第14話 僕の消したい過去

 俺は中学の終わりの春休みに彼女がいたことがある。

 今となっては関わりたくなかったと後悔しているが。

 受験対策のために入った予備校で、一番最初に話しかけてくれた。

 入って間もなかった俺は緊張していたが、と話すときだけは緊張が抜けていたと思う。

 教室内でもテンションが高くて、活発で、髪は少し金色で、顔立ちは日本人離れしていた彼女は、教室に来るたびに僕と話してくれた。

偶然にも同じ趣味を持っていたため、会話が一層弾んでいたと思う。

そんなを持つのは初めてだったので、塾では、彼女と常に行動するようになった。

羨ましいって?待ってな、話を最後まで聞いてくれ。

受験シーズンが来るまでは、彼女がいる、予備校に毎日のように通っては、自習室で勉強をして、彼女と話して、また勉強をするためにだ。

最初は勉強の時間をきっちり確保していたが、所詮は中学生だ。些細なことで集中力が切れ、休憩を理由にしては自習室を抜け出していた。彼女と会うために。

そんなことをして成績が上がるはずもなく、そして志望校に合格せず、滑り止めの学校に通うことになったのだ。



「なんだー、こんな遅くにどうした?土井」

「蒼、少し眠気が覚めちゃって」

「今何時かわかってるか?」

「午前二時だよぉ。」

時計には AM 2:18 と表示されている。

「で、何の用だ?眠いんだけど」

「少し話したいことがあってね?」

「......?なんだ?」

珍しい。土井が連絡をしてくるなんて。大体は僕から連絡して話しているのに。

「大した話じゃないんだけど、蒼って彼女とかいるの?」

「いないけど」

「なんか予備校の中で彼女がいるって噂が流れてるんだよね」

「そうなんだ、めんどくさいな」

正直、予備校で噂を流されてもどうでもよかった。勉強するの場所なので、気にせず勉強出来ればそれでいい。

「ってそれだけか?」

「いや、その噂をたどってみたらね、東本っていう女子が彼女面してるんだよね」

「あぁ、そいつ僕と同じ学校だけど、学校でも同じことしてるから放っておいていいよ」

「どうせなら本物の彼女がいるって言っちゃえば?」

「は?俺彼女いないんだけど」

「あーそうなの」

何が言いたいんだ?

「そうだけど」

「......ほんっと鈍いね!私がアンタの彼女になってあげるって言ってるの!」

こいつ、寝ぼけてんな。

「またまた御冗談を......」

「冗談じゃない!」

「......これは夢だな。寝よう」

「寝るな!!!」

突然の大声にスマホが耐えられるわけもなく、案の定ハウリングが発生する。

「うるさいな」

「人の告白を冗談で済まそうとするからでしょ!?」

冗談じゃなかったのかよ。いたくご立腹だし。

「じゃあ土井は俺に告白したわけか、ありがとう」

「どういたしまして!!」

「わかった、いいよ」

意外と深夜で回らないところもあったので、すんなりと付き合うことになった。

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