第2話 カルヴィン・オールブライトとの出会い
「あぁ…カルヴィン様だ…」
はぁ…と感嘆の息を吐くと
「お姉様、落ち着け。カルが驚いてる」
カールの言う通りカルヴィン様は驚いてるみたい。まぁ当たり前か、急にこんなうっとりされたら。でも、彼はすぐに戻ったみたいで
「オールブライト家嫡子カルヴィン・オールブライトです。よろしくお願い致します。」
とにこやかな笑顔で答えてくれる…はぁなんてかっこいいのだろう。
「ブラック家長女でありカールの姉のカリーナ・ブラックですわ。会いたかったですわ、カルヴィン様」
と挨拶すると
「会いたかった…ですか?」
「えぇ…」
「カル、あんまり気にしないでくれ…お姉様はカルヴィンが大好きなだけだ…」
「だ、大好きですか?」
「ふふ、そんな風に赤くなる姿は可愛らしいのですね」
年下のしかも友人の姉にこんなこと言われるなんてカルヴィン様は驚くだろうけど…言いたかったんだもの。もしかしたら私はまた死ぬかもしれないし…
「か、カール…こんな美人見た事ないんだが」
「お姉様にそれ言ったら?」
「そ、そんなの無理に決まって」
「何が無理なんですの?」
てかカールだけカルヴィン様と話してずるい…
「な、なんでもないですよ。」
「そうですか…殿方だけの内緒話は今はやめて下さらない?私もいるのに…」
少し俯きながら話すと…
「す、すいません、カリーナ様」
「まぁ、カリーナでいいですわよ。」
「はい、カリーナ。僕のこともカルと呼んでください」
「よ、呼び捨ては恥ずかしいのでカル様でよろしくて?」
「もちろんだよ」
うぅこんなイケメンに微笑みかけられるとは…幸せすぎる…
「お姉様、冒険の話は?」
「あはは…カル様ものすごく申し訳ないことを頼むのですが…よろしいでしょうか?」
まだたった6歳の子から10歳の人へのお願い。
「なんでしょう?」
「私とカールは10歳になったらダンジョンへ冒険へ向かいます。万が一カールか私にあった時…いえ正確にはカールに万が一があった時転移魔法を使います。その時にカールの目指す場所はおふたりの元にしてもよろしいでしょうか?」
「え?」
「もちろん、私たちは死ぬ気はないです。ですがやはりダンジョンは命を賭ける場所。私はブラック家にはあまり必要ではありませんがカールは嫡男です。いずれはこのブラック家を継がなければならない。だからこの子だけは無事でおふたりの元に居て欲しい。そして、私がいなくなったら支えになって欲しいのです。」
『は?』
まぁ普通の反応だろうなぁ…でも私にとってカールは前世から大事な大事な弟だ。守る存在。今世に関しては公爵家嫡男であり次期勇者。本当に守らなければいけない子。
「急に済まない…俺としてはカリーナを戻したかったのだが…」
「私はあなたのお姉ちゃんでもあるし公爵家の嫡男なんですわよっ!?ブラック公爵家を潰す気ですかっ!?」
「いや別にあんな自分勝手な親達なんて潰れてなんぼだろ…」
「ブラック公爵家を王子は必要としてるのよっ!王子の役に立ちなさい!」
「お、王子…?」
「そこら辺は生きて戻れた暁にお教えしますわ。お願いしてもよろしくて?」
そう私が頼むと…
「カリーナ。」
カルヴィン様が膝を床につけまるで騎士のような格好をするので
「ひ、膝をつかないでくださいませ。私は別に偉くないですわ…」
「いや、君は僕の守るべき人だ。そして…僕は君にも戻ってきて欲しいよ。カールももちろんだけど…それ以上に君に戻ってきて欲しい。お願いだ。」
そう言って額を私の手の甲にくっつける。推しにこのようなことをされるのはとても光栄な事だ。それに…こんなふうに言って貰えるなんて夢のようだ…だけど…
「や、約束は出来ませんわ…だってダンジョンですもの。命をかける場所なのだから…」
「無理を言ってるのは分かってるんだ。でもお願いだから…戻ってきてくれ。二人一緒に…」
「わかりましたわ…他ならぬカルヴィン様からのお願いですもん…でも本当に万が一の時はカールを優先しますわ。これだけは絶対です。」
「カリーナ…わかった…」
「そう心配しないでくださいまし。きっときっと大丈夫ですわ。」
私は彼の頭を撫でながら…本当にこんなにも推しに心配される私は幸せ者過ぎると思う…なんでこんなに心配をかけてしまっているのかは分からない。でも…彼の笑顔をもう一度見たいから頑張ろうと思えた。
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