窓があり、真っ暗ということもない。


 ふと、食べ物のいい匂いがしてきた。


「おはよう、葵さん」

「あ、おはようございます」


 女将さんがいた。


「昨日は色々楽しい話、ありがとうね」

「いえ、こちらこそ、この辺りのこと教えてもらって、ありがとうございます」


 軽く頭を下げる。先程の「こわばった顔」は、もう緩んだ感じだ。ホッとする。


「葵さんって、言葉がなんだかとっても上品なんだよね」

「え、上品、ですか?」

「そう。モローさんがいうには、最初なんだかお武家さんか公家さんって思ったっていうんだけど」

「ああ、それは、苗字を名乗ったら急にかしこまっちゃって。慌てて取り消したんですけど」

「うーん、南蛮ではそういう言い方するからなのかね。まあ、南蛮の風習ってのはここいらとまた違うんだろうね」


 南蛮かあ。まあ「未来から」って言っても通じないよなあ。SFとか、無いだろうし。


 お腹がギュルっと鳴る。


「あ、葵さん、そうそう。モローさんが置いてった握り飯」


 差し出されるおにぎり。大きめのが一つ。


「ありがとうございます。モローは?」

「ああ、奴さんはね、この辺りで一渡り交渉事があるみたいで、もう外に出ちゃったかも」

「そうですか……」


 おにぎりを手に持ったまま、キョロキョロと見回す。


「ああごめん、このヘリに座って食べておくれ」


 かまどの前の一段高くなったところを指すと、女将はどこかに行ってしまった。


 かまどの前にぽつんと座ったたまま、おにぎりにかぶりつく。


 何も味が無い。塩味すらない。けど、なんていうか、変な弾力の具が。食べたところから中を見ると、白っぽい餅のような物が入っていた。何だこれ。


 まあ、贅沢は言ってらんない。お茶でもないのか見回す。どうもヤカンのようなものはあるが、使っていいものか、中に何が入ってるのかも分からない。

 結局、水も無しでおにぎりを平らげた。さて、手についたご飯粒を……。


 えーと。

 水道って、無いのね。みんなどこで手を洗うんだろう。


 ふと見ると、かまどの横のたらいに水が張ってあり、神社にある柄杓ひしゃくのようなものが置いてある。


 これ、いいよね。使っても。


 立ち上がって柄杓を手に取り、片手ずつ手に水を流す。

 冷たくて気持ちいい。

 でもひょっとして飲み水か料理のための水なのかも、もったいないかな、とも思い、見つからないようにと祈った。


 ポケットからハンカチを出して手を拭きながら宿屋の玄関の方へと廊下を歩くと、モローの声が聴こえた。


「あ、モロー」

「葵ちゃん。よく眠れたでやんすか?」


 もう「ちゃん」づけか。慣れなれしいな。

 まあいいか。よく考えたら、こっちは呼び捨てだった。


「何とか。あ、おにぎりもありがとう」

「おにぎり? おにぎ……握り飯の事でやんすか。まあ、迷子で苦労してるってえからね。特製の笠羽餅入りの握り飯でやんすよ」


 ああ、笠羽団子の、お餅か。そんなものをおにぎりの具にするなんて。

 なんだか笑いがこみ上げてくる。


「餅なんか入れたんですか。お米とお米で、なんか変でしょ」

「ああ、笠羽餅は、モチはモチでも、米じゃないんでやんすよ。芋から作ってるでやんす」


 同じこと。糖質爆弾ってことじゃないか。


 ふと、モローが真顔になった。

 なんだろう。嫌な予感もする。顔がこわばっていくのを感じる。


「いや、葵ちゃん。いろいろ困ってもいるようでやんすが……。実は、その、あれ、ずっと泊まり賃とか食事、出すのはちょっと苦しいんでやんすよ。拙もね、そんなお大尽じゃないでやんすから。単なる行商人なんでやんすよ」


 ハッとした。確かに。

 夢ならそのまま覚めりゃ終わりだ。だけど、どうもそうではないみたい。

 とすれば、食べて、寝て、生きていく必要がある。


「モロ―、どうもありがとう。でもどうすれば?」

「うーん。本当なら、番所ばんしょに連れてって、いろいろ調べてもらうってとこでやんすがね。ちょっと番所はここから遠くにあって。今日はちょっとそっちまで行けないんでやんすよ」

「番所?」

「えーと、この辺りでは、奉行所ぶぎょうしょの小さい奴が番所でやんすね」


 奉行所……って、裁判所みたいなとこじゃなかった?

 お奉行様がいるところよね。そんなとこにいきなり連れて行かれたら、怪しいって捕まって牢屋に入れられたり……しないかな。

 迷子の南蛮人で、どこの「国」かもうまく説明できない怪しい奴、だよねえ。私って。客観的に見たら。


「あ、いえ、大丈夫……かなあ?」


 困った。どうしよう。ご飯と寝る場所。


「ここいらにしばらく居るにしても、何もしないで、ってんじゃちょっと……でやんすよ。で、さっきここの女将とも相談してたんでやんすが、ここで働かせてもらったらどうか、って」


 ここで、働く、か。


 しかし、バイトをしたこともない自分に、そんなこと出来るんだろうか。


「葵ちゃん、そうだなあ。しばらく女中の手伝いとか、どうでやんすか?」


 女中の手伝い。ああ、ご飯作ったり。うーん。炊き方とか分からないけど……。掃除機とか洗濯機とか炊飯器とかも、無いんだよね、きっと。


「やったこと無いんだけど、大丈夫かな?」

「大丈夫でやんすよ。ここいらじゃ、子供でもやってるやんすから」


 そういえば昨日の「女中」さん達の中に、どう見ても小学生くらいの子供がいた。あの子も働いてるのか。義務教育どうなってんだ。寺子屋は?


「あとは女将にいろいろ相談するといいでやんすよ。女将、さっぱりしてて良い人でやんすから」


 そう言うとモローは立ち上がり、宿屋の奥に向かって声をあげた。


「そうでやんすよね、女将さーん」

「はいな」すぐに明るい声が返ってきた。


 なんだ近くにいたのか。


「夕刻に戻るでやんすよ」


 モローが立ち去ると、入れ替わりに女将が玄関先に出てきた。


「なんだか言いにくくてね。故郷から遠く離れて道に迷ったってんだ。困ってるだろうにね、って。でも、こっちもずっとタダで、ってわけにもいかなくてねえ」

 女将が少し困った顔になる。


「え、それはこちらこそ。出来る限りのことはします!」

「そう。うーん。じゃあまずは、水くみ、あたりかねえ。そんで、これからは『お客さん』じゃないから、葵ちゃん、って呼ばせてもらうよ」

「わかりました! いろいろありがとうございます!」


 元気よくそう言ったものの、不安はあった。もともとあまり体力には自信がない。


「……えーと、何時間労働、でしょうか?」

「ナンジカン?」


 女将が不思議そうな顔をした。え、分からないのか。


「どのくらい仕事あるんですか?」

 言い直してみるが、通じたかどうか。


「うーん、そうねえ。水くみなら、朝昼晩、あと風呂の水ね。でもお風呂は大変だし、晩はまあ汲み置きもあるから、そうねえ。朝昼の水くみでどうかしら」

「朝昼。それだけで良いんですか」

「そうねえ。ただ、お給金は出せなくてよ。女中で寝泊まりするのと、賄い飯。これの代わりに、ってとこだからね。実際のとこ、人出が足りないわけじゃ無いんだよねえ」

「あ、ありがとうございます! しっかり働かせてもらいます!」


 葵は深々と頭を下げた。


「そうそう、その格好じゃあ動きにくいだろう。だいたい、目立ってしょうがない。泊り客だけじゃなく、変な噂で見物客に来られちゃ迷惑だ。お上に目でもつけられたら、商売も上がったりだからね。ちょいと、おまゆ!」


 女将が奥に向かって声を上げた。


「はいな」


 笑顔の少女がひょこっと顔を出した。昨日葵と話をした女中たちのうちの一人だ。確か年齢は十八とか言っていた。


「あ、昨日はどうも」葵は思わず頭を下げる。

「ああ、葵ちゃん。ここで働くんだって?」


 もう伝わっている。というか、やりとりを陰でこっそり聴いてたんじゃないだろうか。

 ここいらの人は、みんなそうなのかもしれない。


「そうなんです。よろしくお願いします!」

「お繭、葵ちゃんに、着物を用意してやって。背格好も似たような感じだからね。同じのでいいだろう」

「あい、わかりました!」


 お繭は葵に目配せすると、へっついの方へと手招きした。葵は促されて付いていく。

 お繭がへっついの奥扉にある木の扉を開き、ところどころに蝋燭が置いてある暗い廊下を通っていく。

 金属の台の形がなかなか素敵だ。蝋燭の多くは溶けて、下の台に黒いすすと混じって不定形の塊を作っている。

 見とれていると、お繭との距離が開いてしまった。慌てて後をつけていく。


「こっちよ」


 廊下の奥には襖があり、そこを開けて振り返るお繭。

 軽く頭を下げて入る。真っ暗だ。


「あ、ちょっと待ってね」


 お繭が部屋の隅から木の棒を取ると、壁の一部を押した。壁が一部外に開いて、光が入ってくる。

 そしてそのまま、お繭はそれをつっかえ棒として固定した。


 部屋は十畳ほどの広さの倉庫のようだ。着物や手ぬぐいなど布関係が多い。ややカビ臭い感じもするが、それほど不快ではない。


「水くみだと、まあ、これでいいかな」


 棚からお繭が取り出したのは、ほかの女中さんが着ているような、薄藍色の浴衣のような着物だった。


「これ着て。帯も。汚れたらみんなのといっしょに洗うからね」


 手渡された着物は、寝るときに着ていた浴衣よりも、少ししっかりした感じ。

 なんだか、木綿じゃないみたいだ。


「ありがとう。それと、あと……」


 んんん。ちょっと言いにくい。


「パンツ……いや、下着、って、どっかに売ってないですかね」

「シタギ? どんなの?」


 分からないのか。無いのか、下着。まさか。


「えーと、この下に着る奴」

「その下? これだけだよ」


 不思議そうな顔をするお繭。


 さあ、困った。

 いやまてよ。そういえば、昔の人って、着物の下には何もつけない、ってどっかで見たような。


「あ、いいです。あと、手ぬぐいって、ありますか?」

「手ぬぐいね。じゃあ、これ」お繭が隣の棚から白い布を一枚渡してくる。

「あ、ありがとう!」

「あと、そう、昨日泊まった部屋はお客さん用だから、詰め所に移ってね」


 つっかえ棒を外して窓を閉めると、お繭が倉庫を出る。

 慌てて後を追う。


「ここね」

 倉庫のすぐ横の部屋だ。広さはさっきの倉庫と同じくらいか。

 だが、部屋の隅には、小さな机や紙束、鏡のようなもの、棚、脱ぎ捨てた着物らしきものなど色んなものが置かれている。


「えと、ここ、シェア……いや、共同? だよねえ」

「キョウドウ? うーん、何人かで使ってる、っていうなら、そうね。ここは今、私も含めて三人で使ってるから、葵ちゃんは四人目ってことね」

「……すみません、狭くしちゃって」


 ここで四人かあ。なんだか申し訳ない気分になる。


「いいのよ。にぎやかになるし。だいたい、あんまりここに居ないけどね」


 そか。みんな普段は仕事中だ。


「じゃあ早速着替えて。水くみの場所と道具、教えたげる」


 そう言うと、お繭は隅に行って何やらごそごそと荷物らしきものをいじりはじめた。

 その間に、ぱぱっと着替える。脱いだ基準服は、畳んで隅に置いた。


「なに、その浴衣みたいな着方!」

 振り返ったお繭が口に手をあててすっとんきょんな声を上げた。


 顔がポッと熱くなる。

「え、ヘン!?」

「まあ、南蛮の娘じゃ、しょうがないね!」


 お繭がケラケラと笑いながら、ささっと着物を直してくれる。

「あとこれね」気づかなかったが、長い布が床に落ちていた。お繭はそれを拾うと、葵の背中から胸の前にかけて器用に布をクロスさせた。袖がきちっとまとまる。


「あ、ありがとうございます!」

「いいのよ。そのかわり……」


 お繭が急に勿体ぶった態度になった。顔は曖昧な笑顔だ。嫌な予感がする。


「友達になってくれない? この部屋、下は十才、上は四十でちょっと友達って感じじゃなくってさ」

「もちろんです!」それならいい。ほっとする。

「じゃあ、葵、私のことは、お繭、って呼んでよ」

「そうします! お繭!」


 お繭はちょっと照れた顔をすると、言いにくそうに口を開いた。


「あとなんか、言葉も、もっと何ていうか。葵の話し方ってちょっと上等すぎるから、話しやすくしてよ」

「そうしま……あ、じゃあ、そうするね。お繭。これからよろしくオナシャス!」


 お繭が一瞬キョトンとした後、笑い出した。


「南蛮の娘だって、忘れてた! まあ気楽に喋ろう! さっきのが葵の気楽なら、それでいきなよ」

「オッケー!」


 一瞬お繭の顔がポカンとしたが、すぐに二人は顔を見合わせ大笑いした。

 


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