第62話 幼なじみとビーチバレーをするのですが?
さてさて、楽しかった白崎さんとの水族館デートが終わり、午後からは彩乃の相手だ。海、ということで部屋で水着に着替えると彩乃を迎えに行く。
彩乃が使っている部屋の前まで行くとドアをノックする。
「お~い、準備大丈夫か?」
「あ、うん! 大丈夫だから入ってきて~」
「じゃあ、お邪魔しま……した!」
部屋に入ってまず見えたのは上半身裸の彩乃だった。誰がどう見ても準備できてない光景でしたね騙されたよ!
ドア横の壁に体重を預けていると、いきなり部屋に連れ込まれてしまった。体が回されるように投げられてベッドに放り捨てられる。体を起こそうとすると上から彩乃がまたがってくる。
「お、おい!」
「ねえ翔くん。オイル塗ってよほら!」
そう言って俺の隣で横になるとオイルの入ったボトルを渡して背中を向けてくる。これって塗れって事だろうけど……本当にいいの? 幼なじみとはいえ男にそう簡単に背中を触らせてもいいのかよ。
まっ、本人がよさそうだしいいか。役得と思っておこう。
「じゃあいくぞ」
「うん、お願い!」
手にオイルをたっぷり溜めて彩乃の背中に塗っていく。
「ひゃっ! もっとぉ……! そのトロトロしたのもっとちょうだい……!」
「変な言い方するのやめんか! いけないことしてるみたいだろうが!」
「てへぺろっ」
「うわ古ッ!」
「ひっど! でも、翔くんが望むならやってあげても……」
「これ以上馬鹿なことを言うなら先に一人で行くぞ」
置いていくと言うと途端に大人しくなった。分かりやすいやつだ。
さてさて、彩乃にオイルを塗ってやったからいよいよ海へ。家を出て砂浜を歩いて大勢の家族連れで賑わうビーチに向かう。
さて、どうしようか。何をするべきか考えていると、彩乃がボールを持ってやって来る。
「翔くんビーチバレーやろうよ!」
「二人でか?」
「いいでしょ? 場所も空いてるし」
彩乃が指さす先を見ると、ちょうどバレー用に整備されたコートが一区画空いていた。そちらに向けて歩いていこう。
ただ、その前に、だ。彩乃の背後に回り込んで上の水着のひもを確認する。まぁ予想通りというべきか緩んでいやがった。しっかりと結び直して取れないようにする。
「あっ! なにしてるの翔くん!」
「お前の考えることは分かりやすいんだよバカ」
軽くデコピンをして注意し、二人でコートに入る。一度注意したからこれ以上妙なことはしないだろう。
彩乃にボールを渡して遊ぶ。二人だけのビーチバレーというのも中々に面白そうだ。
彩乃が高くボールを打ち上げる。彩乃自身も飛び上がって頂点でボールを捉えた。
「いっくよー! そりゃ!」
おかしな勢いでボールが吹っ飛んでくる。そういや彩乃ってかなり運動できたんだよな。あんなのくらったら結構痛そう……。
ただ、負けたくはないから打ち返そう。咄嗟にレシーブでボールを返すけど……、
「――いって!」
手首がジンジンきやがる……容赦ねぇ……。
ちょっと……というか結構軽いボールのはずなのにこの衝撃。絶対におかしいでしょ彩乃の力はんぱねぇ!
手首を擦っていると、ちょっとやりすぎたと思ったのか彩乃が慌てて駆けてくる。
「ごめん翔くん! 大丈夫?」
「どうにかな」
軽く手首を振ってみると、多少痛みはあるものの問題なく動かせる。まだバレーの続きはできそうだな。
大丈夫と合図してバレー再開。ただ、彩乃からのボールはめっちゃ鈍足になっていた。でもまあこれがビーチバレーの普通の速度だよな。ガチでドンパチするんじゃなくて、仲良しで集まってワイワイやる感じの。
二人でボールを打ち返し合う。しかし、こうしてみるとやっぱり彩乃ってスタイルいいんだよな。立派なものが暴れているわけで。
って、んなこと考えるなよ俺! 幼なじみだしあまりそういう目では見れないからなぁ。
なんて、思いながらしばらく楽しい時間を過ごした。
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