第5話 ネット反響
真実の報道をしないマスコミに対して生中継をしていたSNSでの記者会見動画の一部始終が拡散されると止まることはなく、逮捕の瞬間まで動画は配信されていた。
那珂湊比呂志教授の必死の叫びも。
ドローンを使った追跡画像までも一緒に。
マスコミがテレビで批判合戦をしているなか、拡散された動画を見た多くの若者はマスコミとは裏腹だった。
『これ、マジかよ、うちのオヤジ助かるかな?』
『やっと、やっと、光が見えた、私の病気が治る』
『余命宣告されているんだ、助けてくれよ。俺には家族を養わないとならないんだよ』
『一生、普通の子のように走れないと思っていたうちの子が、走れるようになるのね』
『お~神よ、私の病気に救いの手が・・・・・・救世主が現れた』
『私も子供産めるようになるのね』
などと、コメントが広がる。
それは若い者ほど、そして信仰心が薄い者ほど受け入れて希望を持った。
しかし、その技術がある那珂湊比呂志教授は医師法違反と言う罪状で逮捕され、とある警察署に勾留されているとSNSでは拡散され続け、解放をするよう呼び掛ける、いや、押し掛けてデモをしようなどと動きが始まっていた。
政府とマスコミと一般市民の動きは正反対のものであった。
国やマスコミが作り上げている『倫理』『道徳』『神の領域』は、一般市民には『倫理』『道徳』などと言う言葉では縛れない時代になっていた。
特に『神の領域』と言う言葉は意味を失っていた。
常に発達を続ける科学の社会の中で育った若者には、その壁は特に低かった。
それがわからないマスコミと、国会議員による国民誘導は終わりを迎えようとしていた。
完全に時代遅れだった。
新しい技術を取り入れて治るものなら治りたいと言う意志のほうが上になる。
その時、遺伝子改造が『神の領域』などの言葉で制約されるものではない。
制約は壊され、新たな域に向かう。
那珂湊比呂志教授はそんな風潮を感じていたからこそ、自分の子供達の治療だけでなく、世界中の人を助けたくて危険を犯してまで発表を公表したのかもしれない。
自分はその壁を突破するための鍵になる。
そんな考えがあったのかもしれない。
使い捨てられる鍵でも良いと。
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