ちかが、みきに言いたかった事

「私に、何か隠している事ないよね?。」


櫻井みきの目がまっすぐ、私を見る。


どきり・・とした。


みきは私より幼い。と正直思っている。でも、こんな時は少し怖い。私は隠し事は苦手だった。


私は覚悟を決めた。


「先週。決まった事なんだけどさ。」


今、みきに言わないなら、ずっとこの先、言えない。


「私・・・。」


みきが、少し目をそらしてくれたら、言いやすいのに。


「私、もしかしたら、夏休み、転校するかも知れない。」


言ってしまった。


あまり。現実味が湧かなかった事が。


初めて、みきに話したせいで。一気に、それが押し寄せてきた。


「・・・・なんで。」


「親、離婚するから。」


私はうなだれた。


今思えば、いつも、私ばかりみきの話を聞いていた。こうして、私から自分の話をみきにするのは初めてかもしれなかった。


「だから・・・・。若野居くんの事。好きなんだけど、もういいんだ。」


そう。


これを言うべき相手は。みきと。


いつも、一緒に居た、若野居くんの顔も浮かんだけれど。


私は、それを打ち消すように、こう言った。


「だからさ!!。一緒に、もくひょう!叶えよう?。猪木彫さんと、若野居くん、くっつけるの!夏休みまでに!。いい?。」


みきは、私の顔をじっと見ていた・・。でも、少し考え、頷いた。


きっと


一緒にいられる、最後の春だから。


笑って、毎日過ごそう。


私も、みきもそう思っていた。


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