第4話 破滅-仲間割れのなかで滲む真実

騙された。何が本当か分からない。家の外に出れない。病気が蔓延してるの? みんなが敵なのか? 僕たちは一体何をしているの? なんでこんなに苦しいのか? 生きづらいのか。何故!?


僕らの現実はどこにいったの?


一体何が起こったのか。分からない。

みんなが嘘を付いている気がする。僕はもう、誰も信用しない。話が堂々巡りする。時間が進んでるのに全く話が動かない。一体! 何がどうして!


全てはいつもの日常の破滅から始まった。原因はわからないが、日常が壊れ始めた。いつも優しかった周りの人々が胡散臭く見えたり、人が好きだったはずなのに人に殺意を抱いたり。良くなって落とされたり。真実に近づいてまた離されたり。なんなんだろう? 僕は平和に生きたいだけなのに、それが許されないなんて。許せない! 絶対。


許せない!!!


何かを忘れているのかも知れない。僕はでも、解決しなくてはいけない。僕は重要な役職についているから! 現場を率いなければいけない。誰もやらないから。僕しか居ないから。僕一人だから。頼れるのは自分一人だから。あいつは敵だから。あいつより手柄を立てなきゃ、僕のいる意味がないから。そんな僕が一番崇高だから。平気なふりをしていても、絶対的なあいつがいるから僕には日の目は当たらない。活躍したことが無になる。今までやってきたことが無になる。僕がちやほやされなくなる。僕の立つ瀬がなくなる。


ガチャ。


ハ。


「ねえ、寝ないの?」


夢か。今のはなんだ? 何をしていたっけ? あはれ? 今の。あれ。れ。うわ


「大丈夫よ、それは妄想なの。大丈夫だから寝ましょう。ね、大丈夫」


「お母さん、僕、怖いんだ。頭がおか

しくなりそうなんだ。なんで? 夜がいつまで経っても明けないんだ。なんで? お母さん、僕はおかしくなっちゃったんだ? ねえ、僕は……どうして。


「いいのよ。あなたはあなたのままで。いつまでもここにいていいから」


カッ。と僕は、俺は目の前が熱くなる。このままじゃダメなんだ! 僕のままでは、辿り着けない場所があるんだ! じゃあ、僕を捨てるかーーいや、捨てない。であれば、僕ごと、持っていって俺になればいい! それなら僕も捨てなくて済む……でも。僕はそんなに、いい人だったかなあ。


……。


「お母さん、僕、俺になるよ! これまでの悪い僕はきっぱり捨てて、いい僕になる! 遠くで、僕と航が繋がった! 僕は、それで生きてられる! 僕は、俺になるよ!」


本を閉じて電灯を消し眠ろうとする。

お母さんは、いいわね、と笑顔で呟いたあと、泣きそうな顔をして、隣の布団で眠った。航は、寝ちゃったままだったなあ。航、ありがとう。


起きると誰かが居た。誰? というと、

「俺にならせてくれてありがとう。航を起こして、ご飯、食べようか!」


「うん! 航、起きよう? 航!」

「何? お兄ちゃん? お母さんは?」

「航、ご飯食べよう! はやくーー」


はしゃぐ声を響かせて、俺たちは居間に行った。まだ、世界は大変な事ばかり。それでも、航と俺が居れば、きっと大丈夫さ! きっと、大丈夫!







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祈りが世界に満ちる時 スキヤキ @skiyaki

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