第2話 早く本を読ませてくれよ!!!

「なんか、お前のことを知りたがっている女子がいるらしいぞ。」

それを聞いた蒼はどう反応していいのかわからなかった。


「え?もう一度言ってくれないかな。」

「だから、お前のことを知りたがっている女子がいるらしい。」

「は?なんで?」

「俺も知らない。蒼みたいなやつのどこがいいのか。」

「光樹君......。どうやら死にたいみたいだね。」

「見た目はいいけどな。俺よりは悪いけど。」

「うるさいなぁ。俺のどこが気になったんだか。」

「そこだよな。一目見て、って感じだろうからな。」

「そいつの名前は?」

「知らない。同じ中学だった女子から聞いたから。」

「嫌だなぁ。俺さ、女子が大嫌いなのに。」

「......は?まじか蒼。お前やば。」

ホモじゃないからな。

予鈴が鳴ったため、ここで光樹とは別れ、二回目のロングホームルームを行った。

気になった人に一対一で質問をするというレクを行った。蒼は特に質問がある人はいなかったが、蒼に質問してくる人はいた。

「ねえ、質問してもいい?」

「あの、誰ですか?」

「あ、私は朝霞咲良。」

女かよ。はよ逃げ出したい。

「僕は梶谷蒼。よろしく。質問内容は?」

「よろしくね。蒼君って何の委員するか決めてる?」

「特に決めてない。君は?」

「私はね、図書委員になりたいの。」

「そうなんだ。」

これ以上のやり取りはないだろう、自席に戻って本を読もうと歩き出したら

「あの、さ、蒼君も一緒に図書委員しない?」

「え?嫌だよ」

「なんで?」

「なんでも」

「じゃあいいや」

めんどくさい。早く本が読みたい。話を早々に切り上げて、蒼は自席に戻った。

(よし、一安心。これでやっと本が読める)

残りの30分間、蒼は本を読んで過ごした。


「新しい学校で慣れないかもしれないが、勉強と睡眠はとれよー」

ありがたい担任の言葉を受け取り、ホームルームが終わった。


「よし、帰るか。」

「なんだぁ、蒼君じゃないか。」

めんどくさい。無視して帰るか。

「無視はひどいよ。蒼」

「うるさい光樹。何か用があるのか?」

「あぁ。お前のことが気になってる女子がわかったぞ。」

「ほんとか?教えてくれ。いや、やっぱりいいや。女子に興味あると思われたら嫌だからな。」

「そうか。学年で一番かわいいって言われてる人なのにな。」

「二年生の、矢板先輩だ。」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る