第5話 まさか妹まで......
講堂につくと、裏で上級生が部活勧誘の準備をしていた。
準備をしている上級生の中に、矢板先輩がいるのを、蒼は見逃さなかった。
「おい、光樹。あれが、お前の言っていた矢板先輩か?」
「そうだな。なんでわかったんだ?蒼。もしかして、女子を見てたのか?」
「なわけないだろ。見たくもないけど、気になっちゃってな。」
「お前ソフトテニス部に入るのか?光樹。」
「そうしようかな。蒼も入れば?」
「お前が入るならそうするわ。」
「決まりだな。」
部活勧誘という名の紹介は、蒼の寝ている間に終わっていた。この学校に難の部活があるかすらわからなかったが、あまり興味はないのでいいことにしておく。
部活勧誘も終わり、教室に戻ると、ほどなくしてHRが始まった。
内容は、部活にはなるべく入るように、交通事故には気をつけろというありがたいお話だった。
下駄箱に行くと、案の定光樹が待っていた。また変なこと言われんのかな。
「来た来た。蒼。一緒に帰ろうぜ。」
「いいよ。お前に聞きたいことがあったし。」
「なんだ?聞きたいことって」
「おまえ、朝霞咲良とどんな関係なんだ?」
「......。蒼君。世の中には知らぬが花っていう言葉があってだな。」
「まあ言いたくないなら言わなくていいよ。それより委員会は何にしたんだ?光樹。」
「俺はな、体育祭実行委員になった。」
「まあ、お前のことだから、体育祭の時にテントで涼めるから。とかでしょ?」
「あたりまえだよなぁ」
委員会から、入る部活など、学校のことを話しながら、帰宅をした。
後ろに、矢板先輩がいることも知らずに......。
家に着いたのは午後五時半だ。電車で片道40分はかかるため、どうしても帰宅が遅くなってしまう。
「ただいまー。」
「おかえりなさい。兄さん。」
「おう。」
出迎えてくれたのは妹の時雨(しぐれ)だ。大雑把だが、周りの空気を読むことができる、自分とは反対の性格を持っている。でも、少々ブラコンの類に入るかもしれない。
「あ、兄さん。話があるんだけど。」
「なんだ?13歳にもなって兄に相談事って。」
「兄さんって女嫌いじゃない?」
「そうだな。」
「私のことも嫌いなの?」
「それはないな。」
「よかった。」
「急にどうしたんだ?時雨。」
「特に何でもない。」
うちには母親がいない。妹の時雨を生んだ時に帰らぬ人となってしまったのだ。父親は単身赴任をしているため、めったに家に帰ってくることはない。
なので妹の世話は必然的に僕が行っている。まあ、兄思いの妹なので苦労することはあまりないのだが、一つ困ったことがある。
「ねえねえ、兄さん。」
「なんだ?時雨。」
「新しい高校に可愛い子でもいた?」
「あのな時雨。そう簡単に見つからないよ。まずまず、学校の女子に興味はないし。」
「兄さん、それでも男?」
「失礼な。ばりばりの男だ。ここで脱いで確認するか?」
「もう。見たくないようぅ。」
たまに、時雨が母親みたいに彼女できた?と聞いてくるのだ。そのたびに、本当に男?と聞いてくる。少し傷つくんだけど。
「お風呂沸いたぞ。先入るか?。」
「お兄ちゃんが私の出汁で変なことしそうだから、お兄ちゃん先に入って。」
「お前な......いやいいや。言葉に甘えて先に入らせてもらうな。」
反論するのをあきらめて、お風呂に入ることにした。早くなれない学校での疲労を癒したい。
「朝霞にあんなこと言われたら、断れないよな。妹に相談するわけにもいかないし。」
湯船につかりながら、独り言を漏らす。
「お兄ちゃん、悩みごとなら聞くよ?」
妹はそういう悩みにはしっかり向き合ってくれる良い妹━━━━
「いや、悩みって程じゃないんだけど、......ってなんでお前がここにいるんだよ。」
「妹らしく、兄の入浴に侵入してみました。」
━━━━前言撤回、少々、頭のねじが外れた妹かもしれない。
ーあとがきー
今回初めて、あとがきを書いてみました。
素人の中三が、初めて物語を書くので、温かい目で見守ってもらえると幸いです。
少しねじの外れた、妹を登場させたかったので、登場させられてうれしいです。
家にいて暇なので、なるべく毎日投稿できるように頑張っていきます。
これからも『女嫌いの俺があいつと⁉』を読んでいただけると嬉しいです。
次回 第六話をお楽しみに
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