始業式②
その後三人でしばらく他愛のない話をしていると僕が待っていたもう一人の子がやってきた。
「おはよう桧山。また君と同じクラスとはね。まぁ知り合いがいないよりかはいいが。よろしくな。」
「こっちもまた同じになるとは思ってなかったぜ。よろ。」
そう桧山くんに話しかけてきたのは僕と同じくらいの背だろうか。黒髪メガネのいかにも優等生という恰好の子だった。もしかして…。
「君が桧山くんの言っていた原口君?僕は藤川。よろしくね。」
「あぁ。こいつがどんな話をしたのかはわからないがよろしく。」
「別に変なことは言ってないぜ。」
簡単なコミュニケーションはとれたようだ。
もう少し話をしようかとも思ったけれど、講堂の電気が消え、前のステージの明かりだけが残ったので僕たちは黙ることにした。周りの一年生もそう思ったらしく周囲はあっという間に静かになった。ただし、もうこの学校に入って1年もしくは2年たっている先輩達は相変わらずうるさかったが。一応有名大学の付属校だし生徒達のレベルも高いと思ったんだけどなぁ。これじゃ中学の女子の方がよっぽどましだぞ。
そう思っていたが、前に先生が立ち何回か注意をすると静かになった。
始業式はあっという間だった。中身は校長先生の話と先生の異動や新任の先生や留学生の話だけだったし。校長先生の話長いというあるあるはどうやらうちの学校では適用されないらしい。先生の話もなかなか面白かったし眠気を誘われなくてよかったと思う。
ふと右を見ると桧山くんが寝ていた。なんで昨日は起きていられたのに今日は寝るのかね。今日の方が短いよ。
始業式が終わり、
「桧山くん起きてよ。もう終わったよ。」
「うぅ…。おはよう藤川。もう終わっちまったのか。」
「おはよう桧山くん。昨日と逆だね。」
「うっ…うっせぇなぁ。いいだろ寝たって。お前だって昨日寝てたんだし。」
「それを言われるとそうなんだけどさ…。昨日の方が長かったのになんで昨日は起きていられたのかなって。」
「入学式は流石に起きていようと思って朝起きてコーヒー3杯飲んだんだよ。おかげで昨日の夜寝れずに今日このざまだがな。」
「そうだったんだ…。」
「それより移動するぞ。行くぞ。」
「うん。」
藤浪君、僕、桧山くん、原口君の順番で横になって廊下を歩くと、
「なぁ始業式中ずっと考えてたんだが」
と藤浪君が話題を振ってきた。
「原口と桧山ってさなんでそんな両極端なのに仲いいんだ?お前ら生きてる世界制反対だろ。」
「おまっ、それは失礼だろ!」
「いや、藤浪君の言ってることは正しいよ。」
「原口ぃ!」
「いやだって事実だろ。」
「いやまぁそうなんだがなぁ。」
「僕と桧山は近所に住んでいて幼馴染なんだ。ただ今は生息環境が全然違うのにクラスは毎回同じだから腐れ縁って言った方がいいかもな。」
「お前もかよ!少しは12年(幼稚園3年、小学校6年、中学校3年)付き添った俺のことを思ってくれたっていいんじゃないのか⁉」
「お前が本気でそう思っているのならそんなこと言わないだろ。」
「ばれたか。」
「お前ら端から見ると夫婦漫才だぞ。」
「「誰が夫婦だ!」」
「息ぴったりじゃないか。なぁ藤川…ってどうした藤川。」
僕はこのマシンガントークについていけていなかった。凄いな藤浪君は。ただ一つだけわかったことがある。
「いやこんな面白い人たちと一緒なら高校生活楽しそうだなって。」
「そうだな。ただな藤川。お前のその笑い方ちょっと引くぞ。」
自然と笑みが出ていたようだ。気を付けないと。僕は笑ってはいけないんだ。
見てる?最後の一人も楽しそうだよ。
絶対に守ってみせる。だから助けてね
かあさん。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます