戦い

 次の日。相変わらず授業はろくに進んでいない。あっという間に授業が終わり、放課後になった。僕は約束通り音楽室に向かった。

「こんにちは。今日もよろしくお願いします。」

「おうよろしく。今日も昨日と同じように—ってパート決めたんだっけ。アルトだよな確か。」

「そうです。それを言い残して昨日は終わっちゃって…。」

「そうだったそうだった。で、大体わかった?」

「一通りネットで調べましたけど具体的には…。」

「そりゃそうだ。じゃあ詳しい所は今から教えるからとりあえず…」

先輩がそう言いかけた途中で彼は入ってきた。

「それ、僕がやらせてもらってもいいかな?」

 

「あなたは?」

「僕は中谷。君が入るアルトパートのパートリーダーさ。今までは部長にやってもらってたんだけど流石に悪いし声の音域が違うと教えることも少し変わるしね。てなわけで今日は君の面倒は僕が見よう。」

「はい、よろしくお願いします。というか先輩部長さんだったんですね…。」

「そういうこった。んじゃまぁ、頑張れよ。」

「はい。」

 そう会話しているうちに周りにいた先輩達や同級生がざわざわと騒ぎだした。なんでかは知らないけれどとりあえず僕は中谷先輩と一緒にピアノの前へ行く。

「さっきの様子を見ると君は知らないみたいだね。」

「何をです?」

「うちの部活、人数も多くないし時間も他校と比べてかなり制限があるから選ばれた新入生何人かはパートリーダーに連れていかれて徹底的にしごかれるのさ。まぁそこでやめるならやめたっていいし。ちなみに受けて合格もらったらパートリーダー確定ね。でも受けて合格しなかったら3年間肩身の狭い思いするから。それが嫌なら今のうちに戻りな。別に引き留めはしないさ。ただその程度のやつだったんだとは思われるだろうけどね。」

 そんな闇深いシステムがあったんだ。

 以前の僕なら確実に拒否していただろう。でも違う。僕は変わると決めたんだ。

「やります。やらせてください。」

先輩はその言葉を聞いてふっと優しい顔をした。

「君ならそう言ってくれると思ったよ。さぁ、やろうか。」


1時間後

「うん。今日はこれくらいにしておこうか。」

「つ、辛い。」

「よく耐えたね。僕は2年前倒れたよ。」

「でもこれくらいできなきゃ意味ないと思うので。」

「すごいね君は。よし決めた。合格だよ。おめでとう。」

「あ、ありがとうっございます。」

「でもいいの?パートリーダー確定だよ?嫌でも部活こなあいといけないし責任沿いつけられるんだよ?それに君あんまり得意じゃないでしょ。」

「まぁはい。でもいいんです。僕は変わるんです。」

「君がいいならいいんだけど。でもこの話、続きがあってね…」

「そこからは俺が話そう。」

突然部長が現れた。


藤川帰宅後

「あいつに部長をやらせようと思う。」

「君こうなったら強情だしね。わかった。協力しますよ。で何すれば?」

「ほら。個人的に三年生に呼ばれた人は審査の上部長になるっていううちの規則あるだろ?あれを話変えてやろう。」

 これが事の顛末でした。

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