第10話疑問点解消

「しくしく、しくしく」


「裕樹くん、大丈夫?

 私に出来る事があったら言ってね!」


「ありがとな神奈月〜

 俺の味方はお前だけだよ〜」


「そ、そんなの当たり前じゃん!

 私たち、幼馴染みなんだから!」


「他の幼馴染み達とは違って、お前は天使か⁉︎」


「て、天使だなんて…、恥ずかしいよ〜」


 先程、無情にも可決されてしまったクラス裁判開廷に、絶望して泣いていた俺を慰めてくれるあきまるさん。

 久しく話していなかったのに、長年ずっと前から一緒に居たような感覚になるのは、幼馴染みだからだろうか?

 後、照れて、赤くなっている姿は可愛いね!癒されるわ〜


「ねぇ、そんなコントはどうでもいいから、私も質問させて欲しいんだけど?」


「ねぇ、柚月さん?

 俺が傷ついているのにコントて片付けるのはひどくない?

 後、なんでそんなに不機嫌になってるんだよ?」


「知らない、ユーちゃんの馬鹿!朴念仁!

 ちょっと、黙ってて!」


「だから、ひどくない⁉︎」


 これ以上の罵倒はやめて⁉︎俺のライフはもうゼロよ!


「ねぇ、ねぇアーくん?

なんで、ユーちゃんの家に居候する事になったの?」


 あ、確かに、それは俺も聞きたいな


「あ、そうだよね、疑問に思うもんね?

本当だったら、家族全員で日本に戻ってくる予定だったんだけど、急遽お父さんの仕事が追加されちゃって、それが終わるのが大体半年後とかになりそうとかで、その時には転校手続きとかも済ませちゃっていたから、どうしようかってなった時に、裕樹くんのお父さんから、『じゃあ、うちで暫く暮らせばいいじゃん。』って事になったんだよ。」



「そうだったんだね!

 でも、それって昨日、今日の話じゃないよね?

 いつぐらいに、その話が決まった感じなの?」


「そうだねー、その話が決まったのが大体2〜3週間前かな?」


「そんなに前なら、普通知ってる筈だよね?

なんで、ユーちゃんは知らなかったのかなぁ〜?

本当は知ってたのに知らなかって嘘ついてるんじゃないの?

 もし、嘘ついてたら、分かってるよね?」


「いや、マジで知らなかったんだって⁉︎

 親父からもそんな話聞かされてないし‼︎」


 待って、そんな疑惑の目で見つめないで⁉︎本当に知らなかったんよ‼︎


「あー、もしかしたら原因分かったかもしれない」


「本当か、和也⁉︎」


 もし、そうならこの状況を打破出来る。頼む!


「うん、多分だけど、さっき水羽から今日香織ちゃんが凄い不機嫌だったんだよねって連絡来てたんだよ

どう、合ってる?」


「おー、合ってるけどそれがどうした?」


 なんで、いきなり香織の話が出てきたんだろうか?

 えっ、待って、そんなに露骨にため息つかないでくれます、和也さん?


「はー、まぁ裕樹だから、しょうがないか…

 多分だけど、親父さん、今日あきちゃんがくる事を思い出して、香織ちゃんには伝えたんだよ。

 親父さん、結構忘れっぽいとこあるからさ。

 それで、香織ちゃんが不機嫌になって、裕樹には伝わらなかったんだと思うよ。」


「「「あー」」」


 俺の親父を知ってるメンツはその事に納得したのか、苦笑いしながら、声を漏らしている。


「いや、まぁ確かに、親父は忘れっぽいし、朝早いから、香織にだけ伝えたのは分かるんだが、なんでそれで不機嫌になるんだよ?

 あれか、伝えるのが遅くなった事に怒っているのか?」


「「「「ハァー」」」」


「ちょっと待って、なんでみんなしてため息してるの?

 俺、変なこと言った?」


 そう、俺が訪ねるとあきまるを除くメンツが全員、マジかこいつ、って顔をしながらため息をしているのだが、なんでなんだ?


「ねぇねぇ、和也くんもしかしてなんだけど、香織ちゃんって、そうゆうことなの?」


「そうだよ、ただ裕樹だけがそれに気づいていないんだよね…」


「裕樹くん、それは流石に…」


「待って、なんで神奈月までそんな顔で見てるの⁉︎」


 やばい、なんでか分からないが、あきまるまで俺の事を非難し始めたぞ⁉︎くっ、味方がいない⁉︎


「あ、すみません、ちょっと質問よろしかったでしょうか?」


「うん、どうしたの神奈月さん?」


「実は先程から気にはなっていたのですが、私たちの事を見ている学生さんが多いかなぁ〜と思いますして、自惚れでしたら恥ずかしいのですが…」


 あー、成る程それは疑問に思うわな。

 仕方ない、俺が説明してあげよう。


「いいか、神奈月

 ここにいるメンバーを見てみろ」


「はい?」


「皆んな、イケメンと美少女(笑)『ちょっと、ユーちゃんー?』だろ?」


「そうですね、みなさんかっこよくて、柚月ちゃんは可愛いよ!」


「アーくんありがとう〜!

 で、ユーちゃん〜?」


 柚月が青筋を立てながら笑っているが無視!


「つまりは、そうゆう事だ!」


「??? えっとどうゆう事…?」


 そう説明した俺の言葉を上手く理解出来ていないのか、あきまるは可愛らしく首を傾げているのだが…うーむ、分かりやすく説明したんだが、上手く伝わらないか…


「ユウ、それはいくらなんでも分かりづらいよ…

 えっとね、神奈月さん、ユウが言いたかったのは、ここにいるメンバーがうちの高校ではかなり知名度が高いから、注目されているんだよ。」


「そうなのですか?」


「そうなんだよ、自分で言うのも恥ずかしいんだけど、僕と和也と大助は時狭間3貴公子って呼ばれてて、柚月ちゃんはは時狭間四天王の1人って呼ばれてるんだ。

まぁ、いわゆる、アイドル的な扱いを受けてるって感じかな」


 そうなのだ、圭介達の3人は学校でも特にイケメンの3人として知られており、女性達からのアプローチが凄まじいのだ。しかし、何故か男子から吊し上げにされないんだよなぁ〜。妬ましい!

 また出た四天王。まぁ、柚月と水羽が可愛いのは認めるが、それ程のものかね?てか、マジで他の2人は誰なんだ?


「へー、そうなんですね!

皆さん人気者なんですね!

あれ、でも裕樹くんは違うのですか?」


「あ、俺は他のやつと比べたら全然だよ」


「「「「いや、それはない‼︎」」」」


「え、何で皆んな否定してるの⁉︎」


 俺があきまるに返答したら、他の奴らから否定されたのだが、俺はお前らに比べたら全然大した事ないぞ⁉︎変な2つ名もないし!


「ねー、ユウちゃん、それ本気で言ってるの?」


「当たり前だろ⁉︎

 俺、お前らみたいな2つ名とかないし!」


「え、ユウちゃん知らないの⁉︎」


「何がだよ!」


 えっ、ちょっと待って、この柚月の反応はどうゆう事だ?どゆこと?


「なぁ、圭介、これって…」


「そうだね、この際教えておいた方がいいかもね」


 なんか、大助と圭介が話してるけど、小言のせいで聞こえないな。


「ねぇ、ユウちょっといいかな?」


「なんだ、圭介?」


「ユウは知名度で言ったら、僕らよりも全然高いからね?」


「は、マジで言ってるの?

 心当たりがないんだが?

 俺、別にお前らみたいなイケメンでもないし?」


 くそ、自分で言ってて悲しくなってきたな…

 で、何で柚月はジト目でこっちを見てるんだ?


「ユウ、君は相変わらずだね…

 この際だから、言っておくけど、ユウは僕たちみたいに2つ名があるからね?」


「マジかよ…」


 え、ここに来て新事実なんですけど⁉︎

 ま、まぁいいや、この際それは受け入れよう。

 ただ、なんて呼ばれているかは気になるな


「分かった、この際俺の認知度が高いのは理解しよう。

 ただ、その2つ名っていうのはなんだよ?」


「そうだね、そうしてくれると助かるよ。

 ユウ、君の2つ名はね…『天下の女垂らし』さ」


「…」


 えっ、何言ってるのかしら?あまりの二つ名に頭がフリーズしてしまったわ


「おーい、ユウ、大丈夫?」


「…ちょっと、待てー⁉︎

 えっ、どうゆう事?マジでどうゆう事⁉︎

 俺、女の人を口説いたことなんて、ないんですが⁉︎」


「あー、無自覚ですか…」


「裕樹、それはちょっと…」


「…ユーちゃんのバカ…」


「…」


 いや、全く身に覚えがないのにこの反応はなんだよ⁉︎

 てか、あきまるが無表情になってるのがマジで怖い…


「あー、神奈月さん?」


「…なんでしょうか?」


「えーと、どうしてそんなに無表情になってるのか気になりまして…」


「…天下の女垂らしさんのことなんか知りません‼︎」


「ま、待って⁉︎

 なんで、いきなりキレ始めたんだよ⁉︎

 いや、マジで俺には身に覚えがないのだが⁉︎」


 くそっ、よく分からんがあきまるが怒り始めてしまった。


「神田さん!」


「な、何かな?」


「先程のクラス裁判の件、私も参加させて下さい‼︎」


「ちょっと待てー⁉︎」


 え、なんであきまるまでいきなり参加する事になってるの⁉︎君は味方じゃないのか⁉︎


「裕樹君、拒否権はありませんからね⁉︎」


「ねぇ、待って⁉︎

 お願いだから、君はそっちサイドに行かないで⁉︎」


「もう知りません!」


 その後、なんとか魔女裁判を撤回すべく、あきまるを含めて、皆んなを説得しようとしたが、聞く耳を持ってはくれなかった…

 しかも、その時の柚月とあきまるが恐ろしい剣幕だったのはなんでだ?







 …取り敢えずは理不尽だー⁉︎

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