第2話 蔓延-進行する病の恐怖-
ある日、それは前触れもなく起こった。最初は、ただの流行り病で、重くはならないと思っていたーーみんながだ。しかし、死亡者が出てからは事態が変わった。新型のウイルスの蔓延。しかし、人々の認識はまだ甘く、事態をわからない者も多くあり、政府もまた病院機関に任せきりの状態にして、初動を遅らせることになる。結果ーー事態は、最悪の方向へと転じることになる。都市の封鎖。外出の自粛要請。満員の病院。ここにきて、初めて人々は共通認識として知ることになるーーパンデミック。病原菌の出所は不明。
感染経緯も未だ分かっておらず、事態は急速に悪化してゆく気配がしている。政府はさまざまな予防策や支援活動を行なっているが、効果は今ひとつのようで、後手後手に回って対応が今ひとつになってしまうおそれがある。
ライフラインはまだ動いているが、スーパーやコンビニが閉まることになれば大変なことになる。そう思った人々が、買い占めなどを始めて、品物は行き渡らず、偏るばかり。街に人は居なくなり、厳戒態勢がしかれたために、人々は家に引きこもる日々が続く。息の詰まる日々に耐えかねて人々は集団で決起し、店々で掠奪をするように。そうでなければ、孤独のまま首を吊って死んでいくことになる人も居るようになった。世界の終末。その言葉が張り付いたまま、離れない生活。人々は祈りを込めて夜を明かし続けた。事態の全てが過ぎ去ってみれば、世界の三割の人口が減ってしまった。何もわからねままに。一体、どのような采配だったのだろうか。何も分からない。しかし生き残ったなら、何かをせねばならないのは事実。味気ない生活でも、虚しい祈りでも、厳しい現実と向かい合うことでも。だって、生きているのだからーー死しては何も残らないから。この出来事が、ただでは風化するのなら。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます