第12話 帰宅

 あの、恐怖の魔女裁判で罰を食らった俺は瀕死の状態で気絶してたのが、柚月のストレートパンチを思いっきり、腹に食らって強制的に起こされて、悶絶する中、帰宅準備を急かされるのであった。


 いや〜、三途の川を見るのは久々だったけど、今回はマジで死を覚悟したなぁ〜


 てか、あんな罰をして、普通はやり過ぎたと思って謝るべきだと思うんだけどね?瀕死の人間にストレートパンチってどうよ?流石にあり得なくない?

 そう思って、柚月に一言言ったらさ、なんて言ったと思う?⦅ユーちゃんが悪い、寧ろこれくらいで済んで良かったね?⦆だせ?彼女は血も涙もないのかな?


「ねぇ、ユーちゃんまだ〜?

 早く帰ろうよー?」


「そうだね、早く帰ろうか」


「…」


 俺の幼馴染達が逞して、泣けてくるぜ〜

 あなた達のせいで、身体中が悲鳴を上げているにも関わらず、この仕打ち、帰宅準備も手伝ってくれないって酷くない?


 後、さっきから喋らないあきまるが未だに不穏な空気を出しているのはなんでなのかな?


「あー、あきまる?

さっきから、話さないのはなんででしょうか…?」


「つーん、ぷいっ」


「えっ、なんでそっぽ向けるの?」


「…ゆうまるのスケコマシ…」


「だから、なんで⁉︎」


 どうして、そんな事を言われなければならないのか!?誠に遺憾です…


「はいはい!、早くしないと香織ちゃん達待たせてるから、怒られちゃうよ!」


「おーし、早く帰りましょうか!

おい、皆んなどうした?

とっとと、帰ろうぜ!」


 香織を怒らせるのはいけない…

 もし、怒らせてしまったら…がくがくぶるぶる


「(ねぇ、ゆっちゃん、どうしてゆーまるはいきなり態度が変わったの?)」


「(うーん、ちょっと私の口からだと言いづらいんだけど、香織ちゃんって、結構なブラコンさんだから、ちょっとでも、お兄ちゃんと一緒にいたいんだよ。

だから、帰宅する時間が遅くなったりすると怒っちゃうんだよね〜)」


「(そ、そうなんだ…)」


 うーん?なんかあきまると柚月が小声で話しているけど、気にする必要はないか!

 では、いざゆかん、我が家へ!



………




「…で?」


「いや、でと言われましてもさっき説明した通りなんですが…」


「…ふーん、もう一回死んどく?」


「いや、なんで⁉︎」


 現在、俺は実の妹によって殺されそうになってます…

 あの後、妹達とも帰る為に合流場所に着いたら、妹が、いきなり「正座しろ」って怒気を孕んだ声で言うものだから、反射的に正座してしまったわけよ。

 その後、なんで遅れたかの説明を求められたので、説明したのに、帰ってきたのがさっきの返答ですよ。

 ちょっと、遅れただけで、この仕打ち、妹には血も涙も胸もないのか!


「にーさーん?」


「ひ、ま、待ってくれ⁉︎

別に変な事は考えてないぞ⁉︎」


「それ、自白してるようなものだよね〜?」


「ぐっ!」


 やばい、このままでは折檻されてしまう!

 助けて、幼なじみ達よ!


「香織ちゃん〜、今は落ち着こう、ね?」


「駄目です。今すぐにこのアホを折檻しないと落ち着きません。」


「あっ、そ、そうなんだね〜

…ユーちゃんドンマイ!」


 ドンマイじゃないよ⁉︎

 くそー、柚月の説得では、ダメか!

 じゃあ、水羽ならどうだ⁉︎水羽頼む!


「…」


 あれー、なんかいつもだったら仲裁役になってくれる水羽さんが、今日はずっと沈黙しているぞ?

 しかも、心なしか、こっちに向けて頬を膨らませながらジト目で見てるし…よく分からんけど、水羽も駄目なら、我が親友の和也よ!ヘルプミー!


「アッハッハ、いつ見ても面白いなぁー」


 いや、笑ってないで、助けて!

 あたしのライフが、ゼロになっちゃうよ⁉︎

 てか、やばい。笑顔の香織さんがこちらに近づいてきてる…カバンを回してるのが怖い…


「あ、あの‼︎」


 声を掛けられた事によって、動きを止める香織。

 はっ、この声は!あきまる!助けてくれるのか⁉︎


「…なんですが?」


「ひっ、え、えっとですね…」


「…」


「えっ、えっと、今日からお世話になります、神奈月亜木です!」


「…へぇ、あなたがそうなんですか…

…綺麗なお方ですね?」


「ひっ!」


 ちょっと、待って?

 どうゆう状況?

 まず、なんであきまるはこの状況で挨拶したのかな?意図が読めないっ

 それと、確かにkyな発言だと思うけど、なんで妹はさっきよりも不機嫌になっているんでしょうか?最早、オーラが可視化出来るんじゃないかってレベルなんですが…

 ツッコミ所が多すぎるっ‼︎


「…にーーーさーーーん?」


「ひっ、は、はい!

なんでございますでしょうか⁉︎」


 ヤベー、またこっちに標的が移った⁉︎

 てか、マジでこえーよ‼︎‼︎

 口元に髪を置いて、振り向いて、笑顔とか最早ホラーでしかないっ‼︎

 今まで、感じた事のない恐怖が俺を締め付けている


「…もう知ってるんですよね…?」


「えっ、えっと何がでしょうか…?」


「…神奈月さんが今日からうちで暮らす事」


「は、はい、本人から聞きましたので…」


「…綺麗な方ですね…?」


「ま、まぁそうだな、神奈月は綺麗だと思うよ」


「………」


 えっ、何この沈黙?

 周りはなんかアチャーって顔してるし。

 いや、あきまるは『綺麗、綺麗って言ってくれた、えへへ』って、小言を呟いてるけど、いや嬉しいのは分かったから、そんなに呟かないで、こっちが恥ずかしくなっちゃうから。


「…にーさん」


「は、はい!」


 あれ、なんか心なしか、笑顔の質が変化している気がするぞ?

 まるで、慈愛の女神のような笑顔だ

 は、まさか、許してくれるのか⁉︎やったぜ、死刑回避だせ‼︎



 けど、おかしいなぁ〜、さっきから身体の震えが尋常じゃ無いんですけど?

 後、なんでマイシスターは手にメリケンサックを嵌めているのでしょうか?

 お兄ちゃん、そんなもん持っているなんて知らなかったよ…?



「…10万回死ねー‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎」


「NOーーーーーー⁉︎」


 この後、妹による折檻が敢行されたが、余りな内容と、所々意識が抜けているので、ここでは内容を控えさせて頂く…
















 今日は厄日だーーーーーーー⁉︎

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