第10話 悪魔の誕生

202x年12月15日


《陽華人民共和国》


日本国では遺伝子改造のニュースで大混乱している中、とある研究施設で事件は起きていた。



「不味いぞ、病原菌が漏れ出した」


この研究室では様々な自然界の病原菌などを調べていた。

兵器を作るためなどではなく、純粋な調査機関。

その日、その調査機関の換気する機械が故障した。

研究施設内の空気を完全に無毒化して空気を入れ換える装置の無毒化装置が停止してしまった。

たまたま、その日研究していたのが、最近発見されたばかりの病原菌だった。


「しかし、あれはオオトカゲの病原菌だろ?人間に移るものではないはずだぞ。万が一移ったとしても限定的なはずだぞ、人から人へ移るような物ではないはず」


「あぁ、感染者が出たとして調べられても、自然界にいた病原菌、DNAに手を加えた生物兵器ではない」


「純粋な研究だったからな」


「よし、このことは研究所だけの秘密として、なかったこととする」


「それより、俺たちは感染していないのか?」


「見つけたばかりの病原菌だったからな、もしもがあっても風邪に似た病原菌の変異種だから、そうそう重篤にはならないはずだ」


「だと良いのだが・・・・・・」


とある国のとある研究所で、自然界のウイルス研究をしていた。


その研究は悪意がある生物兵器などという研究ではなく、純粋に地球上にあるすべてのウイルスの存在を研究する施設だった。

 

人間は増え続け、地球上はもうすぐ80億人になろうか?と、言う現在。


人間は今までの支配地域だけでなく、新たな土地の開発も余儀なくなっていた。


密林、洞窟、海、山、すべてを開発しなくては、食糧問題が現実問題として直前になっていた。


そのため、今まで人間が接する事がなかった生き物達と接触する機会も増える。


そうなると未知の病原菌が発見される。


感染しないとは言い切れなく、病原菌の存在を確認して、対抗手段となる薬を見つけないとならない状況になっていた。


宇宙人の存在を聞けば、多くの人は否定するだろう。


しかし、地球に似た惑星は次々発見されている。


その惑星には人間より優れた文明を持っているかもしれない。


しかし、ならなぜに地球に来ない?と、問うだろう。


それは一片しか見ていない者の早計な考えでしかない。


惑星は似ていても生物が同じ進化をしているとは限らない。


それは、目に見えない様々な微生物や病原菌だって同じ事。


人間は、いや、地球上の生物は幾万年もかけて、それらと共存してきたからこそ、生きていられる。


しかし、他の惑星の者は、それらに対する免疫を持っているのだろうか?


答えはNO。


宇宙人が地球上に降り立ち、生身をさらせば、たちまち何らかの病原菌に感染して、人間では何でもないような病気や症状を引き起こして死んでしまうだろう。


それと同じ事だ。


人間が未開の地に進むには、必ず生物や病原菌の存在の研究をしないとならない。


それを善悪で考えたとき、悪と言えるだろうか?


地球上全てを支配しようとする人間には当然必要な行為のはずだった。


だが、人間は万能ではない。


一つの間違いが、事故が大きな惨事を生む。


これはその始まりだった。


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