第13話 やれること
パンは小麦(?)の味が強く少し固い感じがする。食べた事のあるもので言えばフランスのパンが当てはまるかもしれない。
スープはなんとも例えようのない味だった。美味しいのだが何の味に近いかと言われれば、よくわからない。の1言に尽きる味だった。
そして野菜の炒め物。こちらは日本にもある野菜炒めのような感じだった。味のベースは塩とハーブ系で、野菜と少しの肉の脂が味の大半を占めていた。
サンディラの腕がいいのか、違和感なく食べ進める4人を見て、彼女は満足そうに笑みを浮かべた。
「口に合うみたいで良かったよ。別の世界の料理なんて考えたことも無いからね」
その後、皿の上に何もなくなったところで一先ずできる事を考える。
「俺は肉体労働しかできないから屋根とか壁の修理くらいしかできねーぞ」
「私は料理の手伝いくらいかな」
勝吾と葵は自分の得意な分野が解っているので、あっさりと決まったが心志と敬輔は悩んだ。
「俺は何に向いているんだ?」
「僕は何に向いているんだ?」
体力に自信が有るかと言われれば特に無く、かといってこの世界で必要とされる知識も持ち合わせていない。
現代日本であれば苦労も無いのだろうが、今の状況では何かに特化した1芸が欲しかった。
各局、心志は勝吾と一緒に店の補修を。敬輔は葵と一緒にサンディラに付いて行き食材の買い出しをすることになった。
◆
「心志。そこの釘を取ってくれ」
「……おう」
補修ということで今日は店は休業。
そして1時間前に屋根の補修のために木材を屋根に運び、穴が開いている箇所や古くなっている箇所を補修し始めた心志と勝吾。
内装は手入れが生きたどいていていたが、木の板を屋根まで運ぶのも、釘を打つのもサンディラとナーニャには難しかったようだ。以前に自力で直そうとし、板や工具は買ったというが頓挫してからは放置気味だったらしい。
梯子で屋根に上った2人だったが、主導は勝吾だった。バイクのメンテナンスと屋根の修理は勝手が違うだろうが、それなりの手つきで器用に釘を打ち付けていった。
しかし、心志はそうでは無い。木材と釘の作業など、図工や美術などの授業以外で金槌を振るった覚えも無い。
それ故に勝吾に全てを任せ、心志は言われるがまま指示を受け入れた。
「はいよ」
釘を渡し屋根となる板を押さえる。
「これが終われば雨漏りはしないだろう」
そう言いながらリズミカルに釘を打つ勝吾。5か所ほどの穴を埋め終え地上に戻る。
「お疲れ様」
2人が店の中に戻ると、ナーニャが水の入ったコップを差し出した。
「ありがとう」
「悪いな」
心志と勝吾がそういって水を受け取っている頃、敬輔と葵は市場にいた。
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