第22話
レイディエ殿下とのデートは良い感じに終わりを向かえ、シュトュルは初めてレイディエ殿下と別れるのが惜しいと思った。
シュトュルは机の上に置かれた金色の蝶の髪飾りを指で軽くつつく。
紫色のビジューが月明かりの光を反射してキラキラ光る。
口の端が自然と緩む。
何だか側にレイディエ殿下がいるような気がする。
シュトュルは、一ヶ月後に行われる予定の王宮の舞踏会が楽しみだった。
(舞踏会が楽しみなんて初めてだな…レイディエ殿下と踊るのも楽しみ。最近はレイディエ殿下に会うのがすごく嬉しい…)
シュトュルの心はポカポカと暖かい気持ちに包まれたのだった。
ネーベルは街で買い物を楽しんでいると、見慣れた人物を見かける。
蜂蜜色の髪にアメジストの様な紫色の瞳を持つ少年…そう、レイディエ殿下だ。
ネーベルはレイディエ殿下に声をかけようと思い近づけば、レイディエ殿下の隣にいる人物に気づく。
若草色の瞳にスッキリとまとめられた銀髪。
シュトュルだ。
そして、2人が楽しそうに笑いあう姿を目の当たりにする。
ネーベルは呆然と2人を見つめていた。
(…シュトュルって、あんな風に笑うんだ…)
レイディエ殿下の隣にいるシュトュルは学園内では見たことの無い笑顔をレイディエ殿下に見せる。
レイディエ殿下の太陽の様な華やかな笑顔とは違うが、無数の星の欠片を集めたような控え目でありながら綺麗で可愛らしい笑顔だった。
「何で…そんな笑顔を見せるの?」
シュトュルに向けた言葉でもあり、また、レイディエ殿下にも向けた言葉でもあった。
ぎゅっと唇を噛む。
憎い、憎い憎い憎い憎い憎い憎い!
誰が憎いって?
それは、もちろんシュトュルと…それと、レイディエ殿下。
おかしいな?レイディエ殿下の事は好きなのに。
今、とてつもなく、レイディエ殿下の事まで憎い。
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