第9話挨拶と馴れ初め
「全く、酷い目にあったわ…」
「ごめんね、裕樹くん、私のせいで…」
「いや、神奈月のせいじゃないから気にするな」
あの後、再び、みんなにリンチにされるといういじめを受けた後、俺は完全に意気消沈してしまい、昼休みまで、まるで生きる屍のような感じになっていた。
俺が屍状態の中でも、授業は淡々と進んでいき、今は昼休みに突入している状態だ。
それで、昼休みになってすぐにあきまるが俺の席に近づいてきて、こうして、涙目で心配してくれている所である。
いやー、無事に生還したことへのご褒美かな?あきまるの優しさが心にしみる。あれ、また目から汗が止まらないよ…
「もう、あーくん、甘やかしちゃダメだ
よ?
ユーちゃんはすぐ調子に乗るから」
そう言いながら、こちらに近づいてくる柚月…て、ちょっと待て⁉︎
「いや、それはおかしいだろ⁉︎
第一、率先して体罰を実行したやつのセ
リフじゃない!」
「そんな、細かい事はどうでもいいの!
それより、ご飯食べよ?」
まるで、俺の台詞は戯言のように無視されて、お昼を催促してくるあたり、強かだなぁ〜、俺ちゃん悲しい‼︎
「じゃあ、ご飯どうするよ?
せっかくだし、学食に行くか?
神奈月、それでもいいか?」
「うん、大丈夫だよ!
わたし、お弁当持ってきてなかったか
ら、ちょうどよかったよ」
「じゃあ、学食に行こう!
他に来る人いるー?」
「積もる話もあるし、僕もお呼ばれしよう
かな」
「俺も行きたい、行きたい!」
「もし良かったら、一緒に行かせて頂けるかな?」
柚月の発言に対して、和也、大助、圭介が名乗りを挙げた。他の人達は大丈夫なのかな?まぁ、そんな大勢行っても、座る席ないからいいけどさ。
「まぁ、このメンツが集まったら一緒に行
こうとするのは気が引けるか…」
「大助何か言ったか?」
「いーや、別に?」
「?」
まぁ、そこまで重要そうでななさそうだしいいか。
「それじゃ、レッツゴー‼︎」
柚月の掛け声と同時にオレ達は、学食えと、向かうのであった。
………
「わー、大きいですねー」
学食に着いた俺たちで、あきまるが第一声にそのような事を口にした。
「まぁ、うちの高校は県内一のマンモス高校だから、このくらいの広さがないと食べれないからな」
「そうなんだね!
後、凄いいい匂いがしますよ!」
「だよなぁ〜
ここは匂いだけじゃなくて、マジで旨い
ぞ」
そう、この学食は下手なレストランより、断然美味しいのだ。しかも安くて、量も無料で大盛りに出来る素晴らしき学食なのだ!
「へー、そうなんだね!
是非、早く食べましょう!」
「そうだな、早くメニュー選んで食おうか」
そうして、各々メニューを選んで、席についてご飯を食べはじたのだった。ちなみに俺は唐揚げ定食を選んだ。これが絶品なんだよなぁー。
「ねぇねぇ、神奈月さん?
さっき、聞かなかった事を聞きたいんだ
けどいいかな?」
そう言って、あきまるに質問する大助。こいつ、とんかつ定食と蕎麦大盛りで食ってやがる…どんだけ腹減ってるんだよ…
「ふぁーい、なんでしょうか?」
少し、口に物が残ってたのか気の負けた返事をするあきまる。ちなみにあきまるは悩みに悩んだ末、日替わり定食にしていた。
「いやー、単純に疑問なんだけど、柚月ちゃんにあーくんって呼ばれてて、ゆうきにあきまるって言われてたのはなんでかなと
後、今更だけど、俺、坂田大助って言います!
これから、よろしくね!」
「こちらこそ、これから宜しくお願いしま
す!
成る程、確かに、疑問に思いますよね
あーくんって言われてたのはですね、昔
の一人称がぼくだったんですよ
それで、柚月ちゃんが私の事を男の子て
思っていたらしくて、それであーくんって
あだ名がつけられたんですよ。
後、あきまるに関しては…ある出来事が
きっかけでそのあだ名が付けられた感じで
すかね。」
質問してきた大助に対して、少し頬を染めて答えるあきまる。
てか、確かに大助、自己紹介今更だろ…
ん?そうだったけ?まぁ、取り敢えずは…
「やーい、柚月のあほー!
流石に女子を男子と間違えるのは恥ずか
しいぞ〜!」
「もう、ユウちゃんの馬鹿!
今は茶化す場面じゃないでしょ!
どうして、いつもそうなの⁉︎」
いやー、図星つかれたからか、顔を真っ赤にさせてしまっているねー!
あっ、やばい、拳を握ってプルプルし始めてる!また三途の川渡っちゃう⁉︎
「まぁ、この二人の置いといて、その出来事って言うのは教えてもらえたりするのかな?
あっ、因みに僕は神田圭介って言います。
宜しくね?」
いや、圭介さん、こちらを置いて行かないでください!
後、圭介も遅いね⁉︎
「神田さん、宜しくお願いします。
…すみません。それに関してはちょっと…」
ん?なんかあきまるの様子が…
「あー、ごめんね
無粋な事を聞いてしまったね。
じゃあ、代わりと言ってはなんなんだけ
ど、女子と男子で態度に違いが出るのは分か
るんだけど、ユウと和也であまりにも違うの
はなんでかな?」
「あー、それ俺も気になってた!
自己紹介の時にゆうきに抱きついたのは
マジでリア充このやろう!と思ったわ。
てか、思い出したら、また殺意が…」
「いや、ちょっと待て⁉︎
それはおかしいだろ⁉︎
お前の方がリア充だろうが⁉︎」
「「「「黙れ、この鈍感スケコマシやろう‼︎」」」」
「なんで⁉︎」
俺が大助に一言言ったら、何故かあきまる以外のやつらに、罵倒を浴びせられた…意味が分からないんだが⁉︎
「あう、それは忘れて頂けると…
あの時は、久しぶりの再会でしたので
感極まってしまって…
和也くんは、ごめんなさい、全然気づき
ませんでした…」
「おい、裕樹また裁判起こしていいか?」
「落ち着け、大助」
顔を真っ赤にして俯いてしまうあきまる。
それを見て、素晴らしい笑顔で魔女裁判を仕掛けようとする大助。理不尽っ!
「そうだね、これは流石に情報を…」
「待とうか、圭介くん、君が一番洒落にならん」
俺を弄る事に生きがいを感じている圭介は何を血迷ったのか、恐ろしい事を企てようしてしてやがる!
こいつのはマジで洒落にならん‼︎
下手しなくても俺の今後の学校生活が破滅する‼︎
「いいねいいね、裁判またやろう!」
「そうだね、流石に僕も気付いてもらえな
くて、悲しいから、これはまた裁判を起こ
すべきだね」
「君たちは俺の弁護をしてくれてもいいんじゃないんですかね〜⁉︎」
そして、大助の案に便乗する柚月と明らかに私情が混ざっている和也…味方がいない‼︎
「あの、皆さん、流石にこれ以上はゆう
ま…裕樹君が可哀想ですので、やめてあげ
ては如何でしょうか⁉︎」
「あきまる、お前…天使か⁉︎」
「ふぇっ⁉︎」
やばい、あきまるの一言が心に染みて、涙が溢れてくる…はっ⁉︎
「「「「…」」」」
「み、みなさん〜どうして黙っているのでしょうか…?」
「「「「…クラス裁判、決定‼︎‼︎‼︎」」」」
「だから、なんで⁉︎」
その後、なんとかクラス裁判を開廷させないように頼み込んだが、誰も取り繕ってはくれなかった…
…あんまりだ⁉︎
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