第23話 中間テスト終了がゆえに結果報告会。
1泊2日の勉強会は無事(?)終わり、俺たちは中間テストへと赴く。
今回の中間テストは木曜、金曜の2日にわたり行われる。
そして週明けはテスト返しからの成績開示。
うちの学校では順位は廊下に張り出されるしようとなっている。
恥ずかしい思いをしたくなければ、いい順位を取るため勉強しろという学校側からの意図なんだろう。
迎えたテスト当日。
案の定、今回もまた一夜漬けとなってしまった。
「お、おはよー、駿・・・」
「お、おはよう・・・」
ふみもどうやら一夜漬けみたいだ。テンションが低い。
ふみも毎度一夜漬けタイプだ。
眠い時は俺たち二人とも無口になるため、テストの日の登校時は決まって無言になる。
学校到着。
テスト開始。
放課後。
翌日。
学校到着。
テスト開始。
中間テスト終了。
なかなかさっぱりしてしまったが、これに関しては許していただきたい。
なにせ、2日で5時間しか寝ていない。
話す気力も失せてしまうものだ。
「おわった~!!終わったね駿!もうくたくた!」
テスト終了と同時に元気を取り戻すふみ。
全然くたくたに聞こえない。
「駿くん、お疲れ様。疲れたね。」
「ああ、つ、疲れたな・・・」
ここ数日、俺は睡眠不足でくたくただったが、陽花里は見た限り、睡眠不足とは程遠くに位置していたように見えた。
頭のいい人というのはやはり、毎日コツコツと積み上げて勉強して、睡眠もしっかりとるのだろう。
「よ、よし、帰ろう・・・、帰って寝よう・・・」
「うん!ナイスアイデア!帰って寝よう!」
ふみのやつ眠気でテンションがバグってやがる。
俺たちはまっすぐに家に帰り、睡眠をとった。
そしてこの日は夕方から、大雨が降った。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
休日。
この日の出来事はまた別の機会に。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
月曜日。
この土日にしっかり休んで、体力満タン。
とはいかなかったのだが、先週に比べたらかなり元気だ。
「おはよー駿!ちょっと何で昨日、一昨日って居なかったのさ!」
「ちょっと野暮用でな。」
ふみのやつ、この土日、俺が家にいなかったことに怒っているらしい。
恐らく、俺の家にある最近ふみがハマってるホラーゲームをしたかったんだろう。
ここ最近は、毎日のように俺の家に来てはそのホラーゲームをしていた。
一人で勝手に入ってすればいいのにと提案したら、『一人じゃ怖いし、綾音ちゃんもホラー苦手だから頼りにならないんだもん!』と言い返された。
そんな怖いの苦手なら、しなきゃいいのに。
「野暮用・・・?あとで綾音に確認しておかんきゃ・・・」ボソッ
今日はいつも通り登校し、いつも通り授業を受けた。
そしていつも通り下校――――とはいかなかった。
そう今日は成績開示。
勉強会メンバーは俺の教室に集まり、お互いの結果を見ることになっていた。
「お兄ちゃーん!」
1年組が集結した。
「おう、来たか。あっ、いちご元気そうだな。良かったよ。」
「なっ、まあ、その、なに?あ、ありがとね・・・」
「ん?駿くん、いちごちゃん体調悪かったの?」
「あ、ああ。そうなんだよ。LIONで教えてもらったんだ・・・」
「そうなの?いちご、私にはなんで言ってくれなかったの?お見舞いくらい行ったのに。」
「お、お見舞い・・・。あ、ありがとうございます。た、大した風邪じゃなかったので・・・」
「そうだよ、いちごっち!くるみたちの仲に遠慮なんていらないよ!くるみだってお見舞い行くよ?」
最初に遠慮しまくってたとは思えないな。
でもまあ、それくらい仲が良くなったなら嬉しいことだ。
「お、おおおおお見舞いは別に大丈夫だったって・・・!そ、それより、早く結果見に行くわよ・・・!」
そうだ、ここは話題を逸らさなきゃ。
「そうだな。早く行こうぜ。」
「っと、お兄ちゃん?その前にアレ覚えてるよね?」
「ああ、覚えてるよ・・・」
そうアレ。
これは勉強会でのことである。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「お兄ちゃん?事故だったとはいえ、下着姿のいちごちゃんをぎゅってして寝てたってことは事実だよね?」
「「「うんうん。」」」
「まあ、事故とは言え、そうですね・・・」
「「「むきーっ!!!」」」
「じゃあ、ここで一つお兄ちゃんへ罰を課します。」
「「「そうだそうだ!!!」」」
「罰!?そんな理不尽な・・・!」
「確かにちょっと理不尽かもだね。だから、条件付け罰ゲーム。」
「条件付き?」
「そう、条件付き。一応家族なわけだから、あまりに理不尽だとさすがに心痛むしね。」
「一応って・・・。で、その内容は何?」
「内容はね・・・お兄ちゃんより順位高い子と成績開示の放課後、デートしてもらいます!!」
「へ?」
(((グッジョブ!!!)))
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
アレというのは放課後デート。
一見、最高じゃんと思えるものだが、よく考えればそれ以上の恥ずかしさが
しかも放課後という、学生が一番出没している時間帯。
もう誰かに見られるというのはほぼ確定なわけだ。
「よーし!じゃあ、行こうか!お兄ちゃん!」
成績開示。
怖い。本当に怖い。
出来で言えばそれほど悪くはなかった。
全ての教科で平均点は超えていたし、物理に関してはクラス2位の得点だった。
しかし、平均点を超えただけでは勝てなさそうな相手が一人、そしてまた一人。
白谷陽花里に青山いちご。
この学校のトップ2だ。
恐らく、この二人は確定なんだろうな。
とりあえず、順位を確認しよう。
俺の順位は――
「28位!」
自己新記録だ。321人中28位。なかなかにいい順位だ。
黒川駿 687点/900点 28位/321位
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
再び俺のクラスの教室に全員集合。
「みんな、確認し終わったみたいだな。」
一人ずつ確認していく。
「じゃあまず俺だな。俺は28位だ!」
どや顔をかましていく。
みんな無反応。どうやら俺の意外な順位の高さに心がやられちまったんだな。
「五十音順に行くか。じゃあいちごから。」
でもまあ、いちごには勝てないよな・・・。
といって勝つのが漫画の約束――
「私は1位だったわ。」
はい、約束でも何でもありません。負けました。
「まあ、お前には勝てる気しなかったよ・・・」
「自覚してるのね。あんたは私に敵わないわよ。」
何も言い返せません!
青山いちご 894点/900点 1位/320位
「じゃあ次は私ね。」
ふみはいつも50位前後。この絶好調の俺には敵わないだろう。
今回の勝負ももらった。
「うーん、私はね、10位。」
ん?
「え?ご、50位じゃなくて・・・?」
「ううん。じゅ、う、い!私の勝ち!」
赤海ふみ 760点/900点 10位/321位
「はいはーい!次はくるみですねー!」
玖瑠未は半分くらいって言ってたから、おそらく大丈夫だろう。
あれ、これってもしかしてフラグに―――
「くるみは25位!あぶなー!ギリギリ!」
なってましたね!完全にフラグ回収しました!
俺の馬鹿野郎!
「や、やるな、玖瑠未・・・」
「いちごっちと白谷先輩のおかげですよ。ふたりともありがと!」
「「・・・」」
御二人ともわかりやすいくらいに照れておられます。
黄山玖瑠未 690点/900点 25位/320位
「28位か・・・なかなかやるねお兄ちゃん!」
「ふっ、だ、だろ。」
まあ、この妹には負けてないだろう。
ワースト3位の女だ。神様、これはフラグではなくてですね――
「ま、私の勝ちだけど。」
「まあ、そうだろうな―――って、え?」
聞き間違えか?
「聞き間違えじゃないよ。私の勝ちって言ったの。」
何いいいいいいいいい!!?しかも心読まれた。
そしてフラグ認定されてました。
もういいや、無になろう。
「私は2位でーす!」
「そっか・・・、すごーい・・・」
「反応薄っ!無になってる!」
黒川綾音 839点/900点 2位/320位
「最後は私だね・・・」
最後の順位発表は聞かなくてもわかっていた。
なんたって、この学校一、いや日本一の頭脳を持っているのだから。
「私はね・・・1位、だった。」
ほらね。
実はこういう時、最強がまさかのミスで転落ってのがよくあるパターンかなと思っていっぱいフラグ立てたんだけどね。
神様どうやらこういうのは回収してくれないみたいだね。くそう!!
「って、陽花里、お前・・・」
「うん、久々に本気出した・・・」
変なフラグ立てた俺が馬鹿だった。これはホントにバケモンだ。
次元が違いすぎる。
白谷陽花里 900点/900点 1位/320位
「よーし!じゃあ、お兄ちゃん!今回の放課後デートの人数は5人だね!じゃあレッツゴー!!」
「陽花里!駅まで競争!」
「あ、ちょっと待って!ずるい、フライング。」
「いちごっち!あやねん!私たちも面白そうだから参加しよ!」
「なんで私まで走らなきゃ・・・ってちょっと引っ張るな!こら!」
「くるみんは元気いっぱいだなー。お兄ちゃん、ぼさっとしてないで行くよ?」
放課後に女子と街へ出かける。
これは俺にとってはすごく恥ずかしいことだ。乗り気じゃない俺もいる。
しかし、大人になって、こんな風にこのメンバーで遊んで、バカをするというのはなかなか難しくなるのかもしれない。
彼女を作るばかりがすべてじゃない。
これも、青春というやつだな。
「よし!じゃあビリになったやつが、全員にジュースおごりだ!」
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