第14話 拷問

  何かを聞き出そうとするとき、人間は太古より用いた手段。


それは『拷問』。


痛みを与え無理矢理吐かせる行為。

現代社会、特に人権を重んじられるようになった20世紀以降、野蛮な行為とされ、法律上禁止されている犯罪行為だ。


しかし、宇都宮秀男は、その手段も厭わない男だった。


那珂湊教授は再び拘束椅子で身体の自由を奪われていた。


「教授、出来るならこの手段は使いたくはないのです。全て話していただけませんか?」


「・・・・・・ふふふっ、SMプレーか・・・・・・私はしたことがない経験だから楽しみだね」


と、那珂湊教授は笑みを浮かべた。


「仕方ないですね」


と、宇都宮秀男はペンチを取り出しカチカチと鳴らしながら那珂湊教授の左手小指の爪を掴んだ。


「教授、最後の警告です。話してくれませんか?」


「爪はがしか?なんとも古風な拷問だな。新撰組の土方歳三か?」


と、口にしたとき、宇都宮秀男は一気に小指の爪を剥がした。


「え?」


と、苦痛による悲鳴より拍子抜けの言葉が出てしまったのは宇都宮秀男だった。


「痛くないのですか?」


顔色すら変えない那珂湊教授に宇都宮秀男は驚いていた。


「痛いさ。そうだな~髪の毛を10本一気に抜かれたくらいかな?」


人間の感覚は指先が鋭くなっている。

それは物を見なくても掴むという動作が出来るため。

その掴む対象が危険かどうか、一瞬にして脳が理解するために指先は極端に感覚が鋭い。

それは痛点が多くある。


拷問の基本は、まず指からが理想的。


「那珂湊教授、あなたは痛点すらも改造したのか?」


「答えはイエス、そう答えてあげよう。その震える手に免じて」


と、ペンチを持つ宇都宮秀男は震えていた。


「馬鹿な!馬鹿な!馬鹿な!」


と、那珂湊教授の左手の爪を全部剥がしても那珂湊教授は顔色一つ変えずにいた。


床は血で染まっていた。


その血で滑り転ぶ宇都宮秀男は、そこで我に返った。


「拷問も効かない。その解釈で正解ですか?」


「答えはイエスだ」


「あなたは人間ではない」


そう叫び宇都宮秀男は部屋を出て行ってしまった。


拷問という恐怖は那珂湊教授より、宇都宮秀男の心を打ち砕いていた。

よほどの特殊の趣向を持たない限り、本来するほうも、心は痛む行為。


宇都宮秀男もただ目的のために、そうせざるおえなかった。

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